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天夜神界威譚   作者: あまつや
4/15

怨炎風飄 続



風神の斬撃は、白詰の身体を容赦なく刻む。

しかしそれに構うことなく彼女は魔炎を撃ち続けた。

次第、白詰の炎により周辺の温度が焼けるほどに上がる。

彼女の傷口から血の代わりに漏れ出る魔力は、炎となって周囲を焼いた。

そして傷の数に比例するかの如く、放つ魔弾は一層苛烈となる。

しかしどの攻撃も避けられるか()()()()、当たったとしても致命傷どころか決定打にも至らない。

白詰は思わず歯がみし、風神を睨みつける。


「確かに強いのは認めましょう。」


無論、妖狐ごときの睨圧なぞ意にも介していない。




小刀で払った炎弾から伝わる魔力。

これは並の魔物の熱量ではない。

過去、数々の魔物から悪神に至るまで討ってきた風神にとっても、驚異となりうるものである。


あたれば、だが。


「ただの力自慢ははいて捨てる程、相手をしてきました。」


そして斬撃波を放ち続ける。




連続して放った炎弾も、全て紙一重で躱された。


「ダメだ」


このままでは、


そしてつられたように、()()()()()()()()()()()


「ねぇ、風神さま...だっけ。」


「あなたも...楽しい?」


また、殺し合い(たたかい)を楽しんでしまう。




白詰な笑顔におぞましさを感じ、風神は思わず間合いをとった。


奥の手を、隠している?


魔力の消費、ダメージの蓄積、なにより今の、肩で息をし膝に手をつき、立つ姿...


まだ何かあるようには見えんが...


風神は警戒を強める。

が、決して気圧された訳ではない。


あらゆる可能性を探り、あらゆる策を看破する。

それが、この【風と流れを司る神・ウィンディア】である。

これまで力押し一辺倒だった風神は実は、児戯ほど力も出していなかった。


「何をお考えかわかりませんが...よろしい、少しだけ本気を出しましょう」


そう言って、その場で手を振る。

するとその手には既に剣が握られていた。

脇差程の短めの物だが、風神の放つ魔力が重くなった。

そしてなにより、肌刺すような殺気が一層強まる。


「すぐに、殺られないで下さいね」


その言葉と共に、風神は姿を消した。

刹那、白詰を襲う斬撃。辛くも致命傷は回避するが、胸元から肩にかけて大きく切られる。

さらに一閃、二閃。身体を翻し、なんとかかわす。

しかし、斬撃止むことを知らず。

全てを避け切れるはずもなく数太刀、受けてしまう。


この時、風神は目にも止まらぬ高速移動で動き続け、攻撃を繰り出し続けていた。

瞬間的に、超高速で動く者は幾ばく存在()れど、その速度で持続的に動き続ける事ができるのは、数える程もいない。

まさにその姿、風の如し。


白詰の傷は増え続け、吹き出る魔力はもはや致死量である。

白詰は遂に、膝を地につき視線を伏してしまった。


「...とんだ期待外れですね。」


この程度か


とばかりに白詰に歩み寄る。しかし、警戒は一切解かない。風神から溢れ出る殺気がそれを物語っている。


「最後に残す言葉はありますか?」


白詰の首筋に、刃を向ける。そして介錯せんと刀を振りかぶるその時であった。



「ねぇ、風神さま。」


()()()()?」



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