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婚外恋愛  作者:
37/84

《告白》

 今日はやっとこむちゃんとちゃんと会える。


 自分から遠ざけておいて、やっぱり好きだったなんて都合良すぎるよな……。


 けど、そんな事よりもこむちゃんに会いたかった。

 もう一度だけチャンスが欲しい……。

 自分の気持ちをぶつけてみたい。

 それでダメなら諦める。

 でも諦め切れるか、そこは不安だった。


 自分でも本気過ぎるくらい本気で好きになってしまっていた……。


 何とか会ってくれる約束までこぎつけた。


 仕事も相変わらず忙しいけれど、こむちゃんに会えるという目標ができてもっと頑張れそうな気がしてきた。

 何とか仕事も目処がたち、帰れそうな事をこむちゃんに伝えていたが、SNSにログインしていない様だった。


 今度はオレが待つ番だよな……。


 そう思ってこむちゃんから連絡が来るのを待った。

 毎日何回もログインしては返信をチェックしていた。

 待ってる間、こむちゃんの事を考える。

 こむちゃんも俺からの返信をこんな気持ちで待ってたんだろうか……。

 無常に流れる時間をただただ受け入れ返ってくると信じDMを送ってくれていたのか……?

 文句や俺に対して怒りをぶつけたりせず、健気に待っててくれたのか……。



 この前初めて会った時、こむちゃんが放つオーラは柔らかいものだった。

 優しさの塊みたいな人だな……そんな印象だった。



 バイト終わりにこむちゃんがコーヒーショップにやってきた。


 こむちゃんは俺のどストライクだった。

 どストライク過ぎる。

 この間初めて会った時、

 「やばっ……。」と思った。

 かわいい人だな……。

 性格も優しいし癒し系。

 本気でやばい思った……。

 一目惚れに近い。

 こんなにも会いたかった人に一目惚れって……。

 会いたい気持ちが一気に加速した。



 カウンターでコーヒーを待つ彼女は、店員と何か楽しそうに話している。

 その店員に向けられる笑顔を俺に向けて欲しい。

 

 こむちゃんは、どんな気持ちで今日会ってくれたんだろう……?

 話したくないのを無理して来てくれたのかな。


 こむちゃんの気持ちが知りたい……。



 こむちゃんがコーヒーを手に俺の横に座った。


「こんにちは。 待った?」


 優しいこむちゃんの声……。


 この前とは違ってちゃんと俺と話してくれる感じだった。

 この前言えてなかったからと、【初めまして】も言ってくれて律儀な子だな……と思った。


 俺は無視し続けた事、ブロックした事、傷付けてごめん……と謝った。


 けれど、こむちゃんは変わらず俺は悪くないよ、と言っていた。

 そんな事はない。

 俺はあの時逃げたんだ。

 男らしくない。

 

 こむちゃんはじっと俺の話を聞いていた。

 だんだんこむちゃんも緊張がほぐれてきたのか少し笑顔が見えるようになってきた。

 チラッと見える八重歯。


 かわいいな……。

 俺はドキドキした。


 俺は謝りたかったし会いたかった。

 会いたかった意味をちゃんと伝えたい。


 こむちゃんからななみちゃんの話を聞いた。

 まさかと思ってびっくりした。

 ななみちゃんはこむちゃんに会いに行ったらしい……。

 ななみちゃんの気持ちに気付きながら俺はまた逃げたんだ……。

 ななみちゃんにちゃんと伝えるべき事は伝えた方がいいよ、と言われた。


 確かにそうだ。

 俺は逃げてただけだ……。

 ななみちゃんに謝る為のDMを送ることを約束した。


 俺はそのななみちゃんのおかげて気付いた事がある。

 それはこむちゃんへの想い。


 本気でどうしようもなく大好きだ。


 自分の立場も分かっている。

 妻も子供ももいる。


 でも……。


 惹かれてしまう……。



 白い肌、二重の目、柔らかそうなくちびる、笑うと見える八重歯、長い茶色い髪、優しい声……。

 

 こむちゃんの全てが欲しくて仕方なかった。

 俺だけのものにしたかった。


 俺は気持ちを伝えた……。


 こむちゃんが本気で好きだ、もう嘘はつけない、こむちゃんに惹かれた、調子いいこと言ってるのはわかってる。 けど、無理なんだ、こむちゃんを忘れられない。 ずっとこむちゃんを想ってた。 会いたかったし話したかったし触れたかったんだ。 大好きなんだ……。


 そんな感じの事を伝えた。


 こむちゃんは目に少し涙をためていた。

 それはどっちの涙なんだろう……?


 しばらく俺はこむちゃんを見つめていた……。


 こむちゃんはゆっくり話し始めた……。


 俺を忘れたつもりだったけど、忘れ切れてなかったんだって思う。 俺を好きだと言ってくれた。



 お互いの気持ちが繋がった瞬間だった。

 嬉しかった。

 告白してよかった……俺はそう思った。


 こむちゃんを抱きしめたかった。

 けど、そんな事をしても許される相手ではない事もわかっていた。

 これからそんな事はたくさん出てくる。

 忍んで育まないといけない恋というのも分かっていた。

 普通の恋愛とは違う。

 それでもこむちゃんが好きでたまらなかった……。


 俺は目の前にいる好きな人を熱く見つめるしかできなかった。


 でも、それが俺が望んだ恋愛だった。

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