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幕間 ーコテツ編 善因善果、悪因悪果ー

今回だけで二話分の量になってしまいました。


(……そうか、じゃあマスターはまだ寝てるんやな)

「残念ながら……」


 オイラの話を聞いて、フロゲルさん達の眉間にはシワが寄ってしまったニャ。


 オイラのした話が何なのかと言うと、フロゲルさん達が旅立った後の森の様子の話。フロゲルさん達に森の近況を掻い摘んで説明していたんだニャ。


(こりゃあやっぱり、ワシらがコテっちゃんを応援せなあかんわな)

「そうですね。マスター様の代わりにことの顛末を見届けねばなりません」

「……本当に良いのかニャ? 皆、長旅で疲れてるはずなのに、オイラに同行してくれるなんてニャ」


 オイラ、本当は皆に休んでてもらおうとしたニャ。

 だけどフロゲルさんとソフィさんは首を縦に振ってくれない。オイラと一緒に商人ギルドに行くと言って聞かないんだニャ。


 この二人にオイラの意見なんて通せるわはずもなく、今もこうやって商人ギルドに向かっていたというわけなんだけど……本当はありがたい気持ちの方が大きいニャ。


 正直、オイラ一人で商人ギルドに喧嘩売るには心細かったしニャ。


 殴り合いをするんじゃないとはいえ、相手は商人ギルド。駆け引きはオイラより一枚も二枚も上手だニャ。

 そんなのを相手にするからには助っ人は多ければ多いほど良い。フロゲルさん達なら、助っ人に申し分ない人達だろうニャ。

 

(で、ここがその商人ギルドっちゅうとこか?)


 近況の説明している間も、オイラ達はギルドに向かって進んでいたニャ。

 街の入口からギルドまではそう遠くない。説明が終わる頃には、すぐ目の前までのところまで来ていたニャ。


「そうニャ。ここがカラカルの商人ギルドだニャ」

「なるほど、随分と立派な建物ですね。しかしまた、姦しいと言いますか……」

(騒がしいな。これって商人なんやろか……自分の意見を通すのに必死な感じやな)


 ニャァ……やっぱり慣れてない人にはうるさく感じるみたいだニャ。


 ここ商人ギルドは四六時中、商人がごった返す場所。そんでもって、商人は誰もが自分の利益を確保しようといつも必死ニャ。大声で牽制するのは初歩の初歩みたいなもんなんだニャ。


 ……まあ、オイラはあんまりそういうの得意じゃないけどニャ。とはいえ。


「今度ばかりは、オイラだって大声でも何でも出さないといけないニャ」

「コケッ!」


 早速入ろうと言わんばかりに、バルバトスが先陣切って歩き出したニャ。その後に付いて、オイラ達も中に足を踏み入れると……。


「モタモタするな! さっさと荷物を運びやがれ!」

「ニャ!?」


 思わず飛び跳ねそうになったけど、今のはオイラに向かって投げかけられた言葉じゃないニャ。

 

「ごめんなさいニャ……」

「言い訳するな! 手を動かせ!」

「ウニャァ……」


 オイラ達が出くわしたのは、ギルドで働かされているケットシーの子供、ハナが叱られてるところだったニャ。そして、ハナを凄い剣幕で怒鳴っているのは。


「ブッチ……」

「ああん?」


 商人ギルドのギルドマスター、ブッチだニャ。


 ブッチはオイラと同じケットシーでありながら、その体型はオイラ達とは似ても似つかない大男だニャ。大男とは言っても縦より横幅が大きい、太ってるって言うのが正しいかニャ。

 ともあれ、そんな体格だけでも威圧的なのに、ブッチは大声で捲し立て、さらには愛用の鞭で気に食わない相手を容赦なく打つようなとんでもない野郎ニャ。


 今もまた、ブッチの鞭がハナに向かって振るわれようとしていたところだったんだけど。


(ナイスタイミングみたいやな)


 だニャ。ブッチは既に鞭を振り上げていた。けど、注意がオイラに向いたおかげでハナは打たれずに済んだんだニャ。フロゲルさんの言うように、ナイスタイミングニャ。


 とはいえ……この状況は予想外だニャ。


「コテツゥ……てめえ何の用だ?」


 出会い頭にオイラを睨みつけてくるブッチ。

 本当は穏便に交渉するつもりだったんだけど……こうなったらやるしかないニャ。


「な、何の用って言われても……オイラは交渉に来たんだニャ!」

「ああ? 交渉だぁ?」

「そう、交渉だニャ! 交渉したい相手は商人ギルド、つまりギルドマスターニャ! どうニャ? オイラの交渉を受けてくれるかニャ?」


 勢いに任せて言ってやったニャ。


 通常なら、ギルドマスターがいち商人に交渉を求められても、軽くあしらわれておしまいだろうニャ。

 けど、ブッチはオイラの申し出を断らないはず。


 というのも、ブッチはオイラの後方に目を向けている。オイラの後方でブッチの目を引くものはというと荷車しかないニャ。ブッチは荷車に積んである品物を見て、オイラの申し出を受けるかどうか考えてるみたいだニャ。


(くくく……コテっちゃんの読みはええ線いっとるで。このブタは今、ワシらが持ってきた荷物のことで頭がいっぱいや。ものすごい勢いで、今までのコテっちゃんがもたらした商品と頭の中で比べとるで)


 フロゲルさん、ブッチの思考を読んでオイラに教えてくれたニャ。

 なら、それを材料に畳み掛けるかニャ。


「荷車にある品物は交渉次第で全部ギルドのものニャ。だけど、断るならこれは全部領主様に献上するかニャ? 交渉できないなら、そっちのほうがお得だしニャ」

「……くだらねえ話だったらしょうちしねえぞ。オレはお前と違って忙しいんでなぁ」


 どの口がほざくニャ。お前、いっつも奥の部屋でゴロゴロしてるだけニャ。たまに表に出てきては、鬱憤を晴らすためだけにハナ達を虐めるくせにニャ!


(コテっちゃん、落ち着け)

「……ゴホン。ギルドマスターにとって有益な話だということは約束するニャ」

「ぶひひ、良いだろう。期待を裏切った時は覚悟しろよ?」


 ……


 むむ……ちょっとやり辛いニャ。


 交渉するならちゃんとした場所でってことで、オイラとブッチはギルド内に常設してあるテーブルの一つに陣取ったニャ。


 いつもは自分達の交渉に夢中になってる商人連中も、今はオイラ達を遠巻きに見ている状態。完全に興味本位の野次馬だらけになってるニャ。


 そんな慣れない空気に浮つくオイラの隙を狙ってか、ブッチが唐突に口を開いたニャ。


「内容は?」

「……えっ?」

「交渉の内容に決まってんだろが!」

「あ、ニャ……んん! まずはこれを見て欲しいニャ」


 いけないいけない、のっけからブッチのペースになるとこだったニャ。

 何とか気を取り直したオイラは、こんな時のために用意していた書簡をブッチに渡したニャ。


「……」


 つまらなさそうに書面を睨みつけてるブッチ。

 書かれている内容は、商人ギルドで従事している子供達をオイラの下で働かせたいという要求と、その対価。

 

 交渉というからには、オイラの要求だけを通すわけにはいかない。相手方が首を縦に振るような対価の提示もしないといけないニャ。


 だけど、そこは織り込み済み。

 オイラはこの時のためにかなりの値打ち物を用意したニャ。


「コテツさん、これを」

「ありがとニャ」


 ソフィさん、助かるニャ。


 一番良いタイミングを狙ってか、ソフィさんが品物の中でも特に値打ちのある逸品を持ってきてくれたニャ。


特殊個体(ユニーク)の魔石、こんなの二度と手に入るかどうかも分からんニャ」

「ほおお……」


 魔石から放たれる紫の淡い光に、ブッチは目を奪われているようニャ。


 この魔石はマスターから貰ったオウルベアとかいう魔獣の魔石。


 マスターが言うには、本物は使ってしまったから『創造』したレプリカだとか何とか言ってたけど、オイラの『目利き』でも本物とは何ら変わらんことは分かってるニャ。

 魔石としての価値は一級品なのは勿論のこと、存在感から全く違う。持ってるだけでも、商人としてかなり箔の付く代物だということは一目瞭然ニャ。


「その魔石と、ギルドのガキ共の身柄を交換したいってか?」

「コレだけじゃなくて、他にも品物は用意してるニャ。それも全部含めてニャ」


 特殊個体(ユニーク)以外にも、森の魔獣から取れた魔石は用意してるニャ。そのどれもがカラカル近辺じゃ取れないような大物ばかり、条件としてはかなり良いはず……と、オイラは思ってたんだけど。


「断る」

「ニャ!?」


 何でニャ? 

 ブッチは魔石なんぞいらんとばかりに首を横に振ったニャ。


「コテツゥ、ガキどもは宝なんだぜぇ? そこんとこ分かってんのか?」

「そんなの……当たり前ニャ」


 だからこそ、オイラは商人ギルドの横暴から子供達を開放してやりたいんだニャ。オイラが子供の頃みたいな、辛い思いをさせないためにニャ。


「……足りねぇ」

「は?」

「足りねぇんだよ。そんな魔石ごときじゃなぁ」


 足りない? そんなわけないニャ。

 オイラだって商人、用意した品物がどんだけの価値があるかぐらいはっきり分かるニャ。


(このブタ、コテっちゃんが引かんこと知ってて足元見とるわ。ふっかけたらふっかけた分だけコテっちゃんが金目のもん用意するって思っとる)


 ニャ……ブッチ、そこまで腐ってるのかニャ……!

 

「ぐ……じゃあ、そっちの要求はどんなもんニャ? どれだけ用意したら、オイラの要求を飲んでくれるニャ?」

「そうだなぁ、今日持ってきた分で一人ぐらいはお前の下に付けても構わんぞ。後は誠意だ。お前がヘルブストの森の利権をギルドに渡すことが前提、そこからはどれだけ利益が生まれるかによるなぁ。ぶひひ」

(ああ? このブタにくれてやるもんなんぞ、ワシらには無いで。口には出さんがソフィさんも腸煮えたくっとるわ)


 ……分かってるニャ。オイラだって、やって良いならブッチの顔面にウインドバレットを食らわしてやりたいぐらいなんだニャ。

 それでもオイラだって商人。交渉ごとは交渉で収めたい気持ちもあるニャ。だけど……。


「ニャァ……」


 悲しげにオイラを見るハナの視線が胸に刺さるニャ。


 オイラ、商人の資格を捨てる覚悟なんかとっくにできてるニャ。ハナみたいな子を助けるためだったら、オイラはいつでも商人なんかやめてやるニャ。


 ……どうする、コテツ? 後のことは考えずに感情に任せるかニャ……?


(待て、コテっちゃん。何か来たわ)

「……ニャ?」

「あん?」


 フロゲルさんに言われて気が付いたけど、集まってる商人連中も何か騒ぎ出してるニャ。


「やあやあ、商人ギルドの様子がいつもと違うような気がしたけれど、これは何かの催しものかな?」


 集まった商人達が左右に別れて作った道の中心を、ゆっくりとした足取りで歩くケットシーがいるニャ。


「貴方は……!」

「げ! オセロット……男爵」


 ヤパンからの使者であるオセロット男爵が、何でこんなとこに!?


 ……えっとえっと、こんな時ってどう挨拶するもんだニャ? いきなり過ぎて、どうして良いか分からんニャ……!


「そのままで結構だよ、コテツ君。私はカラカルの領主でもなんでもないんだからねぇ」

「は、はいニャ……」

「こうして君と会うのは初めてだねぇ。私も領主様の屋敷にお邪魔している身だが、君とはすれ違ってばっかりだ。今度ゆっくり話でもしようじゃないか」

「え? あ、こ、光栄ですニャ」

「さて……実はいうと私もそこのブッチ君に用があってだね。少しばかり、順番を譲ってもらって良いかな?」

「ど、どうぞどうぞニャ!」

 

 それじゃあ、と席を譲ろうとしたけど、男爵から手で制されたニャ。


 ……オイラ、このまま二人の話を聞かないといけないのかニャ? そう思ってる間にも、男爵はブッチと話を始めていたニャ。

   

「ブッチ君、ここいらが年貢の納め時だねぇ」

「そりゃあ一体……」

「つまり、こういうことだよ」


 ニャ? オセロット男爵はブッチの眼前に書面を突きつけてるニャ。


 オイラの方からは内容が見えないけど、ブッチの顔が段々青ざめてる……ってことは、ブッチにとっては相当都合の悪いことが書かれてるみたいだニャ。


(ほほう、あのブタ。裏ではここの領主さんの悪い噂を流してたみたいやな)


 噂? 何のことかニャ?


(なんや、この前屋敷で起きたことに便乗した噂? 領主さんが変な儀式してたとかそんな内容やわ)


 あっ! それだったら心当たりあるニャ。

 領主様の屋敷での魔窟騒ぎの後、商人の間で流れてた噂。領主様が影で行ってた儀式が原因だとか、そんな噂だったかニャ?


 だけど、今じゃそんな噂は誰も信じてないニャ。

 領主様の日頃の行いと、リンクスで起きた騒動の方に商人の目が向いてるからニャ。


(アホやな、あいつ。何の根拠もなく噂流したせいで、自分の首を締めることになっとるわ。リンクスっちゅうとこで起きた事件の関与と不敬罪? そんな疑いが掛けられてるらしいな。あとは細々した小悪党の所業か。見た目どおり、私腹を肥やしてたっちゅうわけやな)


 なるほどニャ。

 ブッチは領主様を失墜させて、カラカルで好き勝手にしようとしてたのかもニャ。それに加えて、日頃の行いが明るみに出たってところかニャ。完全な自業自得みたいだニャ。


「ぶ、ぶひひ……男爵、そんなもん言いがかりですぜ。アッシには全く何のことやら」

「おやおや、白を切るつもりかな? 私が何の調査もせずにここに足を運ぶとでも?」


 オセロット男爵の言葉で、ブッチは押し黙ってしまったニャ。


「このままでは、君は商人ギルドのマスターどころか投獄される身分だねぇ」

「ぶひっ……!」

「さて、どうしたものか。私は宰相閣下から賜った権限があってだねぇ、その中には簡易の裁判、加えて情状酌量の判断も任されているんだよ。つまり、私が君の処分を軽くすることも重くすることもできるってわけだ」


 これはもう……オイラは見守ることしかできないニャ。

 それは他の商人連中も同じ、当のブッチは死にそうな顔して男爵の沙汰を待ってる状態ニャ。


「さてブッチ君、君がアーシャ辺境伯にとって良くない噂を立てたことは事実だね?」

「……ぶひ」

「だがしかし、ブッチ君にはカラカルの商業を支えた功績もある。そこでだ、ブッチ君の罪は執行猶予として扱おうと思うのだがどうだね? コテツ君」

「へ? オイラ?」


 何でオイラに聞くニャ? 執行猶予って言われても、オイラそんなの知らないニャ。


「ふふ、直感で良いんだよ。さあ、どうする?」

「ニャ……それで良いと思いますニャ」

「そうかね、じゃあ決定だ。ブッチ君!」

「ぶひ!」

「君は執行猶予付き有罪判決とする。期間は次期ギルドマスターが正式に就任するまで。その間に何かしらの不祥事を起こした場合は、今回の件も含めて処罰するよ。まあ、期待を裏切ったってことで、罪状は重くなるだろうけどねぇ」

「ぶひ……その次期ギルドマスターっていうのは……?」

「君の目の前にいるだろう。コテツ君だよ」

「ニャ!?」


 オセロット男爵、何言ってるニャ!? オイラが次期ギルドマスターだなんて、そんなの有りえないニャ!


「おや、コテツ君は腑に落ちない顔をしているようだねぇ」

「お言葉ですが男爵、オイラ……私は一介の行商に過ぎません。ギルドマスターだなんて、その……おかしい話です……ニャ」

「ふむ、君はそう言うがねぇ。ヤパン本国の有権者の中には、コテツ君の働きを高く評価する者が多いのだよ。君が断っても、恐らくは命令として言い渡されるはずだ。ここはおとなしく了承するのが吉だと思うよ」


 そんな馬鹿ニャ……。

 男爵の話だと、オイラの意思に関係なく就任させられるみたいだニャ。ギルドマスターって、そんなものなのかニャ?


「なぁに、今すぐってわけじゃない。君の覚悟が決まるまではブッチ君が代行するさ。心を入れ替えたブッチ君がね?」

「ぶひ……拒否は……」

「するなら独房が君の部屋になるよ。コテツ君の代行として真面目に働くか、一生独房かを選ぶのは君だ。まあ、君が独房を選んでもコテツ君の代行者は他を当たるから心配いらないよ。好きな方を選びたまえ」

「……心入れ替えさせてもらいます」

「決まりだね。じゃあ私の用事は終わりだ。後はコテツ君に任せるよ」


 いやいや、任せるって言われても困るニャ……。

 オセロット男爵、いきなり登場して全部ひっくり返していくなんてとんでもないお方ニャ。


「ふふ、コテツ君。そんな顔しないで欲しいねぇ。私も同じようなことをされたんだよ。君の友人にね。まあ、その意趣返しの一環とでも思ってもらえればありがたいかな? ともあれ、その話は後で。私は一足先に領主様の屋敷で待ってるよ」


 そう言ってニッコリ笑うと、オセロット男爵はギルドから出ていってしまったニャ。


 男爵が去った後、この場に残されたのはいまだ状況が掴めないでいるオイラ達と商人連中。あ、首の皮一枚で助かったブッチもいたニャ。


 しかし、オイラがギルドマスター? いくらなんでも飛躍し過ぎじゃないかニャ……?

 オセロット男爵の言葉だから疑うわけにはいかないけど……どうしたら良いか分からんニャ。


「コテツさん、大勢は決したのです。こういう時は勝鬨ですよ」

「勝鬨!? いやいやソフィさん、今のは戦いじゃないんだからニャ……」

(商人らしい決着すればええやん)


 商人らしい決着……分かったニャ。


「ブッチ」

「ぶひ! な、何でしょう?」


 オイラは地面にへたり込んだままのブッチに声を掛けただけなんだけど、人ってこうも変われるもんなのかニャ。怯えた目でオイラを見るブッチは何と言うか……憐れにすら見えるニャ。


 それはもう気にしないでおくとして、オイラがブッチに言うことは決まってる。


「さっきの交渉は全部成立ニャ。ギルドの子供達は、オイラが責任もって一人前に育てるニャ。今後、鞭なんかで打ったりするようなことは許さない。それだけは肝に銘じておくことニャ!」

「へ、へい!」


 この発言でようやく他の商人達も状況が飲み込めたのか、徐々にどよめきが起き始めたようニャ。

 けど、そんなのはどうでも良いニャ。


「ハナ、もう打たれないのかニャ?」


 ハナがオイラに駆け寄ってきた。

 そんなハナの頭を撫でながら、オイラはできる限りの笑顔で答えたニャ。


「ハナだけじゃない、誰も打たれたりしないニャ。オイラがギルドマスターになる以上は、子供達に辛い思いなんてさせないニャ」

 


次回からは本編に戻ります。

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