表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アングラミュート 銀の弾丸  作者: 土野 絋
抵抗者たち
17/24

強く織り成して

こんにちは、リアルでしんどいことがありましてね。

人生が終わる勢いでヤバめです。

成り上がってやります。

神霊騎士になる者は儀式的に国中を旅していく。

それは神霊騎士団支部の挨拶回りと、これから忙しくなる神霊騎士の為の最後の長期休暇を兼ねている。


私は真っ先に最北端の神霊騎士団支部へ向かった。

それはミトラ様に散々と言われていたことだった。


「シスター=カーマから目を離すな」と。


ここの支部、正式には神霊騎士団極北支部と言う。

その近隣の街から人が消えて行くという問題があった。


何故か男だけが消えていく。


ミトラ様は都市ベリィの行方不明者と共に深刻に考えていた。




「ところでリンド様。」


シスター=カーマが奥へ私を案内しながら少し振り返る。


「なんでしょうか、シスター=カーマ。」


「そのシスター=カーマと呼ぶのを辞めていただきたいのです。」


「気分を害されましたか?」


「いえ、そうではなく……。」


シスター=カーマは少し悩み、困ったように眉を寄せた。


「日頃私はカーマ、とだけで呼ばれておりますので……その、慣れなくて……。」


「あぁ!そうだったのですね。やはりシスターと付けなければ神霊騎士団としては失礼に当たるものですから……。」


ミトラ様は確か、シスターと呼ばれるのをひどく嫌っていたな……。


「部下にもシスターとは呼ばせないようにしているんですの。親しみが深くなるように祈りを込めて、あえてそう指示しています。」


「それは素晴らしいですね。」


また、違和感。会話が滑っているようなこの感覚、ただの世間話だからそれでも良いのだが……。


何故だ、何故この会話に私は違和感を覚えるんだ……!?




「今日はここで泊まられますか?」


カーマは一番奥の部屋の扉に手をかけて尋ねた。


「ええ、差し支えなければですが……。」


「ならば部屋を用意させましょう。手形に判を押しましたら、ここの街を観光されてみるのをお勧めしますわ。」


「ええ、そうします。」


カーマへの違和感は晴れることは無く、私は旅の挨拶回り完了の判を押して街へ繰り出した。





極北支部はトゥシミールという街にある。

トゥシミールは美しい山々に囲まれた長閑(のどか)な街である。

また、機織(はたお)りの名産地でありトゥシミール織りはベリィでも高値で売られている。

機能性があり、独自の編み込みは靱やかで下手な刃物では貫かれることは無い。


ちなみに神霊騎士が着用する純白の軍服コートはトゥシミール織りで作られている。

神霊兵や帝国機動隊は真っ黒の廉価のトゥシミール織り。

それだけトゥシミール織りは万能なのだ、かなり高価だが。


街は人で賑わい、活気に溢れている。

私は神霊騎士となるためのある場所へ向かっていた。

トゥシミール織り、老舗の仕立て屋。


──ディン・パハディ・ヴルト。


代々の神霊騎士はここで軍服コートを仕立ててもらっていた。



「失礼します。」


カランカラン、と扉の鈴が鳴る。


「おや?誰かね?」


腰の曲がったお婆さんが奥から覗く。


「ヴルト様、私が──。」


「言わんで良い、ここに来る神霊兵は神霊騎士になる者しかおらん。」


「えぇ……リンド・アーキマンと申します。」


「ふむ……。」


店主ヴルトは私の足元から頭の先までじっくりと見る。


「小さいねぇ。」


「うっ……。」


グサリと来た、私は……。


全部が小さい!!!



「珍しく弱い神霊兵が神霊騎士に選ばれたのかと思ったよ。」


「それは……どういう……。」


「小さいとやはり戦闘には劣るからねぇ、でもお前は……そうさね。」


採寸の巻尺を伸ばし、鋭い目で私を見つめた。


「お前は絶対に“負けない”ね。」


ジンと目が熱くなった。


ミトラ様が亡くなって、あのくそあほも死んで……、この1年は本当に辛かった。

計画が失敗したあとは帝国が根本から変わってしまった。

奴隷制が始まり、貧しかった人々は徐々に街から消えて路地裏に使い捨てられていった。


神霊騎士団は保護して行ったが、何も変わりはしなかった。

何も出来やしなかった。

バァナは依然湧いて出た。対応に追われて、街に戻れば人が死ぬのを目の当たりにして。


ただ、辛かった。

行方不明者は増えて街は賑わいを失った。


ベリィが死んでいくのをただ見ていた。




「リンドや、お前はこの1年よく耐えたな。」


「えぇ……、えぇ……。」


壊れたように相槌を打った。涙が止まらなかった。



「……このヴルトがお前の為に心を込めて、強く仕立ててやろう。」


あまり泣いてはいかんぞ、とヴルト様は巻尺を私の体にあてがった。


「私は……!もっと強くなりたいんです……!!」


「そうかそうか、これからお前が受ける荒波を越えられるように祈っておるよ。」



「はい……!!」




尼神インターの誠子ちゃんてブサイクって言われてますけど、結構俺は好きなんですけど。

え、なんかちょうど良く可愛くないですか?

これ言うと私がB専みたいに言われるんですけど、いや可愛いっすよ絶対。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ