ロートル作家は絡まれた女の子を助ける
街の中でひと悶着…良く見かける光景ですね(ニコッ)
ロートル作家は絡まれた女の子を助ける
磨かれた坊主頭に、サングラス。
筋肉増強剤でも使用されているのか?というくらいムキムキの、
屈強そうな男を数人従えて、優男風ヤクザは、女の子に手を差し伸べている。
誰がどう見ても悪者にしか見えない…いかにもじゃないか…。
本当もう完璧だよ君…。
「おや?あなたには関係のない事だと思いますが…。
巻き込まれたいのですか?このままだと少し痛い目を見ることになりますよ?」
あぁ…うん、こりゃ本当にテンプレの神様降臨だなぁ…。
「「そうださっさとその子をこちらに寄越せ!!」」
テンプレ続行中のサングラスをかけた男達を、さっと、
逆の手で制するようにして、間に立った俺に向かって、
優男風なヤクザがメガネをクイクイさせながら、
丁寧な口調で圧をかけてくる。
まさに…テンプレさんいらっしゃーいだな…。どうしたものかなぁ…。
いきなりぶん殴るのはさすがになしだよな…。
俺がこのあとをどうするか、悩んでいると、女の子のほうが先に動いてくれた。
「この人は関係ないから!今ただぶつかっただけだから!」
あぁ、うん、ソレ格好つかないよ?なんだったら鼻の頭が、
少し赤くなっているからね?事実には違いないのだが、
少し残念系の子なのかもしれない。
ならば、さようなら…と言えれば良いのだが、
実は一番大きい困った顔のマークがこの子なんだよな…。
素通りは絶対に出来ないよな。
悩んでいると、電子音がピロリロリンと聞こえてくる。
『ミッション発生!困った子を助けろ!!今から補助単語である、
『閃+光』を授けますので、コレで一瞬の隙を作ってこの場から逃げ出せ!
なお、サングラスではこのは防げません!防がせません!!』
『―空想術単語:閃光を手に入れた』
あぁ…そう来ますか…補助までつくほど大事なキャラクターなのか…。
じゃぁ助けないわけには行かないな(キリッ)。
ついでにサングラス無効なのか…便利だな…いっそ闇でもいいんじゃないのか?
それに何だか、最後の方に決意の表れが出ているな…。
失敗を必死に隠そうとしている女神の姿をふと浮かべたが、
ヘソでも曲げられるとことなので、スルーしておくことにした。
まぁな…誰しも間違えはあるものだ…。そういうことで…。
「はいーはーい!皆さーんこっち向いて!!」
俺は大きく手を叩き、急に大きな声で全員に呼びかける。
思いもよらないその行動に、つい、全員がこっちを注目し、瞬間的に見てしまう。
はい、作戦成功!
「はいちょっとごめんよ!」
「もごごごご!?」
急いで、こっちを向いた女の子の頭を、俺の胸の部分に押し付けた後、
俺は手に入れたばかりの単語を使って目くらましをかける。
ごく、小さな声でなるべく押し付けている子にも、
聞こえない様に注意しながら…。
『閃光』
俺を中心に辺り、数メートル半径が強い光に包まれる。
昼でもなお、目を焼かんばかりに、輝く強い光だ。
正直ちょっと常識的にはありえない強さの光だ。
瞬間的に優男風が手をかざすが、残念ちょっと遅い!
「「サングラスをしているのに目がぁ!!」」
「君!目を閉じて、そのままでいてね。さぁ逃げるぞ!!」
お供のサングラス共がうめき声を上げて、手は空をかいている。
俺は胸に押し付けている女の子に、まだ、目を閉じているように言ったあと、
ひょいと女の子をお姫様抱っこして、その場を猛ダッシュで逃げ出した。
「うぉ!貴様!ぶほぁっ…」
俺が動いたときに出た突風をプラスαで食らい、動けなくなる優男風。
残念だな…、俺は逃げる!
「あばよぉーとっつぁん…じゃない…ではさようなら…暴漢の諸君」
俺は声だけをその場に残し、光の中心から抜け出した俺は、
未だ、女の子をお姫様抱っこしたまま、
あっという間に町の外れまで姿を消すことにした。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』54話です。
ハナの町に到着したらもう、すぐコレです。さてどうなっていくのでしょうか…。
ではまた次回で…。
米
5/7
誤字修正しました。




