ロートル作家は人助けを始める~見張り小屋のアーズ~
子供の持つ好奇心というのは、とても大事なものだと思います。
ただ、好奇心猫を…という言葉もあるので、そんなときは大人が、しっかりしないといけませんね。
ロートル作家は人助けを始める~見張り小屋のアーズ~
「案内といっても、何かスゴイモノがあったりはしないわよ?」
ユーリが俺の前を先導するように、右手はエルルに、左手はイルクに、
既に捕まれている。
さぁ、行こう!と、なった瞬間に、俺の手は二人に捕まれてしまった。
中々の速度だった。ひゅうっと走ってきて、サササッと繋がれていた。
ちょっと驚いてみたら、二人ともいい笑顔を返してきた。
何かこういうの懐かしいな…一時期、昔は…、近くの子供とかに、
懐かれていた時期もあったな。そのうちの何名からかは、
プロポーズとか受けていたが、大丈夫、今はそんな記憶は誰にもない。
二人はそれぞれ開いている手を、上に挙げると、
元気な声で出発を告げる。
「「さぁ!いこー!」」
うん、本当元気な子達だ。
そういえば、二人がサササッと俺の両手を握ったとき、
絆の着いたユーリが、小さく『あっ…』と、言っていた気がする。
アレかね…そっちかね…それとも、弟と妹が急に確認もしないで、
俺の手を繋いだことが心配なのかな?
後者だとするのであれば、なんだろうな、おじさんそのくらいじゃ、
怒ったりしないから大丈夫だぞ?
ただし、前者だとするのであれば…どうしたものかな…。
いや、まぁ女神様は、ユーリの態度を見て、
今頃、悶えているかもしれないが…。
屋敷から一路山のほうに向かって歩いていく。ようは山側からの入り口だな。
最初に連れて行かれたのは、入り口に程近い小さな小屋。
なんだろう…休憩所みたいな感じだな。
じーっと見ていると、扉が開いて、中年の男性が出てくる。
「おぅ、村長さんとこの子じゃないか、また出かけるのかい?
だ、めだよ?今度は一人で行っちゃね。
おじさんが、ちょーっと、目を話した隙に出かけちゃうんだから困ったものだ」
「アーズさんごめんなさい。この間、こっそり出かけちゃったから、
謝りにきました…」
あ、とりあえず案内ついでに謝りにもきたのね。
このアーズという男は、基本的にはここで、村に入ってくる者、
出て行く者を、見張る役なのだそうだ。
魔物は居なさそうだが、たまの大き目の野生動物等も近づいたりするらしい。
休憩所とか言ってすまん。見張り小屋だったわけだな。
帰ってきたときには、たまたま、家のものに呼ばれて、
場所を外していたとか、いいのか?それ…。
「んで、そこの坊やは誰なんだい?見かけない顔の子だね」
「あ、すみません…ナガラと言います。しばらく、
この村にご厄介になるかもしれませんので、よろしくお願いします」
「あぁ、坊やがそうなのかい。ナガラさんね、そういや、
ユーリお嬢さんを助けてくれたんだってな、ありがとな」
何故知っているんだよ…と思っていたら、
もう村の中では、有名な話になっているらしい。
娯楽の少ない村だからなのか、噂の伝達速度がマッハだな。
「あぁ…いえいえ、そんな」
礼を言われて、逆に恐縮してしまう。
アーズさんは見た感じ優しそうな、おっちゃんだ。正直強そうには見えない。
おそらくココでも意識を集中すれば、アーズさんのステータスを、
見ることは可能なんだろうな。
まぁ子供好きしそうな、人の良い感じは印象がいい。
ちなみに、村の反対側にも同様に見張り小屋があり、やはり誰か居るらしい。
そういえば、さっき見たとき、地図上のこの場所にも、
困った顔のマークがついてたはずだ。
よし、ならば、こっちからミッションについて、ふってみることにしようか…。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』21話になります。
村を案内されながら、うまい具合にミッションをこなすことを、
考えた主人公。さてどうなりますことやら…。
感想評価、誤字脱字よろしくお願いします。
それでは次回で…(明日も何とか書けるといいな…)
米




