ロートル作家は本婆に会う
本はいいですよね。いくつモノ冒険や物語、浪漫、何でもあります。
決して経験できないようなことも、読み方しだいでは擬似的な経験をすることが、
出来るものもありますからね。
ロートル作家は本婆に会う
本婆と呼ばれている人物がいるらしい。
あまり派手な娯楽などない、この村の数少ない娯楽品は本らしい。
その、本を貸してくれる人らしいが、
婆ってつくからには、婆さんなのか?
何かたまねぎ頭のではたきを持ってめがねをかけている、
活発そうな婆さんが浮かんで、とりあえず違うだろうな…と、
イメージを消しておく。
場所は見張り小屋から裏手に回って、村の北側の外れの方。
畑と畑の間の道を、道成に真っ直ぐ行けばつくらしい。
本当にその荷物を一人で持って行って、大丈夫か?と心配もされたが、
持っみせてしまった手前もあるので、大丈夫ですと心配ないと、
笑顔で返して、先へ向かった。
『大きな青い羽が扉に飾ってある家だから、扉を見たらすぐわかる』
アーズはそう言っていた。きっと見ればすぐわかるのだろう。
「重くない?」
「手伝う?」
「エルルは応援するね」
イルク、ユーリ、エルルの暖かい声援の中、
俺は、大丈夫大丈夫と、先を急ぐように、歩いていった。
正直、ココにいる、他の誰も、コレはもてないだろうな…。
かなり重さだよ…。
箱の大きさは、肩に担いで普通にもてる程度の大きさ。
しかし、この重さからすると、大きさの割りに本がぎっしりとでも、
入ってるのかね…、
何か金属系の音もしているんだけどな…わからんな。
暫くして畑の奥。
少し離れた畑と畑の間の先に、その家はあった。
大きさは村でよく見る平均的なサイズ。
扉には確かに色鮮やかな青い羽が飾ってある。
あれだな、何か幸せとか呼びそうだよなあの色…。
「あ!本婆の家だ!」
イルクが指をさして俺に教えてくれる。
「着きましたねー」
「ついたねー」
ユーリとエルルも到着したことを伝えてくれる。
「あぁ、どうやら着いたみたいだな…ふぅ」
結構な重さであることは事実で、それを持って歩いたらそれは疲れるわけだ。
途中から、ちょっとイメージ的に、大変だなぁと思い始めたからな…。
しかし、今の、俺のステータスを以って、この重さとか、何が入ってるんだよ。
「本婆ー来たよー」
「きたー」
エルルとイルクが本婆を呼ぶ。
「あのぉ…私はぁ、まだぁ、そんな年じゃないですぅ…」
扉の開く音がして、私魔女ですけど?といった格好をした女の子が、
そーっと出てきた。
ツバ広でとんがった大き目の帽子をかぶっており、
やや、ブカブカにも見える、ゆったりとしたローブを着ている。
目は、少しオドオドして、あまり目線を合わせないように、
しているようにも見える。
「あ、本婆だー」
「すみません、ドルシーさん」
どうやらこの子はドルシーというらしい。
「にゃぁ」
「あ、猫さんだ」
「猫だー」
猫は二人をチラッと見ると、一つ鳴いて、ドルシーのそばにきて、
ちょこんと座った。
「あなた…はぁ?見たことのないぃ、方ですねぇ?」
「旅人のナガラ…さんです」
「「ナガラのお兄ちゃん」」
とりあえず、荷物を持ったままなので会釈だけする
「そうですかぁ…ところでぇ…その荷物重くありませんかぁ?」
「えぇ、少しだけ」
緊張感とはほぼ遠い口調で、ドルシーが聞いてくるので、
少しだけ辛いんですけどね、とアピールをしてみる。
「あ、ドルシーさん、ドルシーさん宛ての荷物が届いていまして
今日はそれを、頼まれて持ってきたんです」
「私宛てのぉ?…あ、そうですそうですぅ、確かに頼んでましたぁ」
顔を少し上げて、こちらを見ると、ぽんと手を叩いて、
それに答える。
「あの…荷物降ろしてもいいかな?」
「あ、ごめんなさいぃ…どうぞぉ」
この重さの荷物を置けば、相当大きな音がしてしまいそうだなと、
そっとなるべく静かに置かせてもらおうとしたら、急に軽くなった。
荷物の下に薄くて浮いている、板のようなものがある。
「あれ?急に楽になったと思ったら、荷物の下に薄くて頑丈な、
板ができているんすね」
「え?」
ドルシーさんが驚いたような声を上げる。
他の三人は俺の言った言葉に、首をかしげている。
「あれ?何か変なこと言いました?」
「あ、いえぇ…そうですかぁ…」
「「なにもないよー」」
おっと、見えているのは俺だけか…?!
こりゃまずいな…あとでうまく、ごまかさないとな。
「ははは、じゃあ中に入れましょうか?」
「あ、いえぇ、そこにおいておいてくれればいいですよ」
「ははは、じゃあわかりました」
「あ、そうそうですぅ…ナガラさん、あとでまたいらしてくださいねぇ、
ナガラさんはぁ、良い才能を、持っているかもしれませんのでぇ」
「良い才能・本当ですか!もしそうなら嬉しいですね」
とりあえずこういうときは、マズ変な否定はしない。
嘘をつくと後が詰まる、いつでも状況を動かせるようにしておくのは大事だ。
色々聞きたいこともあるのだが、まずはミッションを終わらせないとな…。
本婆ことドルシーの荷物運びが終わり、いったん見張り小屋の
アーズのところに戻ることにした。
「本婆なんか楽しそうだったー」
「そうー」
「ははは、そうなのかーそれはよかった」
「そういえば、ナガラさん、ドルシーさんに『後で来るように』って、
言われてましたね」
後で、ドルシーの所へは、行った方が良いのだろうな…。
もしかしたら、空想術のことが、少し、分かるかもしれないしな。
明らかに、アレは、何か術的なものを使っていたからな…。
来た道をそのまま戻り、暫くすると小屋の前で休憩をしている、
アーズの姿が見えてきた。
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『ロートル作家とおとぎの異世界』22話です。
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ではまた次回で
米




