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婚外恋愛  作者:
73/84

所長の退職

 2年後……。


 子供たちもお姉ちゃんは中学生、下の子は小学5年生になっていた。

 お姉ちゃんと対等にけんかする様になったり、あんなにそばから離れなかった下の子は私なんてそっちのけでテレビゲームに夢中。


 今日は仕事から帰ったら友達が来ていておやつ片手にゲームを楽しんでいた。


「あ、けーちゃん、来てたの?」



「おじゃましてまーす!」



「おやつ、もういいの? アイス買ってきたけど食べる?」



「食べるー!!」



「じゃあ、取りに来てー」



 にぎやかな男子たち。

 もうしばらくすると完全に私から離れて行ってしまうんだな…。

 そう思うと少し寂しく、今のこの時間も大切にしないといけないんだな……、もっと優しくしよう!……とは思うものの、口うるさく言ってしまう……。


 さぁ、夜ごはんの準備に取り掛かろうかと思った時、以前勤務していた会社の先輩から電話がかかってきた。



「ご無沙汰してます! お元気ですか? どうしたんですか?」



「こむちゃん、お久しぶり! 元気? 急にごめんねー。 今、電話大丈夫?」



「今、家なんで大丈夫ですよ。 どうしました?」



「あのね、山城営業本部長が来月、退職するんだよ。 で、退職パーティーがあるんだけど、山城部長から直々にこむちゃんも呼んで欲しいって! 来れないかなぁ?って言ってるよ!」


 今は山城部長、以前は山城営業所長で、私が大学を出て就職した会社の地方営業所所長をしていた人。

 私も山城所長と一緒に大阪へ転勤した。

 長谷川さんも一緒に。


「あ、所長、退職されるんですねー」



「みたいよー。 元気だけどねー。 のんびりするって言ってるよ。 なかなか会えなくなるし、これが最後かもよー。 こむちゃんの都合どう?」



 来月末の土曜日にホテルで行われるらしい。



「たぶん、大丈夫だと思いますけど、旦那さんに聞いてから連絡してもいいですか?」



「いいよー。 連絡待ってるね。 私もこむちゃんに久々に会いたいわー! いろんな話したいよねー!」



「ほんとですね! 所長の退職のお祝いがメインだけど、私は同窓会みたいになりそうで…それも楽しみですけど……」


 後で連絡する事を約束して電話を切った。


 そっかー。

 所長、退職するのかー。

 がむしゃらに仕事をしていたあの頃を思い出して懐かしくなった。

 きっと所長に会うのも最後になるかも知れないし、何か買って行こうかな……。 あまり荷物にならない物で考えてみようかな……。

 パーティーまであと1ヶ月くらいあるし、いろいろ見て回る時間もありそうだ。


 その夜、夫に所長の退職パーティーの事を話した。


「退職パーティーかぁー。 行ってくれば? 行かなきゃ、会うのもラストチャンスかもよ? でもさ、直々に来て欲しいなんてさ、ありがたい話だよねー。 辞めても気にかけてくれてるのって嬉しいよね」



「ほんとその通り……。 私なんてもう部外者だよねー……」



 所長のパーティー、素敵なパーティーになるといいな……。


 私は先輩に出席の連絡をした。



 ホテルでパーティーだよね……。

 服、何着て行こう……。

 靴ってあったっけ……?

 あ、美容院行っておこう……。

 行き帰りのバスのチケットと、泊まるホテルの予約しなきゃ……。

 あ、私服と私服用の靴も持ってかないといけないんだ……!

 大荷物になるなぁ……。

 所長の退職のお祝い買わなきゃ……。



 いろんな事のリストが一気にできた。


 計画立てとかなきゃ……。

 焦るけど、大阪でみんなに会えるのは楽しみだった。


 とりあえず、所長に送る物を探す事が最優先。

 百貨店、とりあえず回ってみよう……。


 1ヶ月後までのやることリストを一つずつ潰していく。

 と言っても、1ヶ月ってあっという間なんだろうな……。


 私はその日を心待ちにしていた。

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