ロートル作家は編集する
人間焦ったりもします。それが人の命がかかっているとなれば、尚更です。
そんな時どうすればいいのか…結局は良いにしろ悪いにしろ、
必死になにかするしかないのではないでしょうか…。
ロートル作家は編集する
お??これどうした?とりあえず、いつものようにペンを握ってみる。
「おぉぉっぉ」
ペンを握った瞬間、今までのここ数分の出来事が、ぱーっと頭の中に浮ぶ。
そのまま、俺の知覚できるレベルを超えた速度で、文章が成立していく。
うっ…頭が焼けそうだ…。
鼻の奥で、何かが燃えるような臭いがした後、文章は完成した。
イメージ的なもので言えば、ものすごい速度で、
四百字詰め原稿用紙が埋まっていく感じだ。
それも焼き付くのではなく、誰かがものすごい速度で書いていくような…。
出来上がった文章は、頭の中から飛び出るかのように抜け出すと、
目の前にテキストの入力画面のようになって現れた…。
何ですか?コレ…。
文章ができるまでは原稿用紙で、出来たらテキスト画面かよ。
なんか…いつもの俺の原稿の書き方…みたいだな。
正直、困惑しかない…それはそうなるだろうさ…。
今、俺の目の前に起きていることは、全くもってファンタジーだ…。
まごうことなきファンタジーなんだよ。
現代世界で、ヌクヌクと生きていた厨二病を煩っている…。
そんな程度じゃ太刀打ちなんか出来ないだろうな!
だが!コレは、明らかに、今の状況を打開できうるチャンスに違いない。
くそっ!さっきまでは何だか余裕だったくせに…。
なんだろう…急にこの世界での現実に捕まったみたいな気持ちだ…。
そりゃそうだ…なにせ目の前の女の子の命だってかかってる。
短いのか長いのかわからない時間が流れていく、
その間に今出来ることをすばやく行う。
まずは、急いで目の前のものを確認…。やはり、テキスト入力画面だな…。
どうやって入力をすればいいんだ?!
くそっ!
なんだか、焦ってるせいなのか、毒づいてしまう。
「くそっ!」
今度は声が出た…。さっき感じた、鼻の奥の焼けた匂いと、
頭への痛みが強まっていく気がする。
「誰かコレの使い方を教えろよ!!」
そして、少し強めに叫んだときだ…。
突然、機械的な女性の声が体の中に聞こえてくる…。
『編集しますか? YES/NO』
編集…??文章、文章は流れ幾時間とともに、どんどん進んでいっている。
ああ!これか!これが女神様の言ってたあれか!!
【大猪は、目の前で棒立ちになっている長良をみながら、
その速度を速めていく。狙いは長良の心臓!これさえ潰れれば、
長良も一巻の終わりである】
「うほぅ!マジか!死ぬぞこれ…。あ、あれか?アレすればいいのか!」
変な声とともに変な汗が流れる…。
空想力…空想力空想力…編集編集…技能技能…出。
『編集しますか? YES/NO』
また無機質な女性の声…。
これイエスって言えばいいんじゃないか?
「する!編集する!!させろ~~~~!!」
叫んだ俺の前に編集ボタンが現れた。急いで編集ボタンをペンでタッチする。
何か、スイッチでも入ったかのように、背景の色が変わっていく。
見ると、先ほどの文の最後の部分が、点滅をしている。
そして、横に残り時間??…残り時間だとぉ!?
『残り時間は二十秒』
だめだ…長い文章では間に合わない…。えーとえーと…コレで許してくれ!
ペンを強く握ると先ほどのように光って、入力画面が出る。
とにかく急いで入力…キーボードねえよ!
やばい…時間ない…。やけくそで直接ペンを当てて、文字を書く!
『大猪は、突然コケた!』
俺がそう一文だけ急いで加えると【編集ボタン】が【完了ボタン】へと変わる!
「イケる!!これだ!」
持っていたペンで完了ボタンにタッチする!間に合え…間に合う!間に合えぇ!!
グォン…変な空間の歪みが目の前に起きる。
そして機械的な女性の声がまた聞こえる。
『文章の改変を許可します』
よぉぉぉぉぉしっ!!どうだ!俺の気合の一文が、世界へ伝わっていく…
そんな錯覚を感じる。
<コケっ>
大猪は、俺の書いた文章の通りになっていく。
恐らく大猪も驚いただろう…。
今までなかったはずの、たまたまあった木の根に躓いたのだ
大猪は、自分出した最高の速度で、そのまま盛大にコケたのだった…。
『ロートル作家とおとぎの異世界』をいつもありがとうございます。
いよいよ作家らしいところが垣間見えてきましたでしょうか…。
まだまだこのペースでイケるのか…(答えは闇の中…)頑張ります(汗)
誤字脱字、お気づきの点、感想など是非よろしくお願いします。
後この下の評価もどうかどうか一緒にお願いします。
ではまた次回にて…
※
5/3
少し修正しました




