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婚外恋愛  作者:
82/84

運命とは

 私は気付いたかも知れない。

 まさかというまさかが起きているかも知れない。


 廉くんってもしかして……。


 廉くんのお父さんは警察官で、そのお父さんの実家はうちと同じ市内。 しかもうちより北方面。 ご両親は離婚している……。

 廉くんの住んでいるところも一緒。

 出会った頃は確か、大学生と高校生になったってSNSに書いていた様な……。

 だとしたら、廉くんの歳と合うよね……。


 もちろん、同じ様な人もいるだろうけど、そう多くもないだろうし……。

 もしかしてもしかするのだろうか……。



「廉くんのご両親って別々に暮らしてるでしょ? けど、仲いいじゃない? 家族全員で集まったりはしないの?」



「しないですねーー。 あ、でも兄貴の結婚式には2人揃って出てもらうのが約束なんでその時が久しぶりの全員集合かも知れません」



「約束?」



「離婚する時に、俺たちの結婚式には2人揃って出て、っていうのを約束してもらったんです。 俺が大学の時に離婚したんで、やっと約束を果たしてもらうって感じですよね」



 私は夜ごはんを作りながら廉くんの話を聞いていた。

 少しずつ、【答え合わせ】をしている、そんな感覚だった。



「さぁ、ごはん食べよう!」


 今日は廉くんも一緒で廉くんはこの後帰らなきゃいけないから少し早めの夜ごはん。

 夫は今日は遅いので先に済ませる事にした。


 2人とも何やら楽しそうに話しながら食べている。

 それを見ていると私も嬉しくなる。


「廉くん、気を付けて帰らなきゃね!」



「『かも知れない運転』でしょ?」


 菜砂がそう言った。


「征一郎のやつね」


 笑ってそう言う廉くんの言葉に心臓が高鳴った。


「せいいちろう?」



「あーー、父の名前です。 父、警察官だったから免許取ってすぐの時はほんとにうるさくて、『そこから人が飛び出てくる【かも知れない】』とか、もしかしたらの予測を考えて運転しろ、ってよく言ってたんですよ。 それを菜砂に話してたから……」


 答え合わせができてしまった。

 やっぱりそうだ。

 廉くんはせいさんの息子さんだ。


 私の娘と付き合ってるなんて、こんな偶然ないよね……。

 でも実際そうだし……運命だったのかな……。

 私は廉くんを見ながらせいさんの面影を探した。

 動揺を隠して話を続けた。


「でも、いい事言うお父さんだと思うなーー。 ちゃんと廉くんの事を考えてる。 優しいお父さんだね! 廉くんはお父さんとお母さん、どっちに似てるの?」



「母じゃないと思うけど、父でもない気がします……」


 そう言って、スマホの中の写真を見せてくれた。


 あ……。


 その中には廉くんと廉くんのお兄さんとせいさんが写っていた。

 私は愛おしく変わらずドキドキしている自分を感じながらその写真を眺めた。

 久しぶりに見るせいさんは子供たちの横で少しはにかんだ父の顔をしたせいさんで、私の知らなかった父のせいさんを見れた事が私は嬉しかった。

 自然と涙が溢れる。


 菜砂と廉くんはびっくりしていた。


「え!? お母さん!?」



「あ、ごめん! 口の中、噛んじゃった……! ちょっと席外すね!!」



「えーー、何それ!? 大丈夫!?」



「大丈夫。 ごめん、ちょっと2人で食べててーー!」


 そう言って席を外した。

 洗面に籠った私は1人泣いた。


 せいさん、廉くんと菜砂、付き合ってるよ……。

 せいさん、知ってた?

 こんな事ある!?


 せいさんより先に廉くんと会っちゃったよ。

 いつか、もし、2人が結婚したら……せいさんに会うの?

 どんな顔して会えばいいんだろうね??

 楽しみにしておけばいいのかな??


 久しぶりにせいさんの事を思ったよ。

 元気なのかな……。

 廉くんと話して、心地いいはずだよ。

 廉くん、せいさんの一部だもん。


 ごめん、せいさん。

 廉くんからせいさんの事、少しだけ話聞くよ。

 私だけせいさんを思い出す事が増えるね……。


 いつか、菜砂もせいさんのところへ行くのかな?

 その時は、ちゃんとした娘で行って欲しいな。

 菜砂が私の娘だって気付いたらびっくりするかな?

 菜砂もせいさんに気に入ってもらえるといいな……。


 私はいつか会えると楽しみにしていた。

 形はどうであれ、せいさんとの再会を。



 廉くんが来る度、今日はどんな話をしてくれるんだろうと楽しみで仕方がなかった。


「そんなに廉、廉、言ってたら嫌われるよ。 うっとうしく思われるよーー」


 そう菜砂に言われる事もあった。


「え? そんなに言ってないでしょ? 廉くんの話おもしろいでしょ?」



「そんなに廉の話、おもしろい?」



「えー。 おもしろいよ。 知らない事ばっかりだし。 菜砂は廉くんのご両親に会った事ないの?」



「まだないよ」



「もしこの先、会う事があったらちゃんとしなよーー。 変な話さ、菜砂だって結婚考えてもおかしくない歳でしょ? 廉くんだって9つ上なんだから少しはそんな事も考えてたりするでしょ、たぶん。 焦らす訳じゃないけどさ……」



「お母さんは廉でいいの?」



「大歓迎だねーー。 廉くん、いい子でしょ? 菜砂を大事にしてくれると思うなぁ」



「まだ結婚しないけどね……」


 菜砂にはまたその気がないんだ。

 まぁ、でも仲良くしてくれればいいかな……。



 廉くんとはいろんな話をした。

 小さい頃行った旅行の話とか、中学から始めたサッカーの話、お兄さんと初めて一緒に飲みに行った話や、菜砂と会った時の話、お母さん、そしてお父さんの事。


 廉くんの話の中でせいさんが元気にしている事を知れた事が嬉しかった。

 せいさんの話を聞く時、私が前のめりになってないか心配だった。

 せいさんを思い出す瞬間、穏やかな気持ちになれる。



 廉くんと菜砂が付き合いだしてもうすぐ2年……というある日、私は倒れた。


 私には時間がなかった。

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