ロートル作家は戦闘中 5
もうすぐ百話ですねぇ…。
ロートル作家は戦闘中 5
ヨイチを送り出し、俺は近くのハジメと遠くのヒトシを交互に見比べる。
正直言って面倒くさいのはたぶんヒトシの方だろう。
俺一人でやるならハジメの方が楽だ。アレは小細工しないからね。
悪いが純粋に俺の方が強い。伊達に女神様(笑)の加護は受けていない。
ん?今なんか近くにあの女神が居るような気がしたが気のせいだろうか……まぁいい。
とにかくヒトシだな。禿がやられたのを見て、ヒトシは納得していた。
ちなみに禿は隠密だったようだ。手が光ってるからね。
隠密の無効化はおいしかった。コレで動きを止めてくるものが居ないからな。
ヒトシに関しては俺が視線を送っておけば、何かしてくることは無いだろうな。今のところ。
松が義理に父親にいいところを見せられるかどうかだな。松がハジメに向かっていっているのを見ている。俺は視線をヒトシからはずさないようにしつつ、後退していく。
そしてガリへ合図を送る。ガリとフトシは、実は風船花は二つしかつけていない。
今回のルールには、三つまでしかつけてはいけないとあったが、二つにしてはいけないとは、書いてなかった。そして三つ全部割られたら死亡だ。なので俺は最初から二つしかつけないで行かせたのだ。
「ガリ戻って食事を食って来い」
「あ……はい!いえっさー」
なんかへんな言葉使っているな……。まぁいい。ガリが陣地へ戻っていく。これは陣地に置いてある風船花をつけて生き返れという意味だ。ヒトシが俺が大声で何か言ったものだから、首を傾げている。
そして、何かに気づいたようだが、もうときは既に遅い。
その間に、自分の利を利用してヨイチが戦場を駆け抜けていく。
ガリはマーガレットから何か言われたのか、風船花をひとつつけると、
大感激フルパワーでヨイチの向かう方へとダッシュする。
それを見越して、ハジメの左側を併走していた、クロメガネAにヨイチは隠密の能力を使う。
そしてガリがダッシュして、棒立ちのクロメガネAの風船花を割る。
『クロメガネA:アウト』
「ガリおかえり!」
「お待たせですよ」
二人がハイタッチをする。
「ガリ、ヨイチ色気を出すなよ? 確実にやれるほうからだ!」
「「はいナガラさん!(はいですよ)」」
ヒトシがしまったという顔をしている。俺はしてやったりという顔をしてヒトシを見る。
さて、後は三人だ。こっちは全員生き残っているからな。まだやりようは沢山あるんだよ?
ヒトシが動いたら俺が止める。ハジメに関しては俺が手を出すべきではないだろうと思うのでね。
フトシとハジメはまだ押し合いを続けている。ガリとヨイチは、そのまま残りのクロメガネBを牽制している。間近でクロメガネAがやられたこともあり、Bは警戒しているようだ。
そろそろフトシも限界かな? 松が傍まできているのをフトシもわかっているのだが、バトンを渡そうにも、ハジメがグイグイ押してくるので、そうもいかない。ちょっとタイミングを作ってやるか。
「松、お義父さんにいいところをみせてくるといい」
俺は半分笑いながら、松を煽る。それを聞いたハジメが若干癒そうな顔をして、
マーガレットは少しほほを赤らめている。
<青春だな>
松は困ったような顔をしつつ、それはハジメに対して、心を揺らす作戦だということを理解はしているようだ。フトシの顎がだいぶ上がっている。もう本当に限界だろうな。よし、それじゃあ選手交代といきますか。
「松、ハジメの風船花は残り二つだぞ」
「わかってるよ、ナガラ」
少し、木がそれたせいもありいいタイミングが生まれたので、松の気合の入った掛け声と共に、フトシはハジメから離れると、松と交代をした。
「お義父さん! よろしくお願いします!」
「ふざけるな! まだ認めたわけではないわ!」
「いいえ、娘さんは頂きます!」
「やるとは言ってない!」
なんとか二人の最初の挨拶も無事に済んだようだな。
ヒトシが遠くで爆笑しているのは困ったものだが……。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』98話です。
あとちょっとでこの戦いも終われそうです。
そうしたら少しあけて、ハナサカですかねぇ。
ではまた次回で……。
米




