ロートル作家は秘密兵器を使う
変態さんというのは、アレですね愛なんですかねぇ……いきすぎているだけの……。
ロートル作家は秘密兵器を使う
正直、時間がもったいない。
理由は簡単だ、ハジメとヒトシを抑えることを考えたら、少しでも時間はあったほうがいい。クロメガネだけなら今の二人でも何かなるだろう。そのくらいの訓練はした。短かったけどね。だが、ハジメから勝ちをとるとなれば、やはり腐っても鯛なのだよ。そう簡単じゃない。
なので、ほんの少しだけ、サラスと遊んでやることにした。
本当なら色々やって心を折っておきたかったのだけどね。
管木の棒の迫ってくるのを寸前でかわしたり、わざと隙を作って、
誘導したり、だいたい、三分くらいの間だと思う。
まぁ、さすがハジメの懐刀だよな、いい腕してると思う。
でも悪いが遊んでられないので、早めに勝負を決めさせてもらうことにしよう。
そう思って、俺は秘密兵器である一枚の布をポケットから出して、
サラスに見せた。
「それは!」
サラスの瞳がくわっと開く。
「ふふふ、わかるようだな……」
「なせお前がそのようなものを持っている!」
おお、いい感じで動揺している。
「なぜ? それはここ数週間一緒に暮らしていたからだよ……わからないのか?」
「くぅっ! それをどうするつもりだ!」
「ん~? あれがみえるか?」
俺の後ろにある、即席のどの沼地地帯目をやる。
「ま……まさか……」
「そう、そのまさかだ……コレを用意するのは、
本当に苦労したんだぜ?」
本気で嫌がるマーガレットに重大さを説明し、まさか、いやまさかっていう松をも説得し、試しにお供についたガリ・フトシ・ヨイチに聞いて、清清しい感想をもらってな、やっと承諾を得たんだよ。
『わかりました! 勝利するためならば!』
マーガレット、本当一大決心だったよなぁ。
俺は、その布を一瞬だけサラスの目の前に映るようにすると、呼吸を計って、思いっきり、秘密兵器『マーガレットに三日間汗を拭き続けてもらったハンカチ』を思いっきり泥沼遅滞の真ん中へ投げた。いやぁ本当苦労したんだからソレ。
力いっぱい投げた秘密兵器は一直線に泥沼地帯へと飛んでいった。
このまま行けばマーガレットの三日間は泥沼池おちて、異なるものへと変質するだろう。だが俺は信じていた、サラスのその変態さを!
「ほ~ら、サラス! とってこおおおおおい!」
「ぬぉおおああああっ!お嬢様のハンカチあああああ(三日間ものぉおおおお)」
<パンパンパン!>
風を切るような音と共に、三つの音が鳴り響く。
俺は、予定通り、ハンカチを落とすものかとばかりに、力強く飛んでいったサラスの無防備な体についた、風船花を連続で割った。
「くはぁああ!」
「ふっ……変態め……いい顔してやがるぜ」
変態、いやサラスは顔面から、泥沼地帯に突っ込み、喚起に満ちた顔で刺さっていた。それでも手に握ったハンカチには泥ひとつついてない。恐るべし変…サラス!
大将のマーガレットが顔を引きつらせて思いっきりひいてるけど、まぁいいよな?
強敵、変態サラス、風船花三個破損 よって退場となる。
あっけない最後であった……。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』95話です。
少しずつですが進めています。
ではまた次回で……。
米




