ロリと缶詰
村人に乳首をコリコリされ、お礼に村の経済状況のテコ入れを、約束したマサルさん。
賢者タイムの、マサルさんは全能感にあふれ、増し増しの盛りだく状態であります。
お釈迦様は生まれてすぐ七歩あるいて、右手で天を指し左手で地を指して「天上天下唯我独尊」と話したそうですが。
今のマサルさんなら2キロぐらい歩いて「おや? セーヌ川での散歩のつもりが、荒川だった」ぐらいのウッカリ発言をしそうです。
マサルさんが、窓から空を見上げ太陽の位置を確認する。
「うむ、1時13分20秒くらいだな」
マサルさんが、何時間くらい倒れていたか知らないが、体がこわばっているので軽くストレッチをして。
腕立て伏せを始めるマサルさん、最近は年齢のせいか肉体の衰えを感じるので、日々の体力作りはかかせない。
体に負荷をかけるように、めいいっぱい腕を曲げての腕立ては結構キツイ、後一回、一回やったらやめよう。
「9001回!」
えっ一億回? マサルさんできるけど、筋トレはほどほどがいいんだよ…………
「マサルは何を言ってるわふ? まだ腕立てを一回しかしてないのに」
「おや? 犬っ子よ、そこにいたのかい? マサルさんの腕立ては、常人には見えない早さだからな」
「あちしは、さっきからずっとここにいるわふ」
犬っ子が何やら言ってるが放っておこう、マサルさんは賢者タイム中なため、ロリっ子がいても性欲とは無関係な聖人でいられるのだ。
さて村の状況を改善させるには、産業を興し雇用が生まれれば、村は潤い出稼ぎの村民も帰って来やすくなるだろう。
「村長はどこにいるのかね?」
「先程からずっと横におりますが?」
「村長、この村で産業を興し特産品を作るぞ」
「マサル様、特産品と言われましても、人も物資も無いのですが?」
マサルさんが、村に入って来た時に見た農機具や、マサルさんが今いる村長宅に置いてある金物を見てピーンときたわ。
「村長よ、この村に鍛冶職人がいるだろう?」
「一人おりましたが、今は出稼ぎに出ていまして」
「ほほう、だがこの村の農機具には新しい修理の後があったぞ?」
「ああそれなら、今年で12歳になる鍛冶職人の弟子が、簡単な修理をしてますな」
あらっ予想が外れて鍛冶師はいないと、でも弟子はいると。
なら、マサルさんの考える特産品作りに、必要な鍛冶師を連れてくればいいわけで。
「村長、特産品を作る鍛冶師を連れてくる、また村民をこの部屋に集めておいてくれ」
「それは構いませんが、何を作るので?」
「まだ、秘密だ! でもスゲー物作るぞ~」
マサルさんはそう言い残し、祠に転移してそのまま日本に戻った。
まず、マサルさんは工業地帯にある、工業品の専門店に行き。
手動の缶詰製造機2台と、缶詰作成用に使う空の缶などを、12万円程で購入した。
缶とフタをマシーンにセットして、ハンドルを回し、缶とフタを閉め上げれば、二重巻締め方式と呼ばれる缶詰が簡単が製造できる。
缶詰なんて18世紀のフランス革命の頃からある技術で、中世レベルの製鉄技術を持つ異世界でも原理さえ教えれば、十分に再現できるレベルの物なのだ。
ただ、個人が食品の缶詰を作り販売するのは、食品衛生法に引っかかる為おすすめができないのだが。
異世界で販売する分には問題はナッシング!
マサルさんは昔、北海道旅行で石狩の資料館に寄り、手作りの缶詰を作る体験をした事がある。
まさか異世界で、缶詰を作りを計画するなんて人生、どんな経験が役に立つかなんてわからない物だ。
お次は、村人が食べる当面の食料と見本もかねて、食料品の缶詰を買いに業務スーパーに来たのだが。
業務スーパーの店の前で、ヤッさんが座りこんで何か食べている。
「いや~ この、つめたいやつはウマイで~ ここのスーパーの冷奴は最高やで~ しかし!」
ヤッさんは冷奴を、つめたいやつと呼びながら食べている、店の前で何をしてるんだ新手の営業妨害か?
ヤッさんは何やら、スーパーの壁に貼り付けてある張り紙に熱い視線を送っている。
マサルさんもその熱い視線の先の張り紙を見て見ると、パートタイマー募集と書いてある。
とうとうヤッさんが、カタギになるのかと思いながら、さらに張り紙を読み込むとチルドパトロール募集の文字が見える。
アルバイトやパートの募集覧で良く見るのが、何の業種か意味がさっぱりわからない物が多いのだが。
ようは鮮魚コーナーか何かで、魚の鮮度をチェックしながら、品出しでもする業種だと予想はつく。
恐らく、チルドパトロールのパトロールという文字がヤッさんがの心を掴んだのだろう。
それで採用して欲しくて、ヤッさんは店の前で冷奴を食べながら店長か従業員に、自分アピールしているに違いない。
真面目にやろうとしている、ヤッさんは偉いがアピール方法が間違ってる、履歴書とか書いて出したのか?
しょうがないマサルさんが少々、手助けをしてやるか…………
「よっ! ヤッさんここで何してんだ?」
「マサルちゃんやないけ~ この張り紙見てんか! パトロールやで! パトロール! こりゃヤクザやってる場合ちゃうやろ! しかし~」
「そうかそりゃスゲーな! でもよ、そこでつめたいやつ食べてても、店長さんに誠意は伝わらないぞ」
「なっなんやて~ !?」
やはりヤッさんは、パトロールの文字に心惹かれてこの業務用スーパーに就職したいらしい。
「ヤッさん、パートは履歴書よりも面接が重視だから、練習するか?」
「助かるでしかし~ やっぱり持つべき物は友達やな!」
「ええ~ おっほん、ヤッさんは何故このスーパーのパートに応募したのかな?」
「どこをパトロールするか知らんけど! 平和とか守れるんやったらって思って応募したで~ しかし!」
うむ、職場に入ってイメージと仕事内容が違うのは、良くある話だから問題ないな、職場に入って現実を知るのもヤッさんのためだ。
それに志望動機なんて採用側からすればどうでもいいのだから。
「続いて、自己アピールをお願いできるかな?」
「普段は、ロリっ子の安全を守るパトロールしたり、暴力団反対運動してるで!」
ふむ、ロリっ子パトロールは我々の大事な活動だ、地域貢献してるともいえる。
ヤッさんは、ヤクザなのに暴力団反対運動をしていて、よく暴力団反対のプラカードを持って歩いているのを見た事がある。
こないだなんて、【暴力団反対やで~】と叫びながら、暴力団事務所にダンプカーで突っ込んでいた。
暴力団反対運動は、ヤッさんが所属している組の親分さんの命令でしているらしいが。
どう見ても、敵対組織に対する嫌がらせにしか見えない、やはり純真なヤッさんを騙してそんな事をさせてる奴らの所より。
スーパーの店員の方が、ヤッさんにとっても幸せだろうヤッさんは、本当に優しくていい奴なのだから。
「アピールもヤッさんらしくていいが、2~3つ改善した方がいい部分があるな」
マサルさんの言葉にヤッさんは笑いながら口を開いた。
「そか、おおきにやでマサルちゃん! でも、もういいんや」
「おいおい! 面接前から諦めるのかよヤッさん?」
「ワシ、ウーさんの所に行った時な、ドガンって奴から全部を話を聞いたで」
ヤッさんは、豆腐の容器をゴミ箱に捨てて、マサルさんの目を見た。
「水臭いやろマサルちゃん、ワシも手伝うで」
「ヤッさん手伝うって、危険な事も多いしヤッさんの今の生活はどうすんだ? マサルさんは保証できないぞ」
「マサルちゃん! ワシらの生活に今まで保証なんてあったか? ないやろ、それに親父さんの所で命張るより、マサルちゃんの為に命張る方が楽しそうやん」
「泣かせるなよヤッさん…………」
泣きながらマサルさんは、ヤッさんの手を握り礼を言った、本当はマサルさんも一人での行動に不安があったのだ。
確かに今までマサルさん達は、保証のある生活はしてこなかったが別段、ヤッさんとて、捨てる物が何もない人間ではない、マサルさんのように守るべき存在もいるだろう。
それでも、マサルさんという一人の人間に価値を見出してくれて。
命を張っても良いとまで、言ってもらい、素直に嬉しく、男冥利に尽きると目の前を走る埼京線もそう言っている。
「それになマサルちゃん、ワイさっき採用を断られたで~しかし」
「んで、ヤッさんは、何でここにいるんだ?」
「不採用の結果が、諦めきれずに勝手に店内のレジを打ったり、品出してたら店長が豆腐くれて、これやるから帰れって言われたんやで~!」
「で、未だに諦めきれず、ここにいたと? ヤッさんそこは人として諦めようぜ!」
「そうやな、しかし不採用でよかったわ! これでマサルちゃんを手伝う踏ん切りがついたんやし!」
ヤッさんの言葉は嬉しかったのだが、何んだろこの気持ち…………
もやもやとした気分を切り替えて、マサルさんがこれからやる村再興の計画を、ヤッさんに説明しながら、業務用スーパーに入り買い物をしていると。
店長さんが【また来たかー!】と叫んでるので、今度は買い物なのでと言うと渋々店長はバックヤードに引っ込んで行った。
買い物の内容は、米100キロ、けんちん汁の3キロ缶を10缶、焼き鳥の2キロ缶を10缶、おでんの一キロ缶を10缶、コンビーフの3キロ缶を10缶。
合計金額10万5千程のお買い上げをしてしまった、缶詰はサイズがデカイ方が作りやすく参考になるため多く買ったのだが。
さすがに大量の荷物は運べないので、業務用スーパーが貸し出している幌付きの軽トラックを借り。
荷物を積み込んだ後、缶詰作りのキーパーソンである、鍛冶師ドガンの元へと向かった。
軽トラを、ウーさんの店に横付けして店内に入ると。
ウーさんは、どこで仕入れたかビールサーバーから、直に口を付けビールを飲む姿が見える。
「ウーさん、アル中治す気あるのか?」
「なんじゃい、マサル達か? ドワーフが酒を辞めてどうするんじゃ!」
「ほどほどにしなよ、それでドガンいるか?」
「ドガンなら、地下を勝手に改装して工房を作っとるの」
マサルさん達が、地下室に行くとドガンが鍛冶に使う炉を組んでいた。
「お~い! もじゃ生きてるか~?」
「生きとるわい! 今日はアエルはおらんのか?」
「アエルなら家だ、それよかこの空の缶詰を見てくれ、鍛冶師から見てこれが作れそうか?」
「なんじゃいこれは、薄板を接合して作ってあるようじゃが………… まあ作れん事もない」
ドガンは、アエルがいない事にがっかりしながらも、見せられた作成用の空の缶詰を見て作れると言う。
「そか! 作れるかドガン、それで相談だが! ちょいと異世界まで一緒に行ってもらい、この缶詰を作って欲しいんだが」
「無理と言うかイヤじゃな、やっと会えた叔父上から学ぶ事が多くての、すまんなマサル」
お断り? このもじゃ、マサルさんにお断りしやがった!
「ヤッさん! ロープ!」
「縛るで! しかし~」
「何をするんじゃ? 縛るな~!!」
「ヤッさん! もじゃがウルサイから、口にヤッさんのブリーフでも詰めておけ!」
ヤッさんに縛られ、ブリーフを口に詰め込まれたドガンはレイプ目のまま、ヤッさんに担がれ軽トラに積み込まれていた。
マサルさんは、ウーさんの店で買いたい物があるので店内に残り。
「ウーさん、ドガンをちょいと借りるな」
「構わんが、ワシの甥じゃそんなに粗雑に扱わんで欲しいの」
「了解だ、それで前使ったプラスチック爆弾まだある?」
「前回大量に作ったから、時限式の奴ならまだいくつかあるはずじゃが」
マサルさんは、ウーさんから残りを全部買う申し出をしたら、残り物だからとサービスで貰ってしまった。
マサルさんはお礼に、取りすがるウーさんを振り払いながら、ビールサーバーとビール樽を取り上げ、軽トラに積んだ。
「マサル! ビールを返さんか! ワシの黄金水を返してくれ~!」
「やかましいわ、こんな物があったらウーさん酒を辞めれないだろ!」
そんなやり取りの中、不審な人物が軽トラの荷台に乗り込んだのに気が付かず
軽トラのキーを回し、マサルさん御一行は異世界に向かった…………
日本最古の缶詰工場は、北海道の石狩でサケ缶を作ったのが始めりと言われています。
今年の始めに北海道旅行をしたさいに、石狩砂丘資料館に寄り、手作りの缶詰作成を経験しましたが、技術の発展とはスゴイ物ですね




