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第204話 同期率50%


「ふー、どっこいしょ」


 自分の執務室に戻ってきた俺は、ドカッと勢いよく椅子へ腰を下ろした。


 やっぱり自分のダンジョンって気楽で良いね。ゴブリンの巣の(コア)ルームは空気が淀んでいるから長居したいとはちっとも思わん。それに、ここに戻ってくると。


「マスター、お疲れ様でした」

「ただいま」


 ノアが労いの言葉に加えて、美味いお茶まで用意してくれる。

 ここまでしてもらって、ようやく仕事にひと段落付いたって気になるのだ。


「あー……お茶がうまい」

「マスター、この後の予定は?」

「ん? ああ、予定……ってほどのことでもないけど、自分のことを顧みようかなって思ってるよ。ちょうど良い機会でもあるしな」


 そう、ちょうど良い機会でもある。

 さっき軽くステータスを覗いてみたら、変動があった。俺のステータスで一番気にすべき項目である同期率に。

 だもんで、今回は腰を据えてじっくり確認するつもりである。


 ぶっちゃけ、ここ最近もごくたまーにステータスを覗いたりすることはあった。のだが……まあ、大きな変化というのはそうそう起きるはずもない。

 何度見ても代わり映えしないステータスなんぞいちいち細部まで見ても仕方ないってな訳で、最近はちゃちゃっと気になる項目だけを選択する方法ばかりを取っていた。


 細部まで目を通すのは本当に久しぶりのこと。最後にちゃんと確認したのは……多分、同期率が40%になった頃が最後なんじゃないか? それぐらい久々なのだ。


 

名称:なし、自称:マスター

種族:不定形、ダンジョン

称号:狗頭人(コボルト)の守護者、蝦蟇人(トードマン)の理解者、魂の寄る辺

(コア)耐久力:40000 DP:312383 同期率:58% 階層:4/4 部屋:12/20 門:4/10

スキル:生成、収納、解析、創造、付与、思念波

ユニークスキル:同期、化身(アバター)、不屈、次元力制御、慧眼、魂の器、栄光の手(ハンズオブグローリー)

加護:女神の加護

化身(アバター):柴犬、狗頭人(コボルト)犬精人(クーシー)、ヘルハウンド



 スキルは『化身(アバター)』を二体同時に動かすことと、頻繁に付け替えしたりするので主だったものだけを表示してみた。ついでに選択できる『化身(アバター)』も見れるようにしてみたり。

 普段からスキルをいじくるようになったおかげで、ステータス表示の仕様を変えるのなんて今さら難しくもないな。


 では改めて細部に目を向けると……うん、やっぱり新しい発見があった。


 『魂の寄る辺』? こんなもん、いつ得たのか全然知らんぞ。

 ポーラに『魂の牢獄』なんて言われたことや『理想郷』作りにでも関係してるのかね?


 まあ、称号は別に良いや。俺に何かしら影響しているような実感も無いし、気に留めてないから今の今まで気付くこともなかったわけだしな。


 そんで次……『次元力制御』だ。多分、『次元力操作』が変化したものだと思うが……これもよく分からん。いつの間にだろうか?

 何が変わったっていう実感も無いけど、次元力を上手く扱えるようになったってことで……良いってことにしとこう。考えてもさっぱり分からんし。


 そんなよく分からん変化はさておいて、目を向けるべきは肝心のアレだな。同期率。

 直近の節目であった50%を超えるどころか、次の節目まで目前に迫った58%ときたもんだ。


 それを成し得たのは、このどう見てもおかしい量のDP。30万超えなんて冗談みたいなことになってやがる。

 これじゃあ、補助核(サポートデバイス)で『省エネ』図る必要無かったかもしれんぞ……。


「むぅぅ……」

「マスター、大丈夫ですか?」

「んあ? ああ、すまん。大丈夫」


 ついつい唸り声を出したせいで、ノアには俺が思い悩んでるように見えたのかもしれん。あながち間違ってはいないけど。


 しかし30万か……。その割に同期率の上がり方が弱い気がしないでもないな。

 やっぱりあれか? 同期率が高くなってくると上がり方が弱くなるとか……。そうでもなければ、今のDPだと60%を超えてもおかしくなさそうなものなのに。


 ちなみにだが、この30万なんてDPの量、そのほとんどがゴブリンを『分解』して得たものである。


 今回のゴブリンの巣の探索で『分解』したゴブリンの数というのが8千……だったか、それぐらい。一体一体が大したDPじゃないゴブリンも、それだけ数がいれば今回みたいなことになるというわけだ。

 他にもレギオンを『分解』したり、ポーラに『魂の器』を『付与』したりして増減があったが……うん、今のDPを前にすれば大した変動には見えんな。気にしないでおこう。


 ……さて、DPの使い道は後でじっくり考えるとして、だ。同期率が上がったということは、俺のダンジョンとしての性能を上げるチャンスが訪れたということでもある。


 前回までは支援者(システム)が手を加えてくれたので俺が気にしなくても勝手に性能が上がっていったけど、今回からはそうもいかん。支援者(システム)がいない今、俺が自力でどうにかしないと性能は据え置きのままになってしまうのだ。


 とはいえ、この性能の上げ方も今さらだな。

 理屈はとっくに理解してる。大したことじゃあ無い。


 端的に言うと、補助核(サポートデバイス)と同じだ。

 同期率の向上で容量が大きくなった俺の(コア)に、上げたい性能の情報を書き込むなり書き換えるなりすれば良いだけ。俺からすれば慣れたもんだよ。


 ってなわけで早速――。


 

(コア)耐久力:40000 DP:312383 同期率:58% 階層:4/5 部屋:12/30 門:4/10



 ――はい、おしまい。

 取りあえず、上限いっぱいになってた階層と部屋数だけ増やしておいた。門は余ってるから今はいらんだろ。

 あとの余った容量は……そうだな、せっかくだし演算機能でも追加しとこうか。



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