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11.


地獄の期末テストも終わり、いつものファミレスでだらだらと喋るのも冬休みに入ったらなくなるのかなと笹島はドリンクバーを選びながら思った。


「もう年末か。早いよな」

「来年ちょっとしたらもう2年だぜ?先輩だぜ?後輩が出来るなんて実感ねーな」

「どうせお互い帰宅部だし後輩が出来てもあんま意味ねーだろ」

「それもそうだな」

篠塚は最近パフェよりもパンケーキが多い。

パフェは冷たくて寒いらしい。

パンケーキに備え付けられたシロップをすべてかけ、相変わらずの砂糖山盛り紅茶を飲む篠塚の虫歯と健康の心配がなくなることは来年も無さそうだなと笹島は思った。


篠塚とはいつまで一緒に居られるだろうか笹島は考える。

大学は偶然同じ志望校だと分かったが、篠塚にはバイト先に就職という考えもあるようだし、進級してからも同じクラスとは限らない。

そうしたらただでさえ勝率二割のファミレス勧誘も誘いづらくなりそうだ。

ここまで親しい人間が笹島の行動範囲に居なかった。

篠塚が笹島のことを親しい友人と思ってくれているかはわからないが。


「篠塚はさ、なんでファミレスに付き合ってくれてんの?」

「お前…自分で誘ってきておいてそれを聞くか?」

「いや、ドリンクバー全種類制覇なんて無茶振りしておいてよく付き合ってくれるよなーと思って。制覇出来てるかカウントはしてくれてないけど」

「そこを他力本願にすんな。自分で覚えておけ」

まったくその通りだが、上から順に選んでいてもうドリンクバー全種類制覇チャレンジも半分を過ぎたのは分かっている。

残り何種類かまでは笹島は把握していなかったが。

今日はオレンジ系が三回続いたので飽きてきたなと笹島はストローをくるくるとかき混ぜながら思った。

だから篠塚がどことなく照れくさそうにしていたのを見逃してしまった。

「笹島とこうしてだらだらとしてんの、嫌いじゃないからかな」

聞いた瞬間顔を上げて篠塚を見たがもういつもの薄い笑みだった。


「なんてな」


篠塚の本音が分からないけれど、そうだったら嬉しいなと笹島は思った。

そして、出来れば来年もその先もこうして二人でだらだらと喋る時間があればいいと願った。




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