ロートル作家は大人たちと合間見える
大人と子供の戦いというのはいつも、いつの時代にもあるものです。
ロートル作家は大人たちと合間見える
さて、いくか。
朝、泉の水で顔を洗い、最後の確認をする。
昨日の夜のうちに仕掛けられる罠は仕掛けた。
飯は町で仕入れてきた、極上のお肉。
朝からガッツリである。
「ではみんな、さぁ今日は思いっきり楽しもうか」
「「「「はい(おう)やります」」」」」
準備も整ったので、いざ出陣だな。
ガリとフトシでハジメを一旦抑える。
命は二つにしておき、カモフラージュをかけた場所に隠しておく。
ガリとフトシで押さえている間に、ハジメにヨイチが接近し、
隠密の特殊能力を発動。後は松がトドメをさす。
おそらく、ヒトシは温存されてというより前には出てこないだろうから、後から俺が叩く。
本気になればおそらく、全員、まとめて俺一人で何とかなるのだろうけど、それはダメだ。
今後の二人と若者たちによる新しいハナとウエキの関係がうまくいかなくなる。
何より、やられたほうが納得しない。
だからダメだな。
昼過ぎ、準備を整えた全員がそろう。
大人側はハジメ、ヒトシ、禿げたマスター、サラス、クロメガネA・Bといったところ。ハジメは腹もだいぶ出ており、不摂生がたたった感じ。ヒトシは逆にやせていて、疲れた感じ、サラスは先ほどから俺を見て威嚇を開始している。そんなに見つめられると困るなとか言ったら切れるだろうな……。クロメガネは体力勝負というところかな。なお、実況席と書かれた場所には、ユキとウエキの町の昔の仲間らしい人がいる。とりあえず名前がわからんな。
こちらも全員そろっている。俺と松とマーガレットは堂々としたものである。
ただ、フトシやガリはおびえの色が少し出ていて、コレは心配。
ヨイチは俺の教えた通りすでに顔を隠してスタンバイ中。やる気も静かに漲らせていて、なかなかに良い。
よしよし、いいぞ、その調子だ。
開始前に簡単なルールの確認。
やはり命になる、風船花を隠してはいけないというルールはなかったようだ。
まずは一安心。
飯も終わり、ようやく、子供対大人、過去対未来の対決が始まることとなった。
※
会場たる戦場の周りには人が遠巻きにいて、戦闘開始を今か今かと待っている。
その更に奥には双方の町から出張で屋台が出ている。
本当一郎と七郎が旅立った後で良かった……。
あの二人ならこの騒動を聞きつけてやってきそうな気もするが、姿が見えないところをみると、もうハナサカについてしまっているのかもしれないな。
クワバラクワバラ……。
しばらくすると、解説席に座っているユキともう一人の男とで、開始前の挨拶のようなものがある。
「はい、皆様本日はお日柄もよく、絶好の交流戦日和となっています。この風船花を使った競技は、我々がまだ子供だった頃……」
「はい、司会のハガさん、話が長いですよ。今日は子供たちが大人たちに成長を示す、そんな戦いの日です。どうか、お互いに持ちうる武器をフルに使って頑張って下さい。あ、私はウエキの町長の妻、ユキと申します」
はは、ユキさんも結構しゃべってるよ。
「もう、母さんにも困ったものだな」
「まぁ、いいじゃないか、ユキさんのおかげもあるのだから」
「松さん、私、ユキさんとはうまくやれそうな気がするの」
「「「俺達がマーガレットさんは守る!!!」」」
俺たちがユキさんの話を聴いてそんなことを言って、若干和みかけている頃、大人陣営は一触即発の状態に既になっていた。
「おい、バカ! いつもみたいにまっすぐ行くなよ。絶対罠があるからな!」
「誰がバカだ! この策バカ! 俺はまっすぐだ! ソレは譲れないわ!」
「「あぁ?!」」
「あ、あのハジメ様?!」
「「……」」
二人とも本当に仲の良いことである。
そしてサラスは、既に胃にダメージを受け始めたようだ。
クロメガネA・Bは自分の任務だけを全うしようとだけ考えている。
大丈夫なのか? 大人陣営。
「さあ! 両陣営準備整いました! それでは戦闘を開始します!!」
こうして戦いの火蓋は切って落とされたのであった。
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『ロートル作家とおとぎの異世界』92話です。
いよいよ戦いが始まります。ようやくここまできました。
では、また次回で……。
米




