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12.

笹島は、篠塚に執着しているのか篠塚が与える『死』に執着しているのか分からなくなってきていた。

そもそも、最近は死ぬことよりも生きることの方が楽しくすら感じていた。

それも篠塚が原因なのだから笹島の感情は篠塚にコントロールされてると言っても過言ではなくなってきていた。


このままではいけないな、と笹島は思った。

篠塚と共にいるのは楽しいが、自分のすべてが篠塚に基準されてしまっていると感じていた。




「と、言う訳なんだけどどう思う?」

「なに?そこまで俺のこと好きなの?モテる男は辛いねー」

「そういう茶化し方がモテない原因だと思う」

それでもいつものファミレスで、笹島は篠塚と喋っている。

止めなければと思いながら止められない。

これが友情なのかなんなのかすらわからない曖昧な関係を楽しんでいたのに、楽しんでいられる程度には生きていることが楽しいことが笹島にとっては問題なのだ。

「死にたい理由がどんどんなくなって、生きていることで楽しいことが増える俺の気持ちなんて篠塚には分かんねーよ」

「分かりたくもねーよ、そんなもん。楽しいなら生きておけ」

冷たくて一蹴されてもその言葉は優しいものだった。

やはり篠塚は笹島にいきていてほしいと思ってくれているんだろうか?

だが、篠塚の『死』が忘れられない。

初めて他者の死を見た時、空砲で撃たれた時の昂揚感が忘れられないでいた。

先輩とやらの間宮とも会ったが、間宮には別に殺されたいとは思わなかった。


「まだ、組織とやらの決定は決まんねーの?」

背凭れにだらしなく背を預け訊ねるも「さぁな」の一言で終わってしまう。


このまま怠惰に生きていていいんだろうか。

この世界に楽しいことが多く感じてしまい、死にたいと思うこととのバランスが崩れる。

笹島はそうなる前にさっさと死にたかった。

「早く死にたい」

発作的に出た真実を篠塚はいつも否定する

「死ななくていいんだから生きとけ。ドリンクバーもあと半分越えてるだろ」

自分で覚えておけと言ったのにきちんと篠塚は数えていた。

なんだかんだで律儀で優しい男だなと笹島は思ったし、そんな篠塚だからこそ篠塚に殺されたいという願望が捨てきれずにいた。


「お前がもっと嫌なやつだったら違ったのかな」

「俺は、いつでも心優しいイケメンだからなー」


こうして思い詰める笹島を茶化して誤魔化そうとするところが篠塚のことを嫌いになれない一因なのだと笹島は嘆息した。




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