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9.

冬も深まり、期末テストが始まるまであと少しとなった。

一年の冬の期末ですべてが決まる訳ではないが、ひとつの目安になるだろう。

笹島も出来るだけいい大学に行きたいといつものファミレスで勉強に励んでいた。

篠塚はいざとなったらバイト先に就職するらしく笹島ほど熱心に取り組んではいない。

そもそも人殺しをするような謎の組織に就職するなんて担任になんて言うつもりなのだろうかと笹島は疑問に思ったが、それよりもどうしても解けない数学の問題の方が疑問だった。

「ダメだ。さっぱり分かんねー」

「頑張れ頑張れ」

今日はテキストやノートを広げるからとドリンクバーしか頼んでいない。

篠塚の頼むカラフルなパフェやケーキが無いので殺風景にすら感じる。

「でも笹島もさ、大学のこととか未来のこと考えるようになったんだよなー。あんなに死にたいとか言ってたやつが先のこと言ってるとなんか感慨深い」

「お前は俺のなんなんだよ。でも、お前に殺されたいのは今でも思ってるよ。大学とか、期末テストのこととか、先のことを考えてもやっぱり篠塚に殺されたい。これは変わらない」

決意を込めて笹島が篠塚を見ると、微妙な顔をしていた。

「そこは未来への希望を見出だしておこうぜー。きっとかわいい彼女も出来る。楽しいことも今よりたくさん出来る。高校生より大学生の方が出来ることたくさんあるって。楽しいこと考えようぜ」

その言葉に笹島は首を傾げる。

どれも魅力的には思えなかった。


死にたいことも生きたいことも今のことも将来のことを考えることもすべてが現在の笹島を構成するものだった。

それはとてもおかしなことで、正しいことだったが、そのすべてに篠塚が絡んでいることに笹島は気付いていても気付かない振りをした。

ただ、もう少しだけ未来にも篠塚が側にいてくれればいいなと笹島は思った。


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