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婚外恋愛  作者:
6/84

決断

 営業所がなくなる事が決まり、これからの流れの説明が所長からあった。


 ほんとになくなっちゃうんだ……。


 私の営業所は大阪営業所に統合される。

 社員は大阪へ転勤となるが、事務の私は地方採用の為、転勤が退社か選ぶ事ができるらしい……。

 退社なら会社都合の為、退職金は上乗せがあると言われた。


 まだ営業所がなくなる事は時期が来たら特約店や二次店、取引先に営業さんから直接話をするのでそれまでは黙っている様に言われた。


 私はこれからどうするかをひたすら考えた。

 辞めるのか、転勤するのか。


 私はどうしたい?


 日々の業務は変わらずありつつ、それをこなしながらこの先のビジョンを考える。

 忙しさのあまり思い耽る事もできなかった。

 どちらか決めなきゃいけない日は刻々と迫っていて、けど、決めきれずにいた。


 社内通達があってから1週間くらい経ったある日、いつもの様に私は宮坂さんと会っていて、静かな所で話したいとお願いした。

 急に言い出した事に少しびっくりした様子だったが、近くの公園のベンチに座り私はゆっくり話し始めた。


 会社からお客様には発信がまだな事である話で統廃合で営業所がなくなってしまう事、退社か転勤か選択しないといけない事、を話した。


 宮坂さんは話を聞いて、


「たぶん、こむちゃんの中では決まってるでしょ?」


「俺が引き止めたら、大阪行かない?」


 それを言われて何も言い返せなかった。

 私が仕事が好きで楽しいのもわかってるし、だとしたら、選択肢は一つしかないと思った、と。


 きっと辞めたら後悔する。

 心のどこかでそう思っていたけど、宮坂さんはどう思うんだろう……?と、そこに引っかかっていたのかも知れない。


 今、目の前である仕事を誰かにお願いする事はできる。

 私がいないと、私じゃないと、仕事が回らない訳ではない。

 最初は大変かもしれないけど、けどそのうち回っていく、会社とはそういうものだ。

 けど、私自身がまだやりたい。

 やっといろんな事がわかってきた、営業さんのフォローが先回りでできる様になった、工場の担当の人に私という人を覚えてもらえてこれからって時。

 仕事というやりがいを見つけ、私は楽しく生きてる!と思いたい。


 やっぱり転勤願い出そう。

 そう決心した。


 会社では、大阪に持って行くものの準備や、廃棄するものの選別、毎日が凄い勢いで過ぎて行った。

 転勤までの時間は宮坂さんとの時間も大事にしようと思った。

 時間があれば会っていた。

 別れが迫っているのもわかっていた。

 離れると私はどう思うんだろうか?

 ふと、そう思う時もあるけど忙しさにかき消される。


 営業所は閉じられ、所長や営業さんは大阪へ。

 ガランとした営業所は静かで冷たくて、こんなに広かったかな……このフロア……。

 営業さんが外出したフロアで一人で目の前の業務をこなし、夕方にみんな帰ってくると、あーー、今日も無事終わったーー!って思ってホッとした。

 この前の事なのに懐かしいな。


 私は来週から大阪。

 私は少しのお休みをもらった。


 地元最後の日。

 しばらくは会えない宮坂さんとゆっくりしていた。

 宮坂さんは、私の気持ちを尊重する、ちょっとすぐには会いにくくなっただけだよ、メールも電話もできるしさ、と言っていた。


「でも、しばらく会えないんだねーー。 手も繋げないのかーー」


 そう言って、そっと手を繋ぐ。


「頑張っておいでよ。 俺が会いに行くから」


 宮坂さんは私にはもったいないくらいいい人。


「ありがとう。 いってきます!」


 私は明日から大阪へ行く!

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