表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

蝉と男

異世界ものではありません。

転生するジャンルって何に当てはまるのだろう…

悩みつつ調べつつ綴らせて頂きました!

大体25話位で終わらせようかと思っています。

(笑)


「こんな事も出来ないのかグズ!」


上司の怒号が社内に響き渡る。


「あいつまた怒られてらァ」


社内オフィスでコソコソと同僚達がざわついている。

とある証券会社に勤めて早5年。

俺はいつ道を間違えたんだという思いにふけながら帰路に着く。満員電車に揺られふと突然に、今までの人生28年間を走馬灯のように振り返る。


中学、高校といじめを受けていた俺は耐えに耐え抜き、自分の親や担任の先生の言われるがままにしてきた。それが正しいと信じて。


その結果がこれだ。意味もなく大学に通わされ、奨学金を返済する自転車操業の毎日じゃないか。この歳で辞めてしまえばろくに資格なども持たない俺は無事死亡する。



大学に入ってから疎遠になっていた小学校時代の友人は今頃全員家庭を築いて家事に育児、仕事と順風満帆な生活をしている。尚、俺を当時虐めていた連中もだ。何で俺だけがこんな仕打ちを受けなきゃ行けない…!!


電車を降り最寄りの公園で1人、道中のコンビニで買った酒で酒盛りをしていた。


「あ〜…何がサラリーだ!何が安泰だ!てめぇら老害の言う事を素直に聞いた結果俺はどうなってる!?何で俺だけこんな目に遭ってるんだ!

え!!?チクショー!生き地獄だっ!」


俺は酔っ払いながら近くの木を思いっきり蹴る。

すると…ポテッ…


「あ?…なんだ蝉の死骸か…」


その木から寿命を迎えたであろう1匹の蝉が落ちてきた。


「良いよなぁ〜お前らはおせっせして7日で死ねてよ〜…俺と変わってくれよ〜もう何で俺だけこんな人生ハードモードなんだよ〜!」


「なら…変わって…」

………?


突然どこからともなく今にも死にそうな人の声が聞こえた。かなり泥酔していたから幻聴かとも思っていた。するとその声を皮切りに突如視界が真っ暗になった。


「イテテ…頭が…呑みすぎたか?………!!!?」

頭を抑えていた手を見るとその手は真っ赤に染まっていた。その動揺と共に辺りを見渡したらそこは公園ではなく、一面の花畑だった。


「泥酔の影響で千鳥足になり転び、砂場の縁石に頭を強く打って死んでしまったようですね」


「…?誰だっ!?……ん?この声……」


それは蝉が降ってきた後に聞こえた謎の声とそっくりの声で俺に話しかけてきた。だが辺りを見渡しても誰も居ない。………!!!?


「ここですよ〜!!ここ!ここ!!どうも〜ここは所謂「あの世」って奴です!」


その声の主は1匹の蝉だった。

俺はびっくりして地面に頭を強く打った。


蝉「大丈夫ですか〜?いやぁ〜今回もダメだったなぁ〜…」


「イテテ…ってあれ?…痛くない…?ダメって…何がダメだったんだ?」


血は出るものの痛みは感じない。さすが死人。

何がダメだったのか気になるので俺は反射的に聞き返した。


蝉「いやぁ…私前前世で悪い事ばかりして来たもので神様がね〜…充分地獄を味わったからもういいだろうと言ってくれて救ってやると…そしたら最初の転生先は蝿だったんです。」


この時点で俺は驚きを隠せなかった。

この蝉、前前世蝿だったのかと…一体どんな悪行をしたらそうなるのだろう…地獄で罪を(あがな)いきれなかったのか…?そんな考えが終始俺の頭の中で巡っていた。


蝉「蝿として生まれ変わった私は、神様からのお告げを聞き、子孫繁栄をすれば魂をランクアップさせてやると言われましたのでとりあえず色々なパーティに参加しました。パートナーを作る為に。」


「神様も自然の摂理とか考えてんだな…色々。」


蝿もそうだが、弱い立場の生物は子孫を大量に残す。

絶滅しない様に。だが、あくまで不快害虫であり病原体も持っているので駆逐の対象となる。つまりは外敵が捕食者だけでなく人間も加わるということなのだ。


そして今目の前に居る奴も俺と同じく目上の言う事に素直に従った結果だと言う事だ。


「変わらねぇじゃねぇか!何一つ!虫からランクアップしてねーよアンタ!神様に文句言ってやれよ!」


まるで今までの俺の人生を見ているかのようで虫唾が走ってついカッとなってしまった。


蝉「あ〜…実は…ハエだった頃に人を殺めてしまったのです」


「………はぁ…どうやったら蝿に殺されるんだ…」


蝉「卵を産もうとして安全な場所だと思い穴の中に入ったのです。実はそこが人間の鼻の穴で奥にある重要な器官との間に私の体が詰まってその方が亡くなってしまったのです…いやぁ…やってしまいました(笑)」


そんな怖い死に方だけは絶対にしたくないと思った。まるで海外の寄生虫の手術を彷彿とさせる内容だった。よかった…酔っ払った勢いで死んで。


蝉「そして、この場所に飛ばされて、神様はこう言ったんです。お前は人を殺めたから徳ランクを半減させるわ〜次の転生先でも頑張れよ〜あ、内容はまた同じだから。じゃ、長い期間来ないことを祈るよ〜…と。」


転生先を自由にできる権利としてあの世には徳ランクと言うものが有るようだ。現世で善い行いをすればする程溜まる言わばポイントみたいなものだと蝉は説明してくれた。尚可視化するには神様の力が必要らしい。


「俺は特に悪い事はしていない…徳ランクはどれくらいあるのだろう…気にはなる…まさかまた人間になるとかか…?それだとまた同じことの繰り返しな気がして嫌だな…人間…嫌だな…」


俺は相当キテいたのだろう。人間にまた転生するのかと思うとあまり期待出来ない負の感情が湧いてくる。

そんな事を考えていると不意に目の前に巨大なギリシア神話とかに出てきそうな服を着た女性が出てきた。


「ウオアアアア!?何だァ!?」


蝉「あ、神様!どうもこんちゃーす!」


神様「…これがお前と変わりたいという人間か?」


蝉「そうっす!」

「………??どういう事だ……?」


蝉「やだな〜変わりたいって言うから連れてきたんじゃないですか〜!!」

「………へ??俺そんな事……はっ!まさか…!!」


俺は自分の言ったことを思い出した。

酔っ払った勢いで言ったことを…


神様「ほう…蝉として生きるか…人間。」


「え?ちょっと待って!いきなり言われても…他に選択肢は無いんですか…??」


神様「なんだ。違うのか。ん?お主、死んでしまっているではないか!選択肢か…わかった。ならば…」


すると神とやらは念仏みたいなのを唱え始めた。暫くすると俺と蝉の頭の上に数字が出てきた。


神様「徳ランクを可視化させてやったぞ。そのランクが多ければ多い程、魂の位が高いものに転生できる。」


蝉「180……」


「俺は……6000000!?多いのか?少ないのか…?どちらにせよこのペースだと蝉はあと何回転生しなきゃいけないんだ?」


神様「案ずるな。他の方法だってある。

徳ランクの低いものが位の高いものになるには2つ条件がある。まず1つは徳ランクを一定まで溜めること。そしてもうひとつは、高いものの願望を低いものが叶えてやるというものだ。」


「って事は俺が言ったから蝉は願望だと勘違いしたわけか…」

蝉「え?勘違い…??」

「あたりめーだろ!酔っ払った勢いで言った事なんか鵜呑みにするな!そんなのノーカンだ!ノーカン!まだ人間のうちにやるべき事やってないし!」


蝉「そ…そんなぁ〜…ひどいです…ぐす…ミーンミーンミーンミーン!」


神様「あー泣かした〜!いーけないんだいけないんだ!」


「いや、ただの鳴き声だろコレ!泣かしてないだろ!!!あー!!うるせー!!!」


途端に俺の頭の上の数字が…5988888になった。


「あ!?何で下がるんだよ!俺悪いことなんて…はっ!」


目の前でミンミン泣いてる蝉…ついさっきコイツを傷つけたから……というのか……?


神様「悪行をすればこのように徳ランクは常に減っていく。たとえ元罪人であった蝉であってもだ。悪い事はしてはいけないのだ。それが先代からの神の教えなのだ。わかったな?」


何だかんだで結局支配からは逃れられない…

そう思った時に俺の潜在能力(?)みたいなのが覚醒(めざめ)た。

いや、いつかは逃れてやる!!必ず!!

そしてこんな無限地獄のような世界からおさらばするんだ!目指すゴールが一気に俺のモチベを掻き立てた。


俺はまず目の前の存在の機嫌を損ねないようにこう聞いた。


「…なら、徳ランクを幾つ上げれば何になれるかおしえてくれ。」


神様「聞いた所でどうこうなるものでは無いが、教えてやる。下から行くぞ。まずは虫類だ。これに転生する輩は徳ランクが極めて低い現世の罪人が殆どだ。無論マイナス域の奴は地獄で徳ランクを0に戻す所から始まる。転生はそれからだ。その上は畜生類だ。動物という輩だな。これには徳ランクが100〜なれる。だが、ペットとして飼われる場合は例外で1000〜になる。そして人間類。これに転生するには10000〜だ。また例外で転生者オプションを付ければより善い人間に転生できる。」


途中俺は寝かけたが、

つまりは…


低ランク


マイナス域:地獄へ行き、徳ランクを0に戻す


虫類:0〜


中ランク


畜生類:100〜ペットとして飼われる場合は1000〜


高ランク


人間類:10000〜転生者オプションで才能や容姿、家庭環境まで決められる。


転生者オプション

才能:10000000

容姿:100000

家庭環境:100000000


こんな感じだ。

ただ俺は知りたかった。


「なぁ神様。どうやれば俺は神になれるんだ?」


神様「………なりたいか?神に。」


「なりたいね。こんなクソみたいな現世なんて懲り懲りしてた所なんだ。」


俺は自分が今まで何やってきたか本当に後悔している。周りに翻弄され続け、棒に振るっていたんだ。俺自身の人生を。だから、俺は俺自身を導いてやりたい。神に転生する事で!


神様「ほう…本当に良いのだな?」


「ああ。構わない。人間が如何にして嫌な生き物なのか、俺自身がよく知っている!だからこそ神になる!どんな条件でもいい!なってやる!」


神様「わかった。そこまで言うならば、してやろう。」


その瞬間眩い光が俺を照らした。


「うわああああああああああああああぁぁぁ……」


暗い…俺は…何処に居るんだ…まさか…徳ランクのある奴が地獄に行くことが条件だったのか?

俺は焦燥に駆られる…自身の発言が招いた結果に。


神様「お主は今、転生した。神になりたくば、後ははお主次第だ。徳を積むがよい…」


不意に神様の声にびっくりしたが、周りはやはり暗闇。


「て…転生??何に転生したんだ!?動物なのか?人なのか?」


俺は聞くが応えてくれない。

地響きがする…


┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨……


暫くして地響きは止んだ。

だが今度は…


ザバーーーーーン!!

巨大な波にさらわれた。

苦しい…!!俺は…一体何に!?


はっ!?眩しい!!また何処かに飛ばされたか!?

………と目を開け見てみると底には巨大な人間の子供がいた。


「うわああああああああああああああぁぁぁ何だァああああああああぁぁぁ!!!!?」


パニくる俺は身動きが取れなかった。

子供が俺を手のひらに乗せてこう言った。


子供「これが蝉の孵化前?初めて見たなぁ〜」


「蝉!!?」

子供の一言に俺は驚愕した。


俺は今…蝉になったのだ。





















ありがとうございました!

祝1話目、如何でしたか?

文才は有りませんが、話を考えるのは大好きですのでどうぞ宜しくお願いします٩( ´ω` )و

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ