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婚外恋愛  作者:
69/84

真実

 その日の帰り、駐車場までの道のりの途中、LINEが入った。

 見ると、門倉さんだった。


 「今日は突然すみません。

  どうしても、友達になって欲しかったんです。

  井川さんは僕にとって大切なんです。」



 「大切とはどういう事ですか?」


 私はそう返して車に乗り込んだ。


 急いで帰って夜ごはんを作り、旦那さんの帰りを待った。


「ごはんまだー? お腹、ぺこぺこー」



「もうすぐお父さん帰ってくるから待ってあげようよ」


 我が家のルールのひとつに、ごはんはできるだけみんなで食べる、というのがある。

 すぐそこまで帰ってきてるみたいなので子供たちにも待ってもらう事にした。

 しばらくすると夫も帰り、前のめりに待っていた子供たちと一緒に夜ごはんを食べ、食後、ゆっくりしていた時、最後に送ったLINEの事を思い出した。


 そういや、あの後の返事、来てるのかな……?


 開いてみると返信が来ていた。

 そこには予想外の事が書かれていた。



 「井川さんは、僕にとって必要な人です。

  幸せを見つけた、そんな感じです。

  あのお店で会った時、そう思いました。」



 重めのパンチとはこの事だ……。

 直接話す方が早そうな気がした。

 LINEだと誤解されてもいけないし……。



 「そんなLINEだと、恋愛感情がある様に聞こえますよ!

  私も誤解はしたくないので……。

  何か私に話したい事があるのかな?と思ったのですが…。

  話なら、聞きますよ。」


 真剣な風に捉えてない様に私は軽い感じに返信した。

 門倉さんはどう返してくるんだろう?




 昨日、すぐに寝てしまった私は、朝、スマホを確認した。

 見ると返事が来ていた。



 「時間作ってもらってもいいですか?

  駐車場近くのコーヒー屋さんはどうですか?」



 朝は返信を返す時間もない……。

 それよりやらなきゃいけない事が目の前にたくさんある。

 考える余裕すらない……。

 急いでいろんな事を済ませる。


 毎朝、いかに事をスムーズに済ますかを考えるが理想的にできた試しがない……。

 子供たちも大きくなったとはいえ、こっちが言わないと動かない。

 時間がないよ!と言っても焦らない。


 今日もなんとか間に合った……。


 いつもそんな感じ。

 みんなを送ってすぐ私も家を出る。

 この車の中の一人の空間に毎朝の忙しさから解放されリセットされる。

 この瞬間が私は好きだ。


 さぁ、仕事頑張ろう!


 そう思える。


 事務所に着いた私は就業前に門倉さんに返信を打った。



 「おはようございます。

  今日、定時後、1時間くらいしかないですが、それでよければ……。」



 期待させない様に返したつもりだけど……。

 でも、なぜ私なんだろう……。

 謎過ぎる……。



 正直、怖さの方が強い。

 けれど、話してみて変わる事はある。

 とりあえず、話してみてだ……。


 私は朝から緊張していた。

 不安と怖さとで逃げ出したくなる。

 でも、放っておく事をできる性格でもない……。

 話すしか方法はない……。



 私は定時後すぐ、コーヒー屋さんへ向かった。


 着いてコーヒーを注文し、座って待っていた。

 仕事を終えた人が仕事帰りに立ち寄ったり、コーヒーを買って帰ったり、駅を利用する人もこのお店の前を通るのでこの界隈でこのお店を知らない人は少ない。

 今の時間は帰宅時間。

 人の行き来が激しい時間。


 憂鬱…に似た感情ではあるが、窓越しに見える人の流れを眺める余裕は少しだけ残っていた。

 少し緊張して待っていると門倉さんがやってきた。

 コーヒーを注文して、こっちへやってきた。


「お疲れ様です。 待ちました?」



「あ、お疲れ様です。 私もさっき来たところですよ」


 普通に、普通に……。



「さぁ、時間もそんなにないので……私から聞いてもいいですか?」


 いよいよ始まった門倉さんとの話。

 どこまで知る事ができるんだろうか……。



「あの……なぜ友達に……?」



「井川さんが結婚しているからです」



「どういう意味ですか……?」



「あの日、あのお店で会った時、びっくりしたのを覚えています。 雰囲気や声、僕の理想でした。 僕は井川さんをもっと知りたくて後日、ごはんに誘いましたが結婚している事を聞いて、諦めました。 でも、やっぱり諦めきれずに再度お店に行ったのですが何度行っても会う事ができず、店員さんに聞いて辞めた事を知りました」


 あ……、訪ねてきた人って門倉さんだったんだ……。


「店員さんに今はどちらにいるかも聞いてみましたが知らないと言われ、もう会う事はできないのか……と思って過ごしていたんですが、ある日、この辺りで似た人を見たんです。 すぐに人混みに紛れてしまったので結局わからず……似た人だったのかな……と思っていたんですが、少し前に、男の人と話しながら歩いているのを見てこの辺りで仕事している事に気付きました」


 宮坂さんとお昼に行ったあの日だ……。


「あの時、この人とは縁があるんだって思いました。 もう会えないと思ってたので……。 この辺りで仕事をしてる事を知ってどこかで会わないかなぁとは思ってました。 いつか会えると思ってお昼は周りを気にしてました。 ティッシュを拾っている時に会ったのはほんとに偶然で、あ、やっと会えた!と思ったんです」


「井川さんは結婚してるので僕には友達という選択肢しかないんです……。 それでもいいんです。 ただ会えるだけでいいんです」


 門倉さんはよくても私はよくない……。



「あの、一つ聞いていいですか? 結婚とかはこれまで…?」



「彼女はいました。 2年前に亡くなったんですけど……。 3年くらい付き合ってたんですが……」


 え……。

 そんな事があったの……?


 想定外の話にびっくりしてしばらく何も言えなかった……。

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