ロートル作家は朝の風景を見る
朝食は大事です。朝飯を食べると食べないとでは、かなりの差が出るそうです。
それと可能であれば若干の運動…どちらも大事ですね…。
運動は少々苦手ですが…。
ロートル作家は朝の風景を見る
<トントントン…>
部屋のドアを叩くノックの音が響く。ああ、朝か…とまだ少しまどろんでいると、
問答無用でジジーが入ってくる。元気なジジーだ…。
「ほれ!ナガラさん、朝ぢゃぞ!!」
ムキっとしたオージがやや筋肉を強調させながら、俺に起きるように促してくる。
「あ…まだ眠いので、おやすみなさい…」
俺はそれを見て悩まずに寝ようとする。
「こらこら、この村では決まりがあっての、雨の降った日と鳩の日以外は、
勇者様の健康法を毎日することとなっているのぢゃよ」
「はぁ…」
オージの家の朝は結構早かった。
前の勇者が広めた健康法というものをする為らしい。
仕来たりだの、決まりだの言われれば、
置いて貰っている身の俺としては、仕方ない。
とりあえず我慢して起きることにした。
ジジーに言われるまま、連れて行かれる。
村の広場には村人がたくさん集まっていて、何列かに分かれて綺麗に並んでいる。
皆、大分ラフで動きやすそうな格好で、首にタオルなどを巻いている。
その列の一番前には、大きめな木の箱が組まれており、はジジーが立っていた。
ジジーの立っている、木の箱の横には、オージの家族たちが一列に並んで、
キリッとしている。
もちろん、そこにはユーリや、その弟や妹もいた。
「うむ、みな集まっているの?今日もぜんいん元気で何よりだ。
では、勇者様の教えてくれた 『ラジオタイソウ』をはじめる」
村中に響くような声でジジーが一声を放つ。
ん?いま、ラジオ体操と言ったか?あれか?小中高と学校でやり、
夏には地域の催し物の如く毎日通うことに執念を燃やす。
あのラジオ体操だというのか?!
「では、まずは腕を前に上げて、大きく背伸びの運動からぢゃ」
ジジーの声にあわせて、皆がラジオ体操を始める。
「「「いっち、にー、さん、しー」」」
ボーっとしているとジジーと目が合う。
何かやらないと場違いのような気もしたので、俺も合わせてやる。
「「「ごー、ろっく、しち、はち!」」」
ああ、コレ結構真面目にやるときついんだよな…って、
あれ?別にきつくないな…。アレか?補正か?!
元の俺の体なら、最初の数段階で心が折れたかもしれない…運動は苦手だ。
体操をしながら、周囲を見回す。
まさに、あの日本中の全ての人間が知っている、
ラジオ体操を村の全ての人間がやっている。
老若男女全てがだ…。なんだかそれはそれですごい光景だな。実に元気一杯だ。
この村で、今回していたのは第一のようだ。日によっては第二もするらしい。
「どうぢゃ、ナガラよ…良い汗をかけたぢゃろ?」
「えぇ…いい汗かきました」
「そうぢゃろそうぢゃろ…」
「ところでコレを広めたのは勇者様なので?」
オージに改めて聞くと、このラジオ体操も、
勇者の広めたもので間違いないようだ。
勇者は旅の途中にも、何度かこの村に帰ってくることがあり、
その時に、実ったライズの食べ方などと一緒に教えてくれたということだ。
当時は勇者があの場所に立って、みんなに指導したということだが、
何やら、勇者と一緒にあの動きをしていると、微妙に元気になったらしい。
その中でも、まだ小さかった、オージはかなりこの体操を気に入って、
今に至るということだ。
前の勇者ってせいぜい数十年前ってことか…100年も経ってないだろうな、
ジジーが、今いくつなのかは知らないが…。
「ナガラ、お爺様はすごいんだから、
都で開かれたラジオ体操コンテストで殿堂入りをしているのよ!」
「わっはっは、やはり最初に勇者様に教わった村の長としては、
ぽっと出の者たちには負けられぬからな…」
ユーリがジジーを褒めると、ジジーも満更ではないように、
頬を緩ませる。っていうかそんなコンテストあるのかよ!
あれかね…きちんと手を止めるとか、そういうのかね?
「ははは、スゴイですねー」
やや、棒読みになりそうな所を、耐えてジジーを称えることとする。
「ふん、なんなら、お主もコンテストに出れるように練習でもするか?
いつでも教えてやるぞ」
「ははは、機会があったら」
孫娘に褒められ、テンションマックスのやる気満々になりそうな、
ジジーをやんわりとかわして、屋敷へと帰る。
屋敷では先に戻った、メイリさんが朝飯を用意してくれていた。
恐らく、他にも今日は入るところを見ると、手伝いもあって途中までは、
用意してあったのかもしれないが、それでもあの時間で中々の速さだな。
食卓に並ぶのは炊き立てのご飯、鶏卵、味噌汁のようなもの、
それに魚を焼いたもの。
あときゅうりの漬物みたいなもの…ああ、日本の古き朝ご飯じゃないか、感無量…。
「「「いただきます!」」」
「米はやはり最高だ!」
「うちのライズは最高でしょ?」
ユーリの自慢気な声を聞き、朝の活力を体へと与えていった。
いつも『ロートル作家とおとぎの異世界』ご覧になって頂き、ありがとうございます。
一応今後も、あげられそうならあげる。無理そうなら無理には上げないという方式で、
行きたいと思います。
今日は間に合いましたので…。
感想、評価、誤字脱字ありましたらよろしくお願いします。
ではまた次回で…。
米




