ロートル作家は街を探索する 4
博物館を出ると外は夕方、薄暗くなってきている。
ポチおすすめの三階建ての良い宿屋なるものをとっており、その宿屋が近づくにつれポチの握る手が強くなっていく。 ふとポチを見ると眉が八の字になり寂しそうな顔になっている。
「ポチ今日はそろそろ終わりだな」
「あい……」
「ここがポチお勧めなんだな?」
「あい……!」
どうしたものかな、別にこのまま明日またここでな、で問題ない気もするが、
ポチの住んでいるのは恐らく路地裏の更に裏のような場所。
一応前に来ていた服は石鹸で洗っては見たけど、薄汚れたままだった。
「ポチ、ちょっとここで待ってろ」
「あい?」
「すぐ戻ってくるから待ってろな」
俺は急いで宿屋に入ってもう一人追加することを伝える。金は一人銀線5枚、飯は別途希望があれば銅線5枚から。
部屋は一部屋だけ空いている。ポチなら一緒に泊まれば問題ないよな。
俺はそれで頼むと金線1枚を渡して宿屋の受付に言ってポチの元に戻る。
「ポチ、今日は一緒に泊まろう」
「あい?ポチそんなお金ないよ?」
「ん?あぁこれは俺が出すから問題なしだ」
「でも……」
「ポチ?」
「あい……」
「明日万が一ポチが寝坊でもすると俺が困る」
「ポチ寝坊とかしないよ?」
「いいんだ、何事にも最悪を想定してってやつだ。俺がいいって言ってるんだから
いいのだよ」
「……」
「いいな?ポチ、俺がなポチともう少し色々話したりしたいんだよ」
「あい……」
「わかったら元気よくお返事だポチ」
「あい!」
「よーし、では宿屋にはいるぞー」
「おー!」
その夜、俺はポチと宿屋に入った後近くの屋台で適当なモノを買い、部屋で二人で食いながら
色々な話をした。一階で飯も食えるようだが、なんとなしにそうしてみた。
ポチにはこれまでの話とか、ポチ自体の話とかいろいろ聞いた。ポチ自身の話はこうだ。ポチはどうやらもともとはそこそこいいところの子だったらしい。 家同士のもめごとがあり、その際にどうやら破れて落ちぶれたとか。
結果、両親は亡くなり、最初はセバスチャンという執事がいたらしいが、セバスチャンも最近亡くなりポチは気がついたら一人になっていたらしい。
「苦労してたんだなぁ……」
「あい……」
「まぁいい、ほら食え食え!!」
「あいっ!」
ポチは笑顔で顔中ソースまみれになっていた。だから適当な布で拭いてやり、また笑って串焼きを食ってるのを見て俺もなんか気分がよくなる。腹いっぱいで心も体も満足した俺たちは、ベッドは大き目だったのでそのまま二人で寝た。ポチは俺の横で丸まって寝息を立てていた。
こんな小さな体のポチが一人で苦労して、何だろうな同情という奴かね。同情したって今子は救われないし、このまま別れれば下手をすればこのままってことにもなりかねない。
どうしたもんだかな……。
「あい……」
悩んだまま寝返りでもうとうと思ったらいつの間にかポチが俺の体にくっついていた。それを見て俺はそっと頭を撫でてやる。ポチの顔が何となく嬉しそうに見える。
ポチのことどうするかな……。このままだとな。
そんなことを考えていたら、いつの間にか俺は眠っていたらしい。
書けるときに書いてあげられるときにあげるような状態になります。
不定期にはなりますがまたよろしくお願いします。
よかったら☆一つでもいいんで付けてやって頂ければ幸いです。




