ロートル作家はきこりをする
斧だの鉈だの正直使える気がしません。なら魔法でしょ?っというわけで、
インスタント空想術を使います。
ロートル作家はきこりをする
森の少しだけ奥の辺りで俺はきこりを始める。
とはいっても、斧だの持ってこんこんこーんではない。
誰にも見られていないことを確認した後、
インスタント空想術の『風』を利用して、木を切る。
風風風風風…スッパンスッパン切れるのは気持ちがいい、とはいえ、
調子に乗ってこの辺、全部切ったら大変なことになりかねないので、
ちょっと落ち着く。
切った木は枝葉を落として、ある程度整形を行う。
落とした枝葉に関しては、もちろん無駄にして、
もったいないお化けに出られても困るので、
空想術『火』と『風』を弱めにかけて、乾燥させていく。
これで薪もできたというわけだ。
しかし…この量を運ぶのは俺でも大変だ。さてどうしたものか…。
「台車でもつくるか…」
台車を作ること自体は別に大変じゃない。
切った木の一部を、ズンズンと加工していけばいいだけだから。
さっきからそういえば、ステータスがうるさい。
多分なんらかしらの技能を手に入れてるなこれは。
後で見よう…。
「ここをこうして…『固』上手く整形をして…。
はい、できあがりと…車輪は回るかな?あぁだいじょうぶだそうだ」
とりあえず即席で台車をつくってそこに切った木を乗せていく。
これなら楽に運べるな。いくら力がかなりあっても、
運搬する際に手間が多すぎるし、さすがに丸太ともなれば、
二本三本と持つのは、無理がある。
危なかろう?っというわけで、またズンズン乗せて、
バンバン運ぶことにしたわけだ。
木を切ったあたりは、後で何か仕掛けでも作ることにするかなぁ…。
「おーい持ってきたぞ!」
俺は材木を持って、二人の元に戻った。
「これだけあれば結構行けそうだろう?まぁ、後でもう少し持ってくるけどな」
俺はある程度パーツごとに整形をした、材木を丸太を二人に渡して、
作業を開始するように伝える。
「おう!任せろナガラ!」
松が男の子の能力を発揮して、頑張って運んでは言われた通り置いていく。
マーガレットは自分に出来ることと考えて、
小さなパーツの方を組み立ててている。
それと、まずは、土台をつくらないとな。
「うぃ!じゃあ任せた!俺は木を切ってくる。
あ、これは薪に使ってくれな~竈とかもちゃんと作るんだぞ~」
俺は二人に指示を出してまた木を切りにいく。
「ふふんふふふ~ん『風』っと、そうそう、折角だから整形もしておくかぁ」
鼻歌混じりに森の木を蹂躙している。きっとエルフが居たらそう言うだろうな…。
居なくて良かった…。一本の木を細かく細かく綺麗に整形していく。
切り株も一つ二つ『地』を使って地面から外して持っていく。
椅子とかテーブルとかになるじゃない?
これを何往復かしているうちに、二人の家は形になってきた。
ただ、この日はもちろん完成するわけも無く、木の洞を簡易的な寝床にして、
二人は眠りについたのだが…。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』70話です。
よろしくお願いします。
ではまた次回で
米




