反転、そして限界
投稿遅れました……m(*_ _)m
ミトラはなぜ殺された。
心臓を取られても、娘を守ろうとする母親をなぜ敵は殺せた。
殺してやる。
俺はなぜ2度も独りになった。
娘すら守れずに、情けなく救けられて、死んで。
まだ情けなく生きている。
神としても俺は皆を助けられなかった。
あの時の皆は誰に殺された。
突然砂漠から灰色の気色の悪い生物にやられた。
殺してやる。
俺にはまだミトラが必要だ。
だからアングラに来た時にお前の十字架を探したんだろう。
サティを救わなきゃならない。
そんな時にお前の痕跡を見た。
ピュセルという女はお前にそっくりだ。
光を見た。初めて戦ったときのあの光を。
「弾丸式“排他的な箱”!!」
あの術はミトラが作った術だ。
俺は守らなきゃいけないんだ。
あの光を!!!
バァナはピュセルの技により1部分のみ削れた形で悲鳴のような声を上げ、大きくよろける。
「もう2発!!」
そう言ってピュセルは二丁拳銃を構えた。
「いや、いい。」
ヴァルナが片手で制する。
「理由は後で聞かせろ、今はアイツをやる。」
そのままバァナに突っ込んだ。
「今は不思議と頭がスッキリするんだ。」
蘇った時からずっと感じていた。何かがもやもやとした感覚。頭の中に答えがなくて、何をしたらいいのか分からないこの気持ち。自分が情緒不安定になったのかと思っていた。
あの光を見た。
それだけでいい─。
「ピュセル!バァナが増えてきてる!!」
ジャックマンが叫ぶ。
バァナは今3体。
「ジャックマン!援護して!!」
専用弾丸をもう3発ずつ装填する。
「おうよ!!」
バァナ一体をアッパーで突き上げる。
宙に浮いたバァナを3発の“排他的な箱”で撃ち抜く。
ミトラ様が使えばフィールドを埋めつくした上で敵か味方を選別して発動できる。
私は銃弾で打ち出すから規模は狭いし、敵味方の区別できない。
でもこの力だけあればレジスタンスの皆をバァナから守れる。
ピュセルは片方の拳銃を構えて、弱ったバァナに向かって吐き捨てた。
「逝け!!」
バァナを一体切り刻んだ。鬼性は解放するまでもなかった。
“排他的な箱”はミトラしか使えない。なぜピュセルは使えるのか。
今はそんなことはどうだって良い、ミトラの影を少しでも見たならば、やることは決まっていた。
ピュセルに気づかれないように上空からバァナが襲う。
「小賢しいな……!」
剣を投げつけた。
足に力を込めバァナに飛びつく。
「ゥオラッ!!!」
バァナに剣が刺さる、しかし刺さりが浅かった。
そこに渾身の蹴りを叩き込む。
深く刺さった剣ごと3レーデル先へ吹っ飛ぶ。
ピュセルは驚いた顔で俺を見た。
「あ、ありがとう……?」
無言で俺は頷く。
まだ飛ばしたバァナは生きている。
「ピュセル。」
「何よ?」
「帝国をひっくり返すなら俺より強い力が要る。俺は帝国で1番強いわけじゃない。」
「分かってるわよ……。」
目を伏せるようにピュセルは応えた。
「ジャックマン!!」
「んだよ!てめぇ!仲間面してんじゃねぇよ!!」
「お前はもっと強くなれ。」
「んあっ?」
虚をつかれた様な声をジャックマンがあげる。
「お前の武器は拳だけじゃないだろう。」
剣が刺さったままバァナが起き上がる。
「帝国は腕2本じゃ壊せない。」
ジャックマンはただ黙って聞いていた。
武器は剣でも拳でも銃でもない。
「命と身体が武器だ。」
俺は全身に力を込める。
全ての攻撃は繋がっている。
ジャックマンにはそれが無かった。
全ての関節はこの拳の為に─!!
バァナに向かって足の助走で加速。
腰の回転、背骨の撓り、肩の回転、肘の伸展、手首のスナップ。
その全てを1発に。
ビュッ!!
風を切る音。
せっかく起き上がったバァナは地面に叩きつけられ、動かなくなった。
「ただの拳で内臓だって破壊出来る。」
「……。」
ジャックマンは拳を握り締め、睨み、黙った。
そうだ、それでいい。その殺気が帝国を壊す材料だ。お願いだから、それを忘れてくれるなよ……。
ヴァルナは焦っていた。身体は若いが、もうこれ以上強く成長することは無いと悟っていたからだった。
投稿が遅れてしまって申し訳ございませんm(*_ _)m
早く投稿しろよとか思ったでしょう?
いやでもね、知ってるんですよ。
そんな読者今んとこ居ないことくらい……。
ウワァァァァァン!!