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アングラミュート 銀の弾丸  作者: 土野 絋
本当の別れなど知らない
3/24

ミトラ

ワラビモテ

あ、このまえがきは作者が書いてませんので。

「今週で既に5人。」


ハラリが書類を机に投げ置き、椅子へ乱暴に座る。


今週だけで5人の行方不明者。

バァダバァナ事件から日に日に行方不明者は増えている。


「カウラ、どう思う。」


「人為的に思えます。そもそも法則性がありません。バァナが原因なら移動と共に行方不明者の分布が移動するはずですが、このマップでは街の反対側に行方不明者が出ていたりと不自然です。」


カウラは机の上の地図を指さして、意見を言う。

緊張しているのだろうか、軽く汗をかいている。


ん……、とハラリは腕を組み俯く。


「ヴァルナはどう思う。」


「カウラとほぼ同じです。行方不明者の共通点は未だにハッキリしていません。」


「そうか、分かった。引き続き調査続けろ。」


「はい。」


「リウラ!」


「どうされましたか。」


痩せぎすの長身の男。ハラリの秘書的な役割をしている。


「過去の行方不明に関する資料をまとめて持ってきてくれ。」


「分かりました。」


「俺はもう一度、行方不明の事件について調べる。」


ハラリは葉巻をひとつ取り出し、トントンと机を小突く。


「臨時ミーティングは終わりだ、帰っていいぞ。」


「はい!」






「ヴァルナ、飲み行こ。」


「今日はカレーなんだよ。」


「いいじゃねーか、一晩置いた方が美味しいぞ?」


「最近、ミトラが家事の研究してるから手伝ってやんねーと。」


じゃ、とヴァルナは帰って行った。


「ホントミトラ様のこと好きだよなアイツ。」


独り身にゃ辛いな。


「かーえろっと。」


あ、巨乳のお姉さん発見。






「ただいま。」


「おかえりー!」


カレーの匂いが玄関からでも香っていた。


「もう出来てるぜ?ダーリン。」


「じゃあ、うちの娘の様子みて、早いこと食べるか。」


「ああ、カレー食べ終わったら話したいことがあるのよ。」


あの()のことで。


分かったよ。



俺の両手にすっぽりはまる赤子はすやすやと眠っていた。


ふわりと心地よい風が吹く。


お前は幸せにしてやるからな。




野菜がごろっと入ったカレー。

美味しそうだ。


「今日は趣向を変えて食感の方へフォーカスを当ててみました!」


「いただきます。」


「いただくがよい。」


まず1口。


うん、これは……。


「野菜に火が通ってないな!」


「あちゃー。」


「野菜シャッキシャキ。」


「じゃあ、食感は良いな!」


「うん、カレーには合わんけど。」


「キビシー!」


まぁ味は研究したかいがあったのか、美味しい。


「なあ。」


「ん?どしたの、ダーリン。」


「家事とか苦手だったら全然俺がやるからな?」


ふふ、と笑ってミトラはカレースプーンを止める。


「まぁ得意じゃないけどさ、ダーリンには普通の暮らしを満喫して欲しいわけよ。」


まぁ私も普通の暮らしなんか分からないけどさ、ミトラはけらりと笑う。


「それでも、辛かったら言えよ。」


俺の方が得意なんだから。


「あ、今のはカチンときた。」


にしても、ほんとにシャキシャキだな。


ねー。






カレーも食べ終わり、食器も片した。


「で、話って?」


「あの子のことでね。」


まぁとりあえず座って話しましょ、とミトラはテーブルを示した。


「落ち着いて聞いてね。」


「ああ。」


「あの子、純粋な人間じゃないわ。」


俺の頭の中には多くの?マーク。


「あの子はたぶん信仰力を増幅させる性質を持ってる。」


「待ってくれ。」


それは……。


「俺の……せいか?」


「いいえ……神に近づきすぎた、私達のせいよ。」


ミトラは続けた。


「私達は神に近い、帝国は王様が唯一の神としているけれど、私だって信仰力は持ってる。それこそ擬似的に神性解放が出来るくらいに。」


神性の解放はある一定信仰を得ると使える、人間の力やこの世界の力に沿わない力のことだ。


「ダーリンは……鬼とはいえ、元々神様でしょ?」


俺の場合は、ある一定の信仰を得たあとに信仰を持ったまま皆が死んだ。

虚信仰の力を得てしまったが為に、神から堕ちた。


「信仰を得ている者と、信仰を得ていた者の子だから、たぶん……それで……。」


「増幅機……か。」


「ええ。」


「平凡に暮らさせてあげたい。」


「私もそう思う。」


だからね。


「神霊騎士団の中だけの機密にしようと思って。」


「そうか、ありがたいな。」


「一応国の機関だしさ。」



「ってことで!!明日は何の日だ!」


「まだ話は終わっ─」


「終わり!!」


無茶苦茶だ。


「明日か……。」


なんかの記念日だっけ……。

やばい、覚えてない。


「マジかよダーリン。」


ものすごく呆れた顔をしたミトラ。

やばい、本当にわからん。


「明日はダーリンの誕生日なんですけど。」


あー、そういえばそうだったか。

記念日とかじゃなくて良かった。


ホッとした俺だった。


「明日はケーキ買って待ってるかんね!」


ミトラはいつも笑っている。


本当に良い奥さんだ。

キナコモテ

そろそろ終わると思いますこのまえがきあとがきシリーズ

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