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天夜神界威譚   作者: あまつや
12/15

いつか訪れるべき別れ




「そうか、主もいくのか。聖魔殿よ」


「二人なんだから、オリヴィアでいいですよ。オヴニルさん」


「…その響きも久しいものよ」


「そんな寂しそうな顔しないでください。これは順番です。でも私だけ遅過ぎたかもしれません」


「そんなこと無いわ。主と出会った時も老いぼれたと思っておったが、あれから歳をとった。友の死とはいつまでも慣れぬものだな」


「そんなもの慣れない方がいいですよ。でも結構変わっちゃいましたね。魔王領も人間界も」


「なに、儂にすれば他愛も無いものよ。我ながら好かんな、この龍の生というものを」


「それよりも気をつけて下さいね。最近人間界では、龍狩りが横行してますから」


「クク、やつらも変わらんな」


「そうですよー。身勝手な奴ばっかりなんです」


「主が言うと違うわ」


「フフ。オヴニルさん、お願いがあります」


「なんじゃ?煙草ならあと少しあったはずじゃが」


「オヴニルさんのしけってるじゃないですか!違います。手を握っていて欲しいんです」


「シュナが嫉妬せんかの?」


「多分、今日だけはいいと思います」


「そうか。こんな老いぼれの手なんぞ好きなだけ…」


「オヴニルさん昔のままじゃないですか。綺麗なままですよ」


「主も変わらんな。グレイス嬢の城で初めて会った時からかわらん」


「ふたりとも、元気ですかね」


「さぁな、死後の世界とやらがあるなら元気じゃろ。所でオリヴィアよ。主からしたら二度目の死じゃ。また何処かで生まれ変わるなんてことないかの?」


「どうでしょ。でももし生まれ変わったら、ここまで飛んできます!」


「…そんな事言われると、本当に待ってしまうの」


「今日のオヴニルさん、なんだかしおらしいですね」


「年寄りを揶揄うな」


「オヴニルさん、もうちょっとゆっくりしたかったんですけど…」


「その時か…」


「みたいです」


「大した感謝も伝えなんですまんな」


「いえいえ。いつも通りのオヴニルさんと話せたので良かったです。…オヴニルさんはゆっくり来て下さいね」


「…できればはよういきたい」


「ダメです。私の最後のワガママと言う事で!」


「主はズルいの」


「……オヴニルさん。後の事、お願いしますね」


「…うむ。向こうで皆によろしく頼む」


「オヴニルさん、ありがとうございました!ではでは」


「うむ。最後まで主らしいな」


「…」


「…」


「…」


「なぁオリヴィアよ…」


「…オリヴィア…」


「…ありがとう、オリヴィア」






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