ロートル作家は首都ハナサカに到着する 2
ポチと名乗るその犬系の子は、可愛らし気に首をちょこんと倒し俺を見る。
尊いってやつか? とはいえ、それは、その口から多量に出ている涎さえなければだが。
「あ~なんだ……食うか?」
ついオヤジ口調で肉串をポチの前にだしてみる。目が俺の動かす串をものすごい速度で笑顔で涎を垂らしたまま追いかけていく。もはや涎の洪水だな。
「食う!」
「ほら、いいぞ食って」
俺は肉串を差し出して手に持たせてやった。俺のGOサインを受け取ったポチはものすごい速度で一本二本と平らげていく。途中面倒なので、そのまま十本くらい更に追加してやった。
「おなかいっぱいだぁ~」
「だろうなぁ……お前良く食うな~」
「えへへ~♪」
「いや、ほめちゃいないぞ?」
俺の金であまりにたくさん平気に食っていやがるので、嫌みの一つも言ってやろうと言ってみたのだが、通じなかった。むしろ逆に褒められていると感じたようだ。
「肉串ありがとう~(にぱっ)」
ちっ……いい顔しやがるもんだわ。なんというかあれだな、庇護欲をそそられる笑顔だな。
「なぁ、ポチだったよな?」
「あい、ぼくポチ」
ポチは口の周りを肉汁だらけにしたまま元気よくお返事をする。
「ん~……あれだ、ポチはこの街は詳しいほうか?」
「詳しい……?」
「知っているっていうことだ、街を案内してくれそうなやつを探してたんだが。できるか?」
「ん~……できる……よ?」
「ちょっと気になるが、まぁいい。なら、俺の案内をしてくれ。そうしたらそうだな給料も出すし、肉串とかも食べさせてやる」
このまま放っていくのは何か躊躇われるし、なら取り込めばいい。どうせいつもの自己満足だが、やれるならやればいいだろうさ。ようは案内屋として適当に案内させれば、給料も出せるし飯を食わせているのも不自然じゃないだろうしな。なにせ俺はこいつの雇用者様だしな
「よし!いいな? ポチ」
「あい!」
こうして俺はどうにも庇護欲をそそられる、犬人の街の案内人を手に入れたわけだが。
さてこれから街へと繰り出すかと思い……ふとポチを見る。
あ、だめだこの状態で街は、特に建物は入れないわ。そりゃそうだよなぁ……このポチの様子じゃそうだろうな。なにせポチの格好はお世辞にも綺麗とは言えない。恐らくストリートチルドレンとそう変わらない生活なのだろうし。
「ポチ、この街に風呂屋ってのはあるか?」
「あい! あるー」
おお、風呂屋あるのか。なら決まりだな。
「ポチ、まずは服屋だ。服売ってるとこそうだな安いところでいい。ないか?」
「ん~」
ポチが服屋について悩んでいると、屋台のおっさんが声をかけてくる。
「ああー、あんちゃんそいつらに服のこと言ったってだめだ。安くて簡単な服でいいなぁその先の青い布の屋根のところがそうだな。そこでいいならだがな」
「おお、おっさんナイス!ファインプレーだな。あとで串肉追加で買うから」
「へへへ、まいど」
ポチにおっさんの屋台の近くで待ってるようにいい。すぐそばの青い布の屋根のところまでいく。言っていた通り、簡単な服が売っていたので下着にサンダルも着けて、ワンセット購入。それをいつものバックにいれて、ストレージ行きとする。
「よし、ポチまずは風呂屋だ! いくぞ!」
「あいあい」
あれだな……なんか既に街の案内人としては……。まぁいいかそういうことにしとこう。
いつもご覧になって頂き、誠にありがとうございます。
『ロートル作家とおとぎの異世界』109話目になります。
描けるときには書きましょうと、ちょっと書いてみました。
この先が気になる、作者生きろ! ポチ可愛い? 等ありましたら、
是非この下の評価と感想欄に一言お願いいたします。
ではまた次回で……。




