ロートル作家は二人の話を暫く待つ
人の話が終わるのを待つというのは、結構長く感じるし、また退屈なものです。
子供の頃、じっとしているのが苦手だったので、良く怒られていた記憶があります。
ロートル作家は二人の話を暫く待つ
屋敷に着くと、あの馬鹿でかく重そうな、背負いかばんを下ろし、
二人は中へと入っていった。
ありゃ重たいだろうな…。
正直俺なら持てるだろうけど…そこは基準にならないだろうからな。
屋敷の中の奥、オージがいつもいる、あの部屋に一郎とオージが入っていく。
大事な話があるとかないとか言っていたので、商談とか、扱いからして、
ハナサカという都からの、なにか…とか、そういうことなのだろうな。
残されたのは俺とユーリとイルクとエルル、そして七郎。
一郎とオージの話が終わるまでの間、
七郎は居間で待つように言われる。
俺たちも何となくどうして良いかわからず、
そのまま居間でとりあえずじっとしていた。
だが…そろそろ限界だろう。
先ほどからイルクとエルルがウズウズしているのがわかる。
二人からすれば、七郎や一郎は、
都からやってくる不思議な人たちといったイメージらしい。
行商人は言ってしまえば、この村では稀な娯楽みたいなものだろうな。
それと旅をしていて定期的にきてるとはいえ、
なかなかこうやって側にいて、ゆっくり話せる機会はないのだろうしな。
村中がこの久々の来訪者にワクワクせずにいられるわけもないよな。
各言う俺もいろいろな意味で、正直言えば気になっている。
この先にあるものが、良いものなのか、悪いものなのか…。
行商人と旅人は自分にとってどこまで有益なのか…
今回の旅はその先が触れる針の位置で大きく決まっていくのだからな。
「ねぇねぇ…行商人さん?」
「行商人さん?」
イルクが我慢できなくなって話しかけ始める。可愛らしさを全面に出し、
彼の持つ愛嬌の全てをそこに向けているようだ。
それにつられて、エルルも同様に人懐っこく声をかけていく。
七郎といわれた行商人は、フードをかなり目深に被っているせいで、
顔が見えないが、一瞬二人を見るが、視線をそっとそらす。
フードの奥に、チラッと一瞬見えたのは髪の毛の部分だろうか…
なんか白かった様な気がするな…。
七郎は…子供は苦手なのかな…?あまり反応が良いとはいえない。
それに気づいたのか、ユーリが姉として優しく、二人を嗜める。
「イルク、エルル…その方はお爺様や村のお客様なのよ?
そうやって、お客様を困らせてはダメでしょ?」
「「はい、ごめんなさい…」」
正直二人は仲良くなりたかっただけなのだが、
ユーリの言うところに思うところもあったのだろう。
素直に頭を下げて謝っていた。
「七郎様、弟と妹が失礼しました」
ユーリが頭を下げて謝罪する。
「あ…いや…気に…しないでくれ…ボクは少し、人が苦手なんだ…」
おっとしゃべったぞ…。顔は確かにこちらには向けていなぁったが、
はっきりとそれと結構イケメン風な声だ。
どうやら悪気はなかったようだ…人見知りというのはあるよな、うんあるな…。
「よーい、イルクーえるるー、お客様にご迷惑を、
おかけしてしまうといけないからな…。よし!俺が外で遊んであげよう!」
ここはこのタイミングだろうとばかりに、俺が子守を買って出ることにする。
「「わーい」」
うん、二人は無邪気でいいんだよ。そうでないとな…。
俺の呼びかけにすぐに応じる二人。
とりあえず二人を連れて出て行くことにしよう。
「ユーリ、じゃあ、お二人の話が終わったら呼んでね」
「わかったわ、ナガラ!ありがとう!二人ともナガラに迷惑かけちゃダメよ!」
ユーリに声をかけて、七郎に手を軽く上げて挨拶をしておく、
そして俺は二人と一緒に屋敷の前の開けた辺りまで出て行くことにした。
結局そこから二人の話は一時間程だったのだろうか…。
しばらくすると俺たちのことをユーリが呼びにきてくれたのは…。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』36話です。
ようやく村脱出です。文字数が少ない更新のため大分時間がかかりましたが、
言うならば『ハジメの村編』とでも言うのでしょうか…。
本当皆様ありがとうございます。
では、明日の更新が無事できることを祈り、次回でまた会いましょう…。
米




