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神出鬼没の異端術師  作者: 狼兎
エイドラ大陸編
5/16

5.影との戦闘

魔法という概念が存在する世界「ウィルガルム」

クリーチャーや悪魔が生息し、魔術の知識を持った種族もいるという。

この話は術師達の中の「神出鬼没の異端術師」と呼ばれ、伝説となった

いろいろな場所に突然現れるという魔術師たちのお話。

 日が落ちるとあたりはすっかり暗くなり、お祭り騒ぎも収まっていった。帝国の夜はとても静かだ。なんだか不気味な雰囲気を漂わせているように思える。


そんな街中を宿まで急ぐ二人がいた。

 「昼とは全く違う雰囲気だな…この国一体何があるんだ…?」

 「分からないけれど…さっさと帰った方がよさそうね」

自然と足が速くなる。角を曲がれば宿というところで、気配を感じて二人は足を止めた。気配は背後から、段々と増えてゆくように感じる。

 「きやがったか…占い、当たっちまったな」

 「私は予感的中ってところよ…」

二人は気配を感じたほうを振り向く。すると屋根伝いに移動する複数の人影が見て取れる。動きは機敏で、かなり教練されていると考えられる。

 「見える限りだと10はいるな…どうする。戦うか?」

 「どっちにしろ戦う事になるでしょうから、今戦っても同じだと思うわ?」

エドは魔法剣を構え、リズは魔力を高めるために精神統一を開始。

 「 つるぎに宿りしその劫火今こそ力を解き放て! 強化解放リベレーション! 」

エドの詠唱で、構えた剣が紅色に輝き紅蓮の剣となる。


 すると屋根から一斉に飛び降りて、一瞬にして二人を囲い込み、同時に攻撃を仕掛けてくる。辺りは暗く、剣筋も見えないために今ここで斬りあうのは得策ではないだろう。同じことを考えたリズは、一つの魔法を詠唱する。

 「 我の守りは何人も寄せ付けぬ! 守護岩グランドウォール! 」

 

リズとエドの周りに円形の守護壁が突き出し突撃してくる暗殺者を一気に防ぎきる。ところが壁の上から第2陣が攻撃を仕掛けてくる。

 「 劫火の怒りを解き放つ 強化精霊解放エレメンタルリベライト! 」

エドが上に向けて劫火を解き放つと上空で劫火が荒れ狂い暗殺者達を飲み込んだ――ように見えた。暗殺者達は劫火に触れると瞬く間に霞んで消える。


 「くそっ、こいつら召喚魔法かっ!」

 召喚魔法の場合、役辺りに視線を走らせて、術師を探そうとした瞬間、守護壁が崩れて第3陣が襲い掛かる。エドもリズも魔法が間に合わない。囲まれて逃げる事もできない。これで終わりかと思ったその時、予想外の出来事が起きた。


いきなり目の前で光ったと思うとあたりの影が霞んで消えた。

 「大丈夫ですか、エドさんリズさん!!」

駆け寄ってきたのは、昼に出会った占い師ケルトだった。

 「せっかく忠告したのに何故この国を出て行かなかったのです!?ああ…今は別にやる事がありましたね」

 「お前…何故助けに入った..?」

 「あの時、私の占いでとても信用してくれたようには見えなかったんです、それで窓の外を見たら影が見えたから、助けに行かなければと思って…」

 「…そうか、ありがとうな」


 「第4陣来るわよ! 構えなさい!」

リズの警告通り周りを囲むようにして攻撃を仕掛けてきた。

 「ひとつ言い忘れましたが影は召喚魔法ではありません」

 「どういうことよ……あぁ…なるほどね?」

リズは理解したようで魔法詠唱を始める。

 「 闇を照らすは聖なる光! 閃光フラッシュ! 」

一瞬光ると影はまた霞んで消える。

 「闇魔法は夜限定で影を召喚出来ると聞いたことがあるわ」

 「その通りです。この攻撃は術者を探すまで止まりません」

 「その術者がどこにいるか分かるか、リズ?」

 「 探せよ捜せ、千里万里どこまでも。探索眼ウォッチャー

リズは探索系の魔法を唱えると術師を捜す。

  (商店街…違う。 居住区…違う。 …居た!)

 「見つけた!術者は時計台の上よ!」

アルラード帝国に存在する時計台はひとつだけ、街のシンボルとなっている。帝国に店を構える職人達が何十年もかけて作り上げた建造物。

 「あそこか、急ぐぞ!」

 「待ってください!時計台の上にいるのであれば飛んだほうが早いです!」

飛ぶ、その言葉を理解できずに二人が思考停止していると、ケルトが詠唱し始める。

 「 空の支配者よ、我らにその力を貸したまえ! 鷲獅子グリフォン召喚! 」

ケルトが詠唱を終えると天空からまさに支配者とも言えるグリフォンが姿を見せる。

 「おぉ、グリフォンか。かなりの上級魔法をこうも簡単に呼び出すとはな」

 「魔力量も多そうね、あなたやるじゃない?」

 「さぁ、影がいない今のうちに行きましょう!」

三人は乗り込むとグリフォンは一気に上空へと飛び立ち時計台へと風のように突き進む。

 「あいつよ、私達に影を送り込んだのは!」

時計台の上にいたのは黒いローブを着ている盗賊風の男一人だけ。まさか空を飛んでくるとは思わなかったのか硬直している。

 「てめぇ…よくも影の軍を送ってきやがったなぁ!!!」

 「ひぃっ、何だよお前ら!俺の影でやられたんじゃないのか!?」

 「残念だったね、僕が助けたんだよ」

 「ケルト…お前かぁあああああ! お前はまた俺の邪魔をするのか!!」

 「ごちゃごちゃうるせぇ奴だ、だまらねぇなら斬るぞ」

 「お前に俺が斬れるかよ! たかだか人食い草の親玉倒すのにも森を焼いてる奴がな!」

盗賊風の男はエドが森で魔力コントロールを誤るところを見ていたらしい。

 「じゃあ試してみっか?」

そういうとグリフォンから飛び降り魔法の力を抑えながら

一瞬で盗賊の男を切り伏せる。

 「誰が斬れないって? もう一回言ってみろよ」

盗賊は声も出せずに一撃で気絶していた。影も消えている。

 「さぁ、夜明けよ。チェックメイトね」

三人は朝日を見た後顔を見合わせて勝利を確信した。


 盗賊の男はしっかり拘束バイントして事情を聞きだすことにした。数ヶ月前より夜間に影に襲われて装備品を盗まれる事件が多発していて、そのために夜は静まり返っていたというわけらしい。ケルトはリズの記憶の中にこの盗賊が映っていたため狙われていると思ったそうだ。

 「ってことは未来視できてねぇじゃんかよ」

 「いやぁ…信じてもらうにはあれしかないかなぁって思ってつい…」

 「まぁ助けてもらったんだから何でもいいのよ」

 「そういっていただけるとありがたいです…ね」

 「私からも質問があるのだけど、あなたの適合って召喚魔法よね?助けに入ったときどうやって閃光フラッシュを使ったの?」

 「あぁそれはマジックアイテムですよ、知り合いにエドさんみたいな方がいらっしゃいましてね。夜出るときはいつも持ち歩いてたんです」

 「ほう!俺みたいな魔術師には会った事ねぇから会ってみてぇな」

 「いつか会わせてさしあげましょう」


 いろいろな謎が解けてついでに情報も仕入れた二人はケルトと別れて宿に戻る。

 「あーあ、すっかり夜明けちまったよ。眠くて仕方ないぜ」

 「まぁ…私も少し眠いわね…」

二人は宿に戻り昼まで体を休める事にしたのだった。

 


朝から5話書き終わりました狼兎です。

やっとブックマークしてきてくださる方が出てきてうれしい限りです。

この調子でドンドン次を書いていきたいなと思います。

次の内容決めてないので早急に考えないといけませんね(笑)

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