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婚外恋愛  作者:
54/84

理想と現実

 せいさんと最後に会ってから数ヶ月過ぎた。

 会いたい気持ちは変わらないけれど、今はお互いの生活を大事にする時。


 連絡がない時はその時なんだと思っている。

 最近、せいさんと連絡を取っていない。


 私たちは連絡を取らない事もある。

 最初は頻繁だった。

 けれど、当たり前の如くその数は減っていく。

 連絡しない理由はさまざま。

 仕事が忙しかったり、立て続けに予定が入ってて連絡する時間もなかったり……。


 せいさんはどうかはわからないが、私は自分の気分次第で、連絡がなくても大丈夫な時も、寂しかったり不安に押しつぶされそうになる時もある。


 そう思うのは本当だ。



 けれど……少しずついろんな事を考え始めていた。

 10年先に存続できる付き合いかどうかを考えた時、存続はできないと思った。

 それを最初から承知で始めた。

 好きで相手しか見えず、周りなんか見えてない……そんな形で始まった。


 こうして知らず知らずのうちにいろんな事を考え始めた時連絡がない状況なのは、冷静に考えられる時間でもあるのかも知れない。



 ある日、バイト終わりに琴子ちゃんがやってきた。

 少し時間があったのでフードコートでお茶する事にした。


「どうしたの? 何か買い物してきたの?」



「こむちゃんに朗報なんだよーー。 実はさ、よく当たる占い師さんを紹介してもらったの。 私、この前、視てもらったんだけど、怖いくらい当たっててさ……びっくりなんだよ。 で、こむちゃんも視てもらわないかなと思って……!」



「そんなに当たってたの?」



「ほんとに凄い……。 なかなか視てもらえないらしいんだけど、私の友達が行けなくなって枠が空いたの。 平日朝なんだけどこむちゃんなら行けそうかなと思ってさ。 どう?」



「え! いつなのかな? 行ってみたい!」



 その指定された日はバイトの日だったが、シフトを何とか変更してもらえた。

 その貴重な枠を譲ってもらう事にした。

 占いなんて初めてだ。

 しかもよく当たるなんて……。

 私は一体どんな事を言われるのだろう……。

 不安半分、期待半分。

 何を聞けばいいんだろう……?

 まだ少し時間があるからその間に整理しておこう。

 私はその日を楽しみにしていた。


 その日の夜、宮坂さんからLINEが入った。


「今日夕方、車ですれ違ったんだよ。

 バイド帰りだったのかな?」


「そうだったんだ。

 気付かなかった!

 そうそう、バイト帰り。

 宮坂さんは会社に帰る途中だった?」


「そうそう。

 営業車だしわからないよね。

 またスイミングで!」


 そっか…。

 営業車はわかんないな……。



 その週のスイミングで宮坂さんと会った。



「今日も有休消化? 働き過ぎじゃないの?」



「いや、そんな事ないよ……」



「ほんと、宮坂さんが旦那さんだといいよね。 奥さん、喜んでると思うよー」



 と、何も考えずそんな話をしたら、宮坂さんがいつもとは違うトーンで話し始めた。



「こむちゃんに話そうと思ってたんだけど、俺、今、別居してるんだ……」



 え……?



「え……? その話、私、聞いていいの……?」



「あ、構わないよ。 いつもは俺の母が送り迎えしてるんだ。 だからたまには俺が休み取って送り迎えしてるんだ」



「え? でも何で? 何かあったの……?」



「……まぁ、俺が悪いのかなぁ……。 合わなかったんだろうなぁ……」



 宮坂さんと合わない人なんていない気がするけど……。



「宮坂さんはよりを戻したいと思ってないの? 修復しようとかは思ってないの?」



「たぶん、戻ってもまた同じ事の繰り返しかな、って思うから、別れた方がいいんだろうなって思うかな……」


「俺が悪いと思う……。 直接妻は俺が悪いとかは言わないけど……。 俺は無言のプレッシャーを与えていたのかも知れないね……」



 無言のプレッシャー?

 ますますわからない……。



「無言のプレッシャーって?」



「自分の理想があって、それと違うとこうして欲しいな……、みたいなのを言ったりはしないけど、顔に出ちゃったり、態度に出てたりしてたんだろうね……。 妻は頑張ろうとしてたんだと思う。 けど、それも限界がきてしまって……はっきりとは言わないけど妻は気付いたんじゃないかな。 何か、一緒に暮らすのが苦痛になってきた……って言われたんだ……」



 そうだったんだ……。



「理想かぁ……。 でもいい奥さんだったんでしょ? 好きで結婚したのに……」



「好きで結婚したのかなぁ……。 正直、わからないんだよね……」



「恋愛結婚でしょ?」



「恋愛結婚だったけど……、たぶん、迷いがあったんだよね……結婚に……。 結局結婚してもうまくいかなかったんだよね。 迷いがあるうちは結婚しちゃだめなのかもねーー」



「奥さんも理想の奥さんになろうと頑張ってたんだろうなぁって思うけど……そこを見てあげれないの……? 離婚しなくていい方法考えなきゃ!」



「頑張ってたのかな……とは思うけど、無理なんだよね……、理想にはなれない……」


「理想はこむちゃんだから……」



 え……? 私……?


「え……? どういう意味?」



「俺はずっとこむちゃんと別れた事を後悔していたよ。 あの時、お互い好きな気持ちはあったけど別れたでしょ? こむちゃんの事を思って別れたけど、やっぱり別れるべきじゃなかったって思ってた。 こむちゃんを忘れようと思って何年も彼女作らなかったりしたけど……。 ようやく付き合ったのが今の奥さんで……けどさ、やっぱり自然とこむちゃんと比べてるんだよね……。 こむちゃんならこうするだろうな……とか、こう言うだろうな……とか……」


 宮坂さんは子供たちが泳ぐプールを眺めながらそんな話をした。

 私は話を聞きながら、宮坂さんと付き合っていた当時の事を思い出した。

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