ロリと盗賊
宴も終わり、今晩は村長のお宅にお世話になる予定のマサルさん達。
村長お手製の、お茶を頂き今後の予定など相談していたのですが。
夜行性の動物を、捕獲するするために山の中で罠を仕掛けるていた、村の狩人が村長宅を訪れた…………
「村長さんまだ起きているかい?」
「狩人のレトリーじゃないか? 獲物のお裾分けに来たのかい?」
「イヤそうじゃないんだ村長、山の中に身慣れない足跡が複数あったんだよ」
「!? 村の収穫後を狙う盗賊達ではないのか? だが、なぜ今時期に奴らが現れる…………」
お茶をすすっている、マサルさん達の横で何やら不穏な話をしている村長に、マサルさんは質問してみた。
「村長、口を挟んで悪いがその盗賊達って何だよ?」
「マサル様、毎年畑の収穫後に現れる連中です、今は畑を荒れ収穫量が減ってきたので、しばらく姿を見ていなかったのですが…………」
「収穫後って事は作物を狙って来るのか? 」
「いえ、収穫物ではなくその後に執り行われる、行商人との交易の利益である金品を狙っておるのです」
なるほどね~ 最近は収穫もあまりないから、交易での儲けもほとんど無いから、盗賊にしてみても旨味がないから襲わなかったわけだな。
「村長、宴を派手にやったから盗賊達に、目を付けられたのかもしれんぞ」
「なるほど! 最近は盗賊がこないので油断しておりました…………」
「んで村長、対応策はあるのか?」
「いえありません奴らは人数は30人程ですが、ほとんどが傭兵上がりの連中ですので、逆らうだけ無駄でしょう…………」
う~む分が悪いね~ 相手は曲がりなりにも戦闘のプロで、こちらは年寄りと子供だらけか…………
マサルさんが、村人に逃げろと伝えても彼らはここしか居場所がないから、逃げないだろうし。
素直にワイバーンの素材や、マサルさんが持ってきた物資を渡すのを黙って見ているか? ノン、ダメ、嫌すぎる。
その盗賊とやらは、金持ちでも襲えばいいのに何でこんな貧乏な村を襲うんだ、マサルさんイライラしてきたぞ。
そもそも、今ある物資の大半はマサルさんが持ち込んだ物だ、今後の活動資金に化けるワイバーン素材を渡すわけにはいかない!
それに盗賊達に、素直に渡してもまたそいつらは来るだろ? マサルさんは絶対に反対だ!
「村長! 物資は渡さない方針でいこうぜ!」
「せやな、ワイもマサルちゃんに賛成やで! そんな奴らは何度渡してもまた来るやろ!」
「では、どうしろと? ワシは村長として村民の安全を守る義務があるのです、下手に逆らって皆殺しにされろと?」
「決まってんだろ! 殺っちまえばいいんだろうが!!」
マサルさんが椅子から立ち上がり、村長に詰め寄るが村長はマサルさんの目を見ながら、押し黙ったままだ。
「村長、フェンリルや他の子供達がこのままでいいのか? あの子らにも未来があっていいだろ? 今、物資を取られれば、子供らの未来も無くなるぞ!」
「ですが、何か手立てはあるのですか? いくらマサル様がお強くとも、あの人数にはかないません」
「村人全員が無事で済む保証はない、だがなそこの寝ているフェンリルの寝顔を見ろ、この子の未来に関わる事だ黙って見ていられるか?」
「………… 未来ですか………… 今すぐ、村の動ける物を集めて参ります、この子らの未来を助けてくれますな? マサル様…………」
「おうっ! 任せとけ、ロリを守るのがマサルさん達の仕事だ!」
村長は、狩人のレトリーに人を集めるように言い付け、自分も慌ただしく盗賊を迎え撃つ準備を始めている。
ん? そう言えば、ドガンとブーちゃんの姿が見えない話合いにも参加しないで何をしてるんだ?
マサルさんが、ドガンとブーちゃん二人の姿を探して、村長宅をウロウロしていると。
村長宅の入口にある、ドアが開きドガンが戻って来た。
「もじゃ! どこにいたんだよ!」
「フェンリルに頼まれて、家の外にブタ小屋を作っていたんじゃが、村人達が騒いどるな? 何かあったのか」
「盗賊が来るんやで! ちゃっちゃと戦うか避難するか決めや!」
「………… ワシはフェンリルを守りながら避難するわい、その方がお主らも暴れやすかろうて」
ドガンは、意外とわかってる奴だな、いきなり盗賊だなんて話を聞かされても。
冷静にフェンリルを守る事を選択している。
前線で戦うのも大事だが、後方での守りの方がさらに、大事なのを良く理解している男だ。
こう見えて、命のやり取りがある修羅場を経験しているのかもしれない。
牢屋でも感じたが、普通もっと騒いで慌てるもんだろ。
ドガンが、長椅子に寝ているフェンリルを抱きかかえると、フェンリルは目を覚ましたようだ。
「わふ~? ブタはどこわふ?」
「ブタは、表のブタ小屋で寝てるぞい、フェンリルはちゃんとブタに餌を上げて散歩するなんて、偉い子じゃな」
「ちゃんと、飼うってマサルと約束したわふ!」
「まさる! ヤッさん後は任せたぞい…………」
ドガンはそう言い残し、フェンリルを連れて他の避難者がいる場所へと向かって行った。
「村長、あまり時間がないかもしれないが、宴の時に見た丸太を組み合わせて作った篝火をもう一度作ってもらえるか?」
「承知しました、すぐに取り掛かりましょう…………」
「マサルちゃんってキャンプファイヤーみたいに、デカイ奴やろ? 何に使うねん?」
「ああ、暗闇に乗じて襲われるのが一番メンドウだからな、炎は他にも使い道はあるが今はいいだろ」
「さよか、確かに暗いと盗賊をシバキずらいで!」
盗賊が、いつ村に来るかはわからないが、宴の後の今晩が怪しいとマサルさんは思っている。
マサルさんが盗賊なら、酒が入って油断しきってる今晩が最適だと思うからだ。
「そうだ、ヤッさんには武器を渡さんとイカンな…………」
「一応ドスを持ってるで! これで何とかするからええわ」
「ドスでもいいが、人数多いからこの拳銃やるよ使い方はわかるよな?」
「マサルちゃんこれ随分と古いチャカやな、どこで買ったん? ワイに言えば安く買えたやろ」
腰から、ドスを抜きマサルさんに見せているヤッさんに、トルーパーと弾を渡すと。
さすがに、ヤクザ者のやっさんは蛇の道は何とやらで。
手慣れた感じで、トルーパーの弾倉を開き点検している。
今までマサルさんには、扱いづらくお蔵入りしていたトルーパーだが。
マサルさんより、体格が良く手のひらも大きいヤッさんになら、十分に使えるだろう。
「しっかし古いレンコン式のチャカやな~ 弾見たらマグナムみたいやから、威力はあるんやろうけど…………」
「ヤッさん、拾い物なんだから文句言われても困るぞ」
「マサルちゃん!? 拾い物って畑で収穫したんか? 危ない橋渡っとるでしかし」
「いいんだよ、俺らの街で悪用されるよかマシだろ」
ヤッさんは、マサルさんの言葉に苦笑いしながら、弾倉に弾を装填している。
「んでヤッさん、射撃の腕前はどんな物なんだ?」
「そうやな~ 組の慰安旅行でワイハーに行ったんやけど、そん時に撃ったくらいやから自身ないわ~」
「そうか? 中々どうしてサマになってるぞ、ヤッさん」
「男前に見えるか~ マサルちゃん」
こんな緊張状態でも、ヤッさんは落ち着き払っているように見える、肝がすわっていて羨ましい限りだ。
マサルさん達が、外の様子を確認するために村長宅から出てみると。
避難組とは別の残留組が、村の中央広場に新しく丸太を組み合わせている、もう間もなく作業も終わりそうだ。
残留組は10人程度だろうか? この過疎村ではこれ以上の人数は望めないだろう。
マサルさんらも、村の入口に小規模な柵作る応援に回ったが、こんな物でも無いよりはましか?
まあ気休めぐらいにはなるだろう…………
作業も終えて、暗い夜空が広がる中篝火の明かりだけが煌々と明るい…………
「マサルちゃん、今日は盗賊こないんちゃうか?…………」
「イヤ来た…………」
時刻は深夜2時を回った頃だろうか、静まり返った村に馬のひづめの音が聞こえて近づいて来る。
おかしい? 盗賊の姿はまだ遠く薄っすらとしか、姿を確認できないのに騎乗音だけが近い?
すでに、村の中に盗賊が侵入してるのか?
遠くに見える盗賊の姿は、陽動で本隊はすでに侵入してるとしか、考えられない!
「ゲヒー! 犬っ子様到着でござる」
「ご苦労わふ~ ブタ!」
突然、木々の隙間からブーちゃんに騎乗したフェンリルが現れた!
「おい! フェンリル何してんだ戻れ!」
「あちしも手伝いに来たわふ~!」
「いいから戻れ! マサルさん怒るぞ!」
「イヤわふ!」
盗賊の騎乗音だと思ったら、フェンリル達で少し拍子抜けしたが、本物の盗賊は近づいて来ているのだ。
この強情な子を、説得する時間はもう無い、こんな事が起きないように、避難させたのに裏目にでたようだ。
「ちっ フェンリル! 大人達の後ろに隠れてるんだ、ヤッさんは頼めるか?」
「了解やで~ 犬っ子はワイの後ろにいるんやで!」
「う~ わかったわふ、でもマサルがピンチだったら、あちしが助けてやるわふ!」
「ああ、ありがとよ!」
マサルさんの真剣な表情を見て、気迫に押されたフェンリルはしぶしぶヤッさんの後ろに下がった。
しかし、マサルさんがピンチなら助けてくれるか、何の力も無い少女の言葉だが。
以外にもマサルさんは頼もしく感じてしまったじゃねえか…………
「そろそろ盗賊が見えて来るぞ!」
「あわわわ! あんなに多いとは聞いて無いでござ~る!」
「ブタ落ち着くわふ!」
段々と盗賊の姿がハッキリと見えて来た。
マサルさんは、バックパックからプラスチック爆弾の包みを出し、タイマーを30秒にセットする。
奴らの上空に空間転移して、上空からプラスチック爆弾を投下してやろうと、転移の準備を始めると。
「ゲヒ? その包みは都電モナカでござるな? マサル殿は一人だけ都電モナカを土産に、命乞いする気でござるな?」
「ブーちゃん掴むな放せ!」
「ゲヒヒヒ! 助かるのは、拙者と犬っ子様だけでいいでござる!」
「おい待て! 行くなブーちゃん!」
ブーちゃんは、マサルさんの手からプラスチック爆弾を奪い取ると。
「ゲヒヒヒヒヒ!!」
盗賊集団の中に走って行き、そのまま爆発した…………
「ブヒーー!!」




