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婚外恋愛  作者:
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恋とは無縁

 自宅から大学へ通いバイトを始めた私は、友達に誘われたサークルに入らず、講義が終わればバイト先へ行くという毎日を送っていた。

 バイト先もいい人ばかりで楽しく働けていた。


 もちろんそんな毎日なのでドラマとかでよくあるキャンパスライフとは程遠く、けれど、私自身それで満足していた。

 特別な事はない毎日。

 自宅から大学へ講義を受けに行ってその後バイトに直行、そして帰宅。

 それが当たり前になりつつあった。


 私は人見知り。

 けれど、必ず人はそれを聞いてびっくりする。

 初めての人は何を話していいかわからないし、どこに地雷があるかわからない……。

 平和に過ごしたい私は自然とそうなる。

 それは男の人であっても女の人であっても同じ。

 今ある人脈は少しずつ少しずつできたもので、きっかけは相手からのアクセスがほとんど。

 仕事だとどうしても人見知りだからという理由ではクリアできない事も多く、そこは切り離して考えていたので自然と仲良くなっていく。

 会社の同僚と仲良くなったのはそんな感じだった。

 心を開いた私のイメージが強いらしく、人見知りだった事はすっかり忘れられている。

 人見知りではあるけれど、明るくいようと思っている。

 いつも笑ってようと、それは以前から私が必ずそうであると決めている事。

 私といえばいつも笑ってる子という代名詞が付くぐらい、そうでありたいと思っている。

 だから尚更、人見知りのイメージが付かない。


 大学時代、


「コンパ行かない? いい出会いがあるかもよ! 行ってみようよーー!」


 友達にそう言われても特に彼が欲しい訳でもなかったし頑なに断っていた。

 それに初めての人ばかりだと疲れるのもわかっていた。

 それより、友達やバイト仲間とゴハンを食べに行ったりカフェでお茶しながらおしゃべりしたりオールでカラオケ行く方がずっと楽しかった。

 今は彼より友達。


 そんな感じが大学卒業してもしばらく続いた。


 私は外資系の企業に就職した。

 新人研修は東京の本社。

 私にとっては初めての東京だった。

 ほんとに、人、人、人!!

 高いビルがたくさん建ってる。

 地方採用の私は、ここがみんなが夢見る『東京』なんだと、この今、目の前にある景色を焼き付けようと辺りをきょろきょろする。

 東京というところに憧れないという訳ではない。

 素敵な場所もいっぱいだし、夢がある人は夢を掴むチャンスが地方よりあるのかな、って思う。

 私には遊びに来るところ、そんな感じの方が強かった。


 3日間の研修を終え、同じく地方採用の同期との別れを惜しみ、明日から始まる社会人生活にワクワクしていた。

 最終便の飛行機から見る東京は本当に綺麗で、私の人生で見た事がない景色だった。

 このキラキラした場所を飛行機から眺めているうちに、私が住むところの空港に着く。


「暗い……」


 わかっているけど、さっきの華やかさから少しの時間でこうも変わる?

 これが地方だ。

 私はその地方でやるべき事をやる!

 そう決めていた。


 最初は手探りだった業務もそれとなく慣れてきて、仕事というものが楽しくなってきた。

 私の営業所には事務員は私一人。

 朝、朝礼をした後には営業さんはみんな出て行ってしまう。

 取引先とのやりとりはもちろん、工場との連携や、留守の営業さんへの連絡、営業所の経理も、毎日が忙しかったけどその忙しさが私には合っていて、仕事というものが楽しくて仕方がなかった。

 恋などする暇なんてなかった。


 そんな時、取引先の営業さんが事務所にやって来た。

 電話ではよく話していたけれど、会うのは初めてで、お互い、よく話すのにねーー、と電話の声と目の前にいる本人を頭の中で紐付けしていた。

 出先でわからない事ができてしまい、うちの会社が近かったので助けてもらおうと思ったらしい。

 あいにく、営業さんは出てしまっていて私一人。

 カタログを見ながら工場の担当者に内線をかけ担当者から教えてもらった事をそのまま伝えてみる。

 専門用語もあって私にはまだまだ意味不明だったけどその人は私の発する言葉を汲み取ってくれて理解してくれた。

 どうやら問題は解決したらしく、その人も一安心した様子。

 私も一つ勉強になったし、人の役に立てた事が嬉しかった。

 コーヒーを出し、休憩してもらいながらいろいろ話をする。


 営業さんや工場の担当者じゃない男の人と仕事以外の事を話すのはとても新鮮だった。

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