ロートル作家は風呂にはいる
風呂はいいものです。俗世の垢が流れ落ちますね。
実は湯船に入るのはちょっと大変で、疲れが酷いと翌日動きが悪くなったりもします。
普段はシャワーでじゅうぶんですかね…難しいところです。
ロートル作家は風呂にはいる
夜…。
約束どおり『アキタコマチ』を使った、うまい飯をいただき、
温かい風呂にも入らせてもらえるらしい。
握り飯は本当に最高だ。鮭のような味の焼き魚も素晴らしい…。
芋の味噌汁も善かった。
この世界の基本色は和食なのだろうか?
それともハジメ村の食事が基本和食なのだろうか?
本当こればかりはありがたい。
どこの誰だかは知らないが勇者様万歳だよ本当。
一階の離れのほうに風呂はある。
食事が終わり、オージが一番風呂を浴びた後。
どの家族よりも先に、風呂に入らせてもらえた。
オージ曰く『客だからの』だそうだ。
好奇心もあり、その場で風呂のことを聞いてみた。
風呂の文化が、この世界で一般的なのかどうか気になったのだ。
結果は一般的ではあるが、オージの家の風呂は少し特別製。
一般的な風呂は、もう少し小さく、
いわゆるどちらかというと、五右衛門風呂に近いらしい。
何がどう特別製なのかは、自分の目で見れば良いだろうと、教えてくれない。
少し楽しそうに言う、このジジーは本質的には良い人なのかもしれないな。
孫娘が絡まなければ…。
風呂場には木製の湯船があり、お湯が張られている。
ヒノキとはちょっと違うのだろうけど、木独特の良い香がする。
「あぁ…アレか…ヒノキ風呂みたいだな…」
今日は色々ありすぎた…。
正直、体の中の全部脳みその奥のほうまでが疲れている気がする。
ゆっくりと腰を下ろしていき、肩までのつもりが、
首の辺りまでつかってしまう。
「おっと…うぅっ…おおおぉぉぉ…極楽だ…おぉぉ」
つい、おっさんくさい感想が漏れてしまう。
いや中身はおっさんじゃないか…至極当然だ。
しかも、体をしっかり伸ばしても、パキッとかボキッとか言わない。
しっかり隅々まで、エネルギーが走っていく感じがする。
「これが若さか…素晴らしい!」
知らない人が聞いてたら、やたらおっさんくさい奴だだと思われるだろうな。
まぁ…気にしないのだが?
そういえば、さっきジジーが自分で確かめろといっていた。
この風呂場の秘密とはなんだろうな、気になる…な。
何かこの風呂の秘密を知る、良い方法は…。
そうだ!アレをつかおう。
「むむむむ…」
ピコーンと音がして、風呂の様子が文章になって現れた。
『秘密のある風呂:オージがいっていた秘密とは…?
ズバリこの木製の湯船には、空想術が施されていることだった…。
どうやらこの湯船に水を張ると自動で温め始めるように出来ている。』
なるほどな…これが風呂の秘密か
。空想術のところを見ると、俺のとはだいぶ、違うものが書かれている。
それは簡単に書けばこんな感じだ
『木製の風呂+温(中、水)』
それでコレだが、(木製の風呂( 温(中、水)))の、
全部が空想術ではないようだ。
『温(中、水))』この部分、が実は空想術らしい。
ちょっと違うというか、俺のに比べると簡素な気がする。
コレもどこかで確認しないとな。
風呂につかって、飯の後風呂に入るまでの間のことを思い出す。
腹もいっぱいになり落ち着いたこともあってか、
ユーリから、折角だからと、何故か両親を含め一家全てに紹介をされたな。
「この人が!私の!命の恩人の!ナガラ…さんです!」
『『『おおおおぉぉぉぉぉ!!』』』
紹介の言葉を聴いて、村長を除く家族がどよめきをあげる
。かなり外れの村ということもあり、
あまりお客はこないからなのだろうか、ノリは結構良い。
そう長い時間ではなかったが、ユーリは張り切って紹介をしてくれる。
きっと爺さんの先ほどの反応などを先に見て、
この恩人をいかに信用してもらえばいいのかと、考えたのだろう。
母親のメイリさんは、娘の態度や反応に何か思うところでもあったのか、
『あらあら…』と妙に嬉しそうな反応をしていた。
父親のタズクさんは、あのじーさんの息子の割に大人し理知的なひとだった。
真面目で落ち着いた人だ。ただ所々何かを鑑定されているような、
目で見られているのは、少し困ったな…。
まさか俺の『本当のステータス』が見えるわけじゃないよな?!
弟のイルクと妹のエルルは、大いのししと戦ったと聞いて、
アレはどうだったのか、コレはどうなんだと、興味津々で聞いてくる。
話を聞いては目を大きくして、それでそれでと続きを聞いてくるのは、
例え派手さのない戦闘だったにしても、見ていてちょっと嬉しくなる。
結構な時間、ユーリの家族と話をする。
最近余り人と話してなかったせいもあって、ちょっと気疲れしてきた気がする。
その辺りで、今まで黙ってた爺さんが、子供たちにそろそろ寝るようにいい
。俺には風呂にでもつかってこいとタオルを投げてよこした。
ジジーなりの気遣いだったのだろうか…。
「しかし、風呂はいい…本当にいい…ああ、いい…」
特に何もなく、ゆっくりと風呂につかり出てくる。
意外に筋肉のついた体だな…まぁ、あの数値はじゃこうなるか…。
あまり人前で上半身裸はなっちゃダメだな…。なんかボロがでそうな
気がする。しっかりつくべき筋肉はつき無駄な筋肉は見当たらない。
腹筋もちゃんと割れているし、体は鋼のようにさえ見えないこともない。
風呂から上がった俺を迎えてくれたのは、メイリさんだった。
「ナガラさん、お部屋の用意ができたので、どうぞ(ニコッ)」
二階の左側の奥の部屋、中には、ベッドにちょっとした机、あとは窓があるくらいだ。
先ほどの言った通り、普段あまり使われてなかった部屋のようで、
俺が風呂に入っている間に、ささっと簡単な掃除も済ませてくれているようだ。
「ちなみに、ユーリの部屋は反対の一番奥ですからね、一番奥ですよ?」
ユーリの部屋の位置が、自分から見て真逆の位置にあることを、やや強調して伝えてきた。
なんでだろうな…まぁ、もう遅いし、もう寝てるだろうから明日の朝にでも、
改めて礼を言っておかないとな。
さて、メイリさんも一階に、下りていったようだし、
そろそろやりたかったこと、やらなければならないことでも始めるとするかな…。
いつもご覧になって頂きありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』第17話です。
読者サービスにはならない、15歳の少年のお風呂シーンはどうでしょうか?
気に入っていただければ幸いです。
さて、感想、評価、誤字脱字、イラストなど何でもありがたいです。
特に評価是非お願いします。
ではまた次回でお会いしましょう。
米




