ロートル作家は叫ぶ
高いところってちょっと苦手です。アレです、胸ポケットの携帯が
落ちて壊れそうな…そんな不安があります。
ロートル作家は叫ぶ
あとひといき…これがなかなかできない。
何回ひねっても満足できない。
こうやって何個作品を自分はつぶしたのだろう。
珈琲ももう何杯目だろうか。いい加減お腹がタプンタプンいいそうだ。
灰皿は煙草の山。電子煙草?なにそれ美味しいの?
作家が紫煙をくゆらせるのは絵になるだろ?だから俺は火をつける派だ。
「すぴーすぴー…んごがぁ…ん~すぴーすぴー」
最初のうちこそ鬼の形相でTHE鬼といわんばかりに、
俺の監視を続けていた雛方担当はいまスヤスヤと乙女らしからぬ、
寝息を立てて夢という名の異世界へ旅立っている。
「起きてますか?起きなくていいんですか~?
寝てますか~ああ、寝てますよね?ああわかります」
全く起きる気配は無い。鬼の寝る間のなんとやら?
本当ならそっと逃げてしまうという手もあるのだが、あとが怖い。
以前それをやって本当に缶詰にされたことがある。あれはまるで牢屋だった。
担当の寝顔見て、マジックを手に取ろうとしたが、それもやめて。
少しまじめに考えることにする。
あと一言を口にだして色々言ってみる。
あーでもないこーでもないとやってみる。
いっそこうだとか言い出す。
「ふう…煙草と珈琲がうまい…」
結果、部屋の中ではなく気分転換にとベランダで一服つけて空を見る。
昼過ぎののどかな空だ。12階の高さは中々なもので落ちたら、
そりゃ洒落にならないだろうと苦笑する。
「いい空だ…満足な空だ…このまま空に導かれそうだよ…パ○ラッシュ」
これで原稿があがっていればだが…。
あれは天に導かれたというよりは、
<逝ける!>
だったかもしれないな。
さて部屋に戻ろうと、ベランダから部屋に向かおうとしたとき、
不意にだれかに思いっきり引っ張られた気がした。
「お??」
結構な力だったような気がする。いやいやそんな馬鹿な事はありませんよ。
ちょっと寝れてなかったり疲れたりしてるんで、体がうまく動いてないだけでしょ。
気にせず部屋に戻ろうとしたら、俺の体は思いっきり何かに掴まれて、
<ポイッ>と放り投げられていた。
「おおお?おおおおおおおおおおおおおお???!!!」
やばい死ぬ!マジ死ぬ!本気と書いてマジだ。
走馬灯とかキテルキテル。いや待て?
なんで告ってふられたところばかり切り出してる。
それはだめだ、カットしてくれ!
「って馬鹿な事言っている場合か!!ってなにこの手!」
気がつけば俺は、赤く毛むくじゃらの俺のウェストよりも太い。
うん確実に太い…その手によってベランダの外。
ようするに12階の高さへ一本釣りでぶん投げられている。
「おおおおおおおおいおおおおおおおおおお゛」
とにかく叫んだ…まずい!死ぬうえに落とす!原稿落とす。
ああ、あれだ前に書いたアレみたいになるのか…。
なんか昔書いていた作品を思い出しそうになる。
そう!こういうときは可愛い女の声で…
「まだ死なせるわけには行かない!」
「そう!そんな感じ!!ええ?!」
…っとそのときだった、頭の中になんかまじめそうな、
絶対可愛い女の子の一生懸命な声が聞こえてきたのは。
売れっ子さんは毎日更新が基本と知り合いにいわれ、そうか…毎日はきついかもだけど、短めのスパンで少し頑張ってみるか…と頑張ってみてます。どこまでこのペースでいけるのかわかりませんが、
何卒宜しくお願いします。
誤字脱字感想などありましたら是非お願いします。
※
何時くらいにあげるのがベストなんだろうなぁ…。
米
漢数字で単語として成り立っているもの以外を、
アラビア数字にしてみました。