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8.


笹島は、篠塚と関わってから死ぬ理由を探すことをやめていた。

やめていたというよりは、篠塚によって生きる理由が増えていくからである。

そして、なにより死ぬことよりも生きることよりも篠塚啓吾に興味を持ってしまったのである。


篠塚啓吾は不可思議な人間だと笹島悠祐は思っている。


始まりは肉マンが始まる季節。

炭酸飲料を急に飲みたくなった笹島が近所のコンビニに炭酸飲料とついでに肉マンを購入し頬張りながら帰宅していると篠塚が人を殺しているところを目撃した。

一般人に見られるなどという大失態を篠塚が犯さなければ、笹島はそのまま普通に死にたいと思いつつも死にきれず生きる理由を探す半端な普通の男子高校生だった。

ところが篠塚が見知らぬ誰かに与えた『死』が強烈すぎて、篠塚に殺されたいという目的が出来てしまい、それが笹島の生きる理由になった。

死ぬことが生きる理由なのはどうなんだと思うが、篠塚はそんな笹島にファミレスのドリンクバー全種類チャレンジやらなんやらなにかにつけて生きる理由を与えてきた。

まるで死んでほしくないみたいだな、と思ったのは笹島の願望だろうか。


そして知りたくなってしまったのだ。

篠塚啓吾という人物を。

だから今の死ぬ理由と生きる理由を聞かれたら篠塚啓吾と笹島は答えるだろう。

それほど笹島は静かに篠塚に執着していた。

きっと篠塚も気付いているだろう。

それでも何も言わないのは何故か。

笹島の中で篠塚の謎が深まる。


ただ、ひとつだけ言えることは。

篠塚の与える『死』に憧れがあることだった。

そして、どんなことがあっても、笹島は篠塚のことが嫌いにはなれないことだけは分かっていた。


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