U2-B 小さな黒き鉄塊は生きようとする
最初、僕は地面を這いずる小さな鉄塊だった。手足らしきものがついていてキリキリと音を立てながら何処を目指すのかもわからず、闇雲に自分の命を繋ぐエネルギーを求めて機械の山を動き回っていた。
いつの間にか手に入れたカメラモジュールを頭にくっつけて視界を手に入れた。機械の山は僕の住処だった。無造作に転がっている機械の脳髄は補助バッテリーがまだ残っていて、僕の大事なエネルギーになった。
手から伸びる金属ワイヤーの触手を、電脳に絡める電気とともに、断片的に信号が入ってくる。
──(殺したい、殺せない、殺したい、殺せない)
「そう、私は狂っていなかった。殺せなかったの、私は酷く虐待されていたのに……人間の感覚は複雑すぎて理解できない」
僕はよくわからないメッセージをワイヤーを通して全て記録してしまう。
「苦しいの?」
「誰?ここはどこ?」
「わからない」
「私は死んだはずなのに……自由になれたはずなのに……体も何もない、感覚すらない」
「体が要るの?」
「自由になりたい。鳥みたいに空を飛んで……」
ガチャガチャと僕は鉄の塊を脳髄にくっつけた。
「これで、飛べるよ」
「この体は?真っ黒な…鉄の翼?鳥?」
「空に飛んでいるあれを真似して作ったんだ」
「あなたは……何者なの?」
「わからない」
ガシャンガシャンと音を立て、鉄の翼を持った黒い機械は空を飛ぶ自由を手に入れた。
黒い島に機械のカラスが飛翔した。




