ロートル作家は作戦を練る 2
男と男には引けない戦いもあります。
ロートル作家は作戦を練る 2
釣った魚は泉に作った水槽をおいて、生簀代わりにしてある。
父親二人の説得、できるものなのか…?
まずはそれぞれの父親の特徴などを聞いてみる。
「それで、どちらから聞いたもんだろう…」
「何を?」
松が俺のつぶやきに反応する。
「あぁ…これから二人の父親と話すとして、思考パータンが分からないとはなしにならないだろう?」
「パターン?」
「あぁ、考え方ってことね」
「それは簡単だな…頑固で負けず嫌いだ」
あぁ…なんだろうなぁ…テンプレの神様か?っていうことは…、
チラッとマーガレットの方を見る。
「あ…えぇ…同じですねぇ…二人は元々似たもの同志ですから…」
「だよなぁ…」
まぁ見えていたさ…。そりゃそうだろう…。ってことはもう一つももしかするとかな?
「それでへんなことを聞くけど、どちらかのお母さんは、
二人の父親の幼馴染で、しかも、遊び相手で、そして…恋愛対象として、
取り合ってなかった?」
「え?何でそれをナガラが知っているんだ!?」
「あぁ、松…。その反応でわかったよ…」
「ちなみに、失礼なことを聞いたら申し訳ないんだが…、そのお母さんは亡くなっていないか?」
「えぇ…ナガラはなんでそんなことまでわかるの?」
「あぁ…マーガレット大変申し訳ない質問をしたよ…。
そして、その反応で分かったよ…」
そうか…根っこ深いなぁ…。
「それであれかい?松の父親は、マーガレットの父親を責めたりしたのか?」
「いや、うちの父はマーガレットの父さんを責めていないよ。
父には母がいるからね」
あぁ、その辺もやるせないんだろうなぁ…。
男と男の感情のぶつかり合いも少しちぐはぐなのかな…。
「そうしたら、もう少しマーガレットの母親の事を聞かないと、
いけないなぁ…」
「え?いいですよ?ただあまりよくは覚えていないんですけどね。
お母さんは私が5才の頃にはもう亡くなっていたので、
父や他の人から聞いた話でよければ…」
マーガレットの母親、名前はヨシノという。
ハジメとヒトシとヨシノはそれぞれ、遊び相手であり、喧嘩相手でもあった。
ハナの町とウエキの町は昔から仲が良くない。子々孫々に渡って、
繰り返されてきた英才教育の賜物なのだという。
最初はハジメとヒトシの戦いだった。
戦場は町と町の間のこの広大にも見える空間。
お互いに斥候などを立てて本格的なものだったらしい。
その二人の戦いをいつも木上から見て、笑ってたのがヨシノだった。
ヨシノは誰の味方でもなく、気が向いたほうを助けていたようだ。
当時のヨシノは男勝りで、活発的、どうみても男の子にしか見えなかったらしい。
そのうえ、頭も切れる。二人にとってむしろライバル視すべきは、
ヨシノだったのかもしれない。
だが、あくまで二人の対象はお互いだった。
なので、二人はヨシノの知恵も借りて、より危なくないが、
本格的な戦いをするようになっていったということだ。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』75話です。
短くなかなか進みませんが、よろしくお願いします。
ではまた次回で…。
米




