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神出鬼没の異端術師  作者: 狼兎
エイドラ大陸編
14/16

12.覚悟

今回は8000字と長くなっています。

 時は少し遡ってファミルア魔術学院にて――。


 魔法学院高等科4年のジーク・クリントは学院長から突然の呼び出しを受けた。

今、俺は必死に考えている。なぜ呼び出されたかを。

前々から俺はいたずら大好きで何度もお叱りを受けている、呼び出されたことは何度もあるが最近は何一ついたずらをした覚えが無い、だから前にしでかした事がバレてしまったと思っている。

 「なんで俺が呼び出し? …もしや、この前の授業で教室を爆破したことか? …それとも罰の時に池の水を使って畑に水を落として作物ダメにしてしまったやつか…?」

今までの学院生活でのいたずらを思い出しつつどれがバレたのかとブツブツ唱えている。

 「…そうかあれだ! あのハゲの椅子に超電玉を仕掛けて病院送りにしたことだ…絶対そうに違いない…」

 「ジーク、あれはあなたの仕業だったのね?」

いたずらの思い出せる限りをブツブツ唱えていると、不意に後ろから声をかけられ思わず飛び上がる。

 「な、なんだ…リリアかよ。驚かすんじゃねぇよ」


 後ろに突然現れた同級生は魔法学院高等科4年のリリア・マーソン。とても整った顔立ちで美人、なおかつ魔法の技術も優れており、勉強もできるために高等科ではかなりの有名人。俺も何度かリリアとは授業を受けていて、失敗するたびに彼女にフォローされているために関係は良好だ。


 「あの後、ウィリアム先生とても怒ってらっしゃったわよ?まぁ私としても多少スカッとしたので何も言い付けたりはしませんけど」

 「だってハゲが悪いんだぜ?授業で失敗したからって魔力切れになるまで畑の水やりやらされたんだ」

 「でもその罰に対してあなた池の水を落として作物を台無しにしてしまったと聞いたわ?」

 「それはハゲをおぼれさせようと思ったらコントロールできなくなって畑にぶちまけちまったんだよ、つまり結果だよ。別に意図して畑をめちゃくちゃにしたわけじゃねぇんだって」

 「あらそうなの? どっちにしろ結果はいたずらになってしまう運命にあるのね」

 「うっせぇよ…。んでリリアはなんで呼び出し食らってんの? お前は優等生だろ?」

 「さぁ、私には全くわからないわ。少なくともいたずらではないことは確かだけれどね?」 

 「分からないぞ、お前が裏で俺とつながってるとか思われてたりしたらどうするよ。授業でもいつもフォローしてくれてるじゃないか、先生達驚いてたぜ」

 「あらそう、私は関わっていないから事実を突き通せば問題ないわ。…そろそろ院長室よ、いたずらがバレたくないんだったら黙っときなさいね」


 言われて廊下の先に目を向けると、とても大きな両開きドアで上には学院長室の看板がかかっているのが見えた。見た感じ呼び出されたのは俺とリリアだけでは無いようでドアの前には数名の生徒がいるのが分かる。

 「なんだ、ジークも呼び出されてるならお叱りかよ…俺なんかしたか?」

 「いや、ここに集まってるのは優等生ばかりだぜ? …ジーク以外はな」

 「ダメだなぁミルド君、君たちも優れた生徒だけど僕は主席だ。君たちとは違うんだということをいい加減覚えてほしいね」


ドアの前に居たのは三人の男子生徒。魔法学院高等科4年のキース・ヘリアルとミルド・ロンドイ、そして主席のシュミット・アンダーソンだ。キースはジークとは友達で、時々一緒にいたずらをする仲だが勉強と魔法センスはずば抜けている。ミルドは学年一の魔力量と大きな体でまさに脳筋と呼べる戦い方をする頼もしい奴だ。そしてシュミットは学年主席という肩書きを持つ嫌われ者、自分より下の人には常に皮肉や嫌味を飛ばしてくる。自分の利益に対してはとても貪欲だが、やる時はやるという意外と頼りになる男でもある。


 「まったく…相変わらず嫌な奴だなお前は」

 「おやおや、学年の底辺の君には発言権は無いよ? リリア君が君のそばに居るのも気に入らないね。どうだいリリア君? 僕と一緒に勉強しない?」

 「お断りよ、あなたとは勉強方法が違うの。正直に言うと、私はあなたの取り巻きになるつもりは無いということよ、シュミット」

 「まぁ今はそうやって言ってればいいさ、いずれは君も僕のところに来させてあげるよ…フフフ」

とても冗談とは思えない会話にキースは思わず黙ってしまう。

 「それはどうでもいいんだが…そろそろ時間だろうから中に入ろうぜ」

 「はぁ、ミルド君、君は相変わらず空気が読めないね。まぁ今は許してあげよう」


 シュミットの言葉を受けてミルドに青筋が浮かぶがスルー。ジーク達は苦笑いしながらも扉を開けて中に入る。部屋の中は輝くような白で統一され、独特の雰囲気をかもし出しているために緊張を誘う。俺は入りなれているから特に違和感は無い見慣れた光景だ。中には学院長ともう一人の生徒が居た。


 「みなさん、突然の呼び出しにもかかわらずよく集まってくれましたね。感謝します」

部屋に入ってきた俺達に、声をかけて来た、全身を白の服で統一していて、白髪に白い髭という白尽くしの男性が、ファミルア学院長のイグアス・ファミルア当人である。噂によると、アルヴ大陸から帰ってきたエルフ仕込みの魔術師で、ある国の魔法指導者をやっていたことがあるとか、無いとか。とにかく強いということは事実らしい。


「そしてみなさんと一緒にもう一人、討伐隊に参加していただく中等科2年のルアン・ミリアス君です。彼は2年生ですが皆さんと同等以上の能力を持っています、ですが知らないことも多いのでいろいろと教えてあげてください」

 「ど、どうも。よろしくお願いします…」


高等科2年ルアン・ミリアスは幼いころから魔術に対する適正が高く、初等科に入った時から学年1位という成績であり、家が貧しいために昔ギルドから依頼を受けた事もあるために魔物との戦闘経験もあるそうで、その戦闘経験と魔術適正は今回の助けになるだろうと選ばれたのだそうだ。ただ性格が内気なので友達が少なく幼いころから苦労してきたらしい。


 「今回集まっていただいたのは、この大陸にガルムがいるという情報がありまして私達の学院にも要請が来たのです。私としてはあなた達生徒を危ない戦闘に送るのは嫌なのですが…。どうか、怪我をしないで帰ってきてください。みなさんはこの学園のなかでとても優れた魔術師達です。とても頼りにしています」


今の話により一層プレッシャーを感じさせられる。今から魔獣と戦ってこいと言われたのだから無理も無い。授業で時々聞く魔獣の名前とその怖さをここに居る全員は知っているために体が竦み震えだす。そしてプレッシャーを打ち破るようにジークは疑問を口にする。

 「ちょっと待ってくれよ学院長、俺は底辺なんだろ? なのに何でこいつらと一緒に送られるんだよ。まさか俺のしでかした事に対しての罰だって言うのか?」

 「いいえ違いますよ、クリント君。君はいたずらばかりする困った生徒ではあります、成績も良くは無いです。ですがあなたにはいたずらの際に使っている魔法の難易度について考えたことはありますか?」


 俺がいたずらに使った魔法の数々、授業の中でいたずらに使えそうな魔法を探して使ってみたものだ。例えば大量の(・・・)池の水を空中に浮かべて移動させたり、強化魔法のかかった(・・・・・・・・・)教室を粉々に爆破したりした。でもそれがどのような難易度の魔法なのかは授業内容を聞いていなかったので知らなかったし、知ったとしても覚えていたかは別だろうと思う。

 「あなたが使っていた水魔法、あれは大量の魔力とその魔力を操る力が必要なのですよ、それに教室を爆破したあの魔法は火魔法の上位に存在する炎の魔法なのです。つまりあなたにはそれ相応の技術と魔力が備わっている、ただ使い方を間違えているだけなのです。」

 「そうだったか…底辺の癖に退学にならないと思ったらそういう理由か…チッ」

 「ジーク、俺はお前と友達で良かったとこんなに思ったことは無かったぜっ!!」

 「お、おう…けなしてるのか褒めてるのかよくわからねぇけど…」

 「良かったのではなくて? 少なくともけなされてる訳では無さそうよ」

みんなの言葉で部屋を包んでいた重苦しい空気も若干和らいだように感じた――。


 「ですが私としてもまだ高等科2年のミリアス君を送り出すことは心苦しいですが、最上級生としての力を持ってしっかりと協力して守ってあげてください、お願いします」

これから仲間になる下級生にしっかりと守るという意味合いを込めて頷いてみせる。それを見て安心したのかルアンの顔にも笑顔が浮かんだ。

 「あ、ありがとうございます…。みなさんの役に立てるように精一杯頑張ります!」

 「あぁ、よろしくなルアン!」


ファミルア学院長はありがとうございますと言うと今回の作戦について説明を始めた。

 「今回の作戦は帝国の討伐隊と合流してガルムの群れを追いかける、そして情報を手に入れてから各国の討伐隊と合流して討伐するという大規模な作戦となります。おそらく今回の作戦は一筋縄ではいきません。予想外の出来事が起きたり最悪の事態が起きた時のことも頭に入れて行動しなければいけませんよ。」

 「君達の事だからな、よく気をつけたまえ」

シュミットはリリアを除く三人に対して言うのだが、自分が気に入った相手以外にはこの態度なので今更気にする必要も無いと二人は普通にスルーする、ミルドはこの言葉に対して少しイラついたような顔をした。


 「アンダーソン君にも言える事ですよ。その最悪の事態に合う時はこの討伐隊の仲間の誰かかもしれませんし他の隊の方かも知れません。ですがその時はあなた達が持てるすべての力を使い生き残りなさい、協力してなんとしてでも学院に帰ってきてください、よろしいですか?」

 「わかったよ学院長。ま、優等生のこいつらが居れば俺の出る幕も無いだろうけどな」

 「そうだな、俺の筋肉があればガルムだろうが何だろうが一撃だぜ!」

 「ミルドって本当に脳筋だよな、お前魔法使えよ?」

 「フッ、僕の力を持ってすれば君達の力なんて借りなくとも大丈夫だよ」

 「私も、可能な限りチームの為に戦います。私達に何があろうと帰ってきて見せますわ」

そうして討伐隊全員が覚悟を決めた、何としてでもこの学院に帰ってくる為に戦い抜くと。


各々が自室に戻り準備を始める。俺は準備の時に小さな赤いクリスタルが付いた腕輪をこっそりはめた。これはリリアが誕生日にくれたプレゼントで手作りらしい、もらった時はあまり嬉しくなかったがそれから時々つけていたりと地味に気に入っている物だ。赤いクリスタルは港国の商人から買ったと教えてもらった事もあるが、正直興味が無かったりする。


準備が整ったので集合場所になっている学院の門前に移動するとすでに全員集まっていた。どうやら俺が一番最後らしい。学院長も見送りに来た様だ。


 「ジークは遅せぇなぁ、置いてくぞー!」

 「わりぃな、ちょっと準備が長引いちまって。もういつでも大丈夫だぜ」

 「ではみなさん、必ず帰ってきてくださいね。私は皆さんの無事を祈っています」


ルアンは学院長に手を振った後、寂しそうに学院をでた。その表情を見たリリアは何とかしてあげたいと思った

 「これからは帝国の討伐隊と合流するのだけれど、あなた達は帝国の討伐隊について知っているかしら?」

 「授業なんかまともに聞いてねぇからしらねぇな」

 「俺もジークと同じく歴史とか地理に関しては興味が無い、俺は体育と魔法実技以外は真面目に受けた事がないんだ」

 「さすがミルド、脳筋は違うな。えーっと帝国の討伐隊っていうとおそらくユニオンだろ? んーとえーと何があったっけな…」

 「キース君は勉強不足だよ、帝国の大きなユニオンはグルフィンズとファールン術団と習っただろう?」

 「た、確か他に小さいけどカルガントロっていう功績の大きいユニオンもあったはず…です」

 「ルアンはよく勉強してんなー、いたずらのが楽しいぜ?」

 「変な事教えちゃだめよ、ルアン君はまだまだ学校生活があるんだから」

ほんの少しの会話だったがルアンに笑顔が戻ったので作戦は成功したようだ。


魔術学院を出た時は昼、合流場所はここから村を二つ越えた先になっている。まだまだ時間はあるが早いに越したことは無いのでさっさと最初の村に向かって歩き始めた。最初の村では特に情報は得られず、すぐに出発した。二つ目の村で見回り当番の村人が夜中に移動する獣の群れの様な影を目撃したという情報を得ることができた。


 「思ったより情報集まるの早いよなー、なんかこう村々を回っているうちに魔物と遭遇してピンチになりつつも撃退し、段々と強くなって長旅して世界を救う的なのを想像してたぜ」

 「キースお前それでよく成績上位保てるよな…何がどうやったらそういう発想になるのかが分かんねぇよ。一周回って尊敬するわ」

 「えぇっ! これぐらいミルドだって考えるよなっ、なっミルド!!」

 「俺は何事も無く、学院に戻って体を鍛えたいからそういうのは御免だ」

 「馬鹿じゃねぇの!? ミルドの脳筋は極みまで達しているのかっ!」

 「ちょっとは落ち着きなさい、キースの頭は別として、いざと言う時に体力なくなってたら叩き潰すわよ?」

 「リリアの言うとおりだよ君達、僕の周りでペチャクチャ喋られると気が散るんだ。そんなに喋る暇があったら君達も周辺を警戒したまえ、ここは平原とはいえ魔獣が徘徊している可能性があるんだ」

シュミットの正論に対する反論が見つからず、しぶしぶ周囲の警戒を始めた。

 

魔獣どころか動物すら見つからない平原を歩く。

あと少しの合流地点へ向けて、少しずつ。


 六人は合流地点の大木へ到着した。この木は平原で一番でかく、目印にするには最適である。周りを見渡したが帝国の討伐隊の姿は見えないが、もうすぐ日が沈むので仕方なく探す事にした。

 「全然どこにもいねぇなぁー、怖気づいて逃げ帰ったか?」

 「帝国でも指折りのユニオンだったら逃げるわけは無いと思うがな」

 「俺もミルドと同意見、とりあえずは待機してれば何かあると思うぜ」

何かあると言った瞬間、辺りに悲鳴が響き渡る。全員が硬直する。もう一度悲鳴が聞こえて我に返ると、即座にアイコンタクトを取り、悲鳴が聞こえた方向に走る。


 帝国の討伐隊を見つけたとき、予想外の光景を目撃した。二人の魔術師が血の池を作り、奥では薄く光を纏った鎧に身を包み炎の剣を振るう剣士が見えた。そして一番の予想外、剣士が戦っている相手、ガルムではない。だが負けず劣らずの強さ、その正体は紅の眼が物語っていた。教科書にも載っている魔族の特徴である紅眼を持つ人間が帝国の討伐隊を攻撃していたのだ。

 「あなた達今すぐそこから離れなさい!!」

紅眼の男と戦っている自分達より若いと思われる少女からの警告を聞いて訳も分からず後ろへ飛びのく。するとさっきまで自分達が居たところに上空から隕石の様な尖った岩が無数に突き刺さり、全員が青ざめる。

すると隣でうめき声が聞こえた、隣を見るとキースの腕に小さな破片が刺さっている。あの警告に反応したは良いものの完全に避け切れなかったようだ。


 「リリア! キースを回復してやってくれ!」

 「そ、その前に少し下がった方がいいかと…思いますよ」

 「その通りだわ、ジーク! 少し下がるわよ!」

ルアンの指示通り戦闘から少し離れて治療を開始する。

向こうでは相変わらず剣士と魔族が激しく打ち合い、剣士が下がったところに先程の少女の魔法ともう一人の召喚獣と思われる小さな蛇が突撃して食い止める。魔族と人間が四対一で戦っても勝てるはずは無い、だが魔族の中でも上位と思われる相手に戦えていることがとても驚きだ。


 仲間の方に視線を向けるとリリアの回復魔法でキースの傷が癒えていくのが見えた。リリアは適合が回復魔法であり、魔力量と魔力コントロールがとても優れていて怪我に対して適切な量の魔力を送る事で高速で治癒ができるという高度な技術をマスターしている。


 ミルドは脳筋と呼ばれるほど近接戦闘が大好きで実力もある。そしてしっかり考えて行動しているらしい。適合は精霊魔法なのだが少し性質が特殊で、体の部位に魔力を集中させて叩きつけるといういかにも脳筋らしい魔法なのだ。本人曰く大量に溜めて空中に解き放てば空飛ぶ斬撃を生み出せるらしいが魔力の消費が激しいため実践では使わないと言っていた。今は特に魔法の使いどころが無いので周辺の警戒を行っている。


 シュミットは召喚魔法の適合者、学年主席だが魔力量は多くない。だがそれをカバーするようにコントロールと技術が磨かれていて、現在も小さな魔力の蝶を作り出してドームを作って向こうの戦闘の余波を防いでいる。この蝶に触れると触れたものをある程度分解し相殺するために、飛んでくる衝撃波を相殺している。

 

 「さぁ、これで痛みは無くなったはずよ。どうかしら?」

 「あぁ…助かったぜ…。それにしてもあの人達の強さ半端じゃないな…」

魔族のあり得ない魔力量と破壊力を前に三対一で戦っている方をみてルーンは言った。今も魔族とあの三人は激戦を繰り広げていてとても近づけそうに無い。

 「だけどあの人たちもそろそろ魔力が尽きる頃だと思う、僕の蝶もそろそろ限界が来そうだ」

 「生きてるうちに撤退して別の討伐隊と合流するべきだろうな。で、どうやってこの場からあの人たちを連れて逃げ出すんだ?魔族相手でも通じるような作戦はねぇか?」

 「そ、そうですね…煙を撒いて逃げる…とかどうでしょうか」

 「煙を撒いたところで上から一掃されて無駄になる可能性だってあるぜ」

 「ぼ、僕の魔法を使えば大丈夫…だと思います」

 「そういえばルアンの適合は聞いてなかったな、何魔法なんだ?」

 「えっと…異端魔法…」

 「すまねぇ、あっちの戦闘が激しくなってきて聞こえねぇんだ」

 「あ、えっと異端魔法です。転移魔法って呼ばれてます」


 【転移魔法】 俗にテレポーテーションやテレポートと呼ばれている魔法を扱える。魔術ギルドから異端魔法に認定されているが、今でも本当に異端魔法かどうかの議論が続いている。転移させる物や転移距離にもよるが大抵は魔力消費が大きく、制約付きのものが多い。


 「ルアン、何人移動させられる?」

 「えっと….自分含めて四人までです…えっと僕だけであの三人を転移させるのはかなり難しいです…詠唱もありますから…」

 「分かった、俺がひきつけるからその間に転移しろ。いいな?」

 「それは駄目だジーク君、学院長は全員帰って来いと仰っただろう。お前だけ帰れないなら僕はあの三人を見捨てるべきだと思う。底辺の君が突っ込んでいっても無駄死にするだけかもしれない」

 「大丈夫さ。俺は学院長に認められてここに居るんだから死にゃあしねぇよ」

 「でも…くっ…仕方ない…。何があっても絶対帰って来い、いいな?」

 「何度も何度もうるせぇよ。…大丈夫だよ、何をしててでも生き残ってみせるさ」

それからジークとルアン以外は転移先にて待機すべく先に撤退していった。


 これからが俺達の出番、初めての戦闘、相手は魔族という不利な状況、そしてルアンを守りきりなおかつ自分も生きて逃げ切るという無謀な作戦を遂行しなければならない。だが――

 「それでこそ燃えるってもんじゃねぇか。やってやるよ。俺は魔族を殺してでも生き残って学院に帰ってやる、絶対に…な」


どうも、テスト期間中の狼兎です。インフルエンザの間に今後の展開を考えていくうちにドンドン広がってしまって書き始められなかったですが、これから少しずつ投稿を再開していきます! さて、今回は魔術学院の生徒であるジーク目線で進めていきましたがどうでしたでしょうか?中心を決めると結構スラスラ書けて楽しいですね。たくさんキャラを出したせいで喋り方等がごちゃごちゃで誰が誰かを判別し難いかも知れません、こういう点も改善していきたいなと考えています。そして次回は戦闘になるのかならないのかは乞うご期待!


意見や指摘等ありましたら勉強のため、お願いします。


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