ロートル作家は案内される
豪華絢爛もいいけど、余りソレばかりでは食傷気味になるから不思議なものです。
ウエキの町はそんな、食傷気味な人に大してはお粥のような町。
そんな感じですかねぇ…。
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これユーリに見られたら大事になるんじゃないだろうか…
いやいやカンベンだ…。
お姫様抱っこで疾走する自分をふと省みて、怖い想像がよぎる。
いや…別に恋人とかそういうことではなく、折角の絆がだな…。
本音は?怖いだろ…あれだけ尽くす子が裏返ったらさ…。
まぁこのマーガレットとは絆は出来ても、相手の居る人だからな、
問題あるまい。ふぅあびないあびない。
「ナガラさん?どうかしました?」
「大丈夫問題ない!(キリッ)」
怖い考えは今のところせず、まずは目の前の問題から片付けよう。
疾走すること約2時間ちょい、たしかに町が見えてきた。
途中。追っ手が来ることもなく、順調だったのは幸い。
休憩もちゃんと挟んだので心配は無用だ。
強化されているせいもあって人一人くらい運ぶのはわけはなかった。
俺のその様を見て、『神様のご加護というヤツですか?』
そんなものかなぁ…と曖昧に答えておく、
一応、内緒にしておいてね?と言って、釘も刺しておいた。
ウエキの町はハナの町とは趣が確かに違う。
ハナの町は綺麗、絢爛と言った感じだが、ウエキの町はほぼ正反対。
落ち着いたとか、悪く言えば地味な、無駄のないように見える。
マーガレット曰く、これでもちゃんと、柵には獣よけのの空想術が、
かかっていたりと、地味は地味なりにしっかりされているんだそうだ。
まぁともあれ、到着だ。
「ほい、到着だな!」
これ以上どう目立つのか知らんが、変な噂が立っても困るので、
マーガレットをお姫様抱っこから開放することにする。
「ありがとうございます!」
「あぁ、うんいいってことよ…ところでこの後、どうするのかな?」
深々と、また何度も頭を下げだすので、それを制して、
今後の行動の再確認をするようにする。
「まずは、彼に会って、今後のことを考えないといけませんね…」
「そうだな…俺は一緒に居た方が?」
「あ、すみません、もう少しお手伝いいただいてもいいですか?
彼に紹介もしたいですし…」
「いいよ、まだ困ってるみたいだし、手伝うよ」
マーガレットとウエキの町へ向かう。
入り口から…と思ったらちょっと違う所から入っていった。
「ここからこっそり入れます」
イタズラっぽい笑顔を浮かべて、彼女は俺は先導していく。
この入り口は、町の子でも少ない数の子しか知らないらしい。
自分はハナの町の町長の娘だから、正面から行くと色々と、
面倒くさいことになるんだという。
この入り口も彼に教わったらしい。
「色々面倒なんだなー、大変だね町長の娘っていうのも…」
「えぇ…せめて父とこちらの町長同志が仲がよければ…」
少し下を向いたあと、困った顔をして苦笑するマーガレット。
地味目な街並みは無駄がないだけで、
何も無いというのとは違うのは確かだった。
普通に商店もあるし、所謂なんもないといわれるような田舎には見えない。
しっかり町としての体裁はある。ただ、地味なのは否めない。
あ、あとはウエキの町に相応しく、あちらこちらに植木がある。
枝葉は綺麗にそろえられており、わびだのさびだのを思い浮かべさせる。
『無駄のない…が正解なんだろうなぁ…』
マーガレットはその後、暫く町の中を歩いていくと、
目的の場所に着いたことを俺に告げた。
「ここで、彼と待ち合わせます…」
そういってマーガレットは俺を連れて店の中へと入っていった。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』59話です。
地味目な村の恋人とは…。
ではまた次回でお会いしましょう。
米




