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14.


篠塚が初めて人を殺した時、篠塚は笹島と出会っていた。

今程親しくもなく、初めての殺しで気分が悪くなり路上で顔色が悪い篠塚に笹島がなんとなく声を掛けただけだった。

「大丈夫か?」

「………ああ」

それでなんとか持ち直した篠塚はなんとか家に帰って組織に報告出来た。

それだけのことだった。




篠塚は昔の夢を見たなと思った。

まさかあの時の自身を心配して話し掛けてきた同級生が死にたがりでその後自分に殺されたいなんて言い出すとは思いもしなかった。

縁とは不思議なものだなと信じていない神にも思って篠塚は今日も学校へ行く身支度を始めた。

最近バイト代という金銭が入るようになった笹島が篠塚をファミレスに通う頻度は高くなったと言える。

たまに付き合い仕方のない話をしたりくだらない話をしたり学校の話をしたりと今までの篠塚からは考えられないことが起きている。

そもそも篠塚は人付き合いが苦手だった。

苦手だからこそ適度に空気になるようにそこそこの立場でいた。

それなのに、笹島に人を殺しているところを目撃されてから一変してしまった。

笹島は死にたがりだ。

初めて触れた『死』に高揚感を覚えて自分に話し掛けて来ていたのだろうと篠塚は思っていたし、事実そうなのだが、最近は篠塚が与える生きる理由にそのまま忠実に従っているようにも思えた。

それでよかった。

篠塚は本音を言えば未だに人を殺すことが苦手だし、無闇に人に死んでほしくない。

仕事で仕方なくすることはあるが、出来うる限り回してこないように頼んではある。

だからこそ笹島が篠塚に殺されたいと言われても気安く殺せないし、友人と呼べる間柄になってきた笹島には死んでほしくないと思っていた。

それほど笹島は篠塚にとって大きな存在になりつつあった。

笹島が篠塚の存在に『死』以外を感じてくれたらもっとよかった。




だが、相も変わらず笹島は篠塚に殺されたいと願っていた。




「世の中、上手くいかねーことばっかだな」

「そうだよなー」

「お前のことだよ」

いつものファミレスのテーブルの下で篠塚が笹島の足を蹴った。

何も知らない笹島からしたら理不尽であろうが、篠塚からしたら死にたいくせに生きたがる笹島の存在が理不尽だと感じていた。


組織には、せめて笹島を殺さないようにと頼んだが、どうなっているだろうか、殺すならせめて笹島の望むように自分で決着をつけてやりたいとテーブルの下の戦争を繰り広げながら篠塚は思った。




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