ロートル作家は戦闘中 2
夏が早く過ぎると良いのですが……。最近コレばっかりです。
ロートル作家は戦闘中 2
ヒトシは自分の陣地の最奥で、呆れたような顔をしてハジメが飛び出していくのを見ていた。一応サラスとクロメガネたちにフォローに回るようにいう。禿げマスターも苦笑したままだ。
「あ~あ、いっちまったよ……」
「あのバカは本当にどうにもならないな」
二人の声が良く聞こえる。あ、もちろん聴覚も強化されているからだからね? 普通に人には絶対聞こえないからね?
マーガレットの話していたヨシノさんの話の通りだな。
あの二人まだ仲良しってわけじゃなさそうだ。
ならやりようもあるかな?
戦場の真ん中ではフトシとハジメが正面からぶつかっていた。
宣言通り避けることをせず、まっすぐにぶつかっている。
「小僧そこをどけ!」
「嫌だ」
おでことおでこをくっつけあって叫びあうフトシとはじめ。いい感じに風船花は割れないでいるようだ。管木の棒は二人とも腰に差したままで、素手で互いの風船花を狙いあっている。
「ぬっ」
「やらせない!」
必死の攻防が繰り返されている。ガリがそれをみて一瞬、サラスから目を離してしまう。あれはいけない。
「ほらそこの子、手元がお留守になってますよ?」
スッと入ってきた、サラスがガリの風船花をひとつ割る。辺りに風船花を割ったとき特有の嫌な臭いが立ち込める。さらにサラスが二個目を狙ってきてるのを見て、ガリもさすがにそれは慌てて身をかわす。
「危なかった…」
「二個目はうまくいきませんでしたか……しかし臭いですね……」
サラスは悔しそうに鼻をつまみながら距離をとる。
やはり、そうなるよな。サラスを抑えるのは俺の役目と決めてあるので、俺が前へ出る。
「やぁ、サラス!」
「!!」
ガリにはハジメのほうに行くように伝える。
「ここはまかせろ」
さすがにサラスもここはいったん止まる。ガリがフトシと一緒にハジメと戦い始めた頃、こちらも戦闘をはじめる。
「ふふふ、小僧! 今までの借りを返させてもらおうか」
「そんな、気にせず借りっ放しでいいのに」
サラスの管木の棒が俺の風船花を狙ってくる、それを一瞬で交わして、俺もサラスのの風船花を狙う。さすがに油断していないサラスはなかなかで、すんででそれをかわしてくる。かわした先に回りこんで、軽く二、三回攻撃を与える。管木の棒は壊れやすいのだが、上手く俺の攻撃をサラスはいなしてくる。
「さすが御付だな、やるもんだ」
「ふふふ、お前こそ、まだまだ本気じゃないのだろ?」
正直、俺のいわれている役目から考えたらまだ本気を、この世界で公開するのは控えたいところ。なにがあるかわからないし。なので、早速奥の手を使わせてもらおうかな。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』94話です。
戦闘はじまりました。
では、また次回で……。
米




