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プロローグ

一つ書きかけのものもあるんですが浮気しました。


VRMMOの設定とかは読み飛ばしても大丈夫です。ただチート級装備とわかってもらえればOKです。

二人のゲーマーがつい先日まで打ち込んでいたVRMMOはとある理由によってサービス終了となってしまい、二人共暇を持て余していた。

そんな時だった。二人のゲーマーはとあるVRMMOを見つけた。

 そのVRMMOは今まさにβテストプレイヤーの募集をしている最中であり、二人のゲーマーはこのVRMMOに目をつけた。

 

『βテスト参加権については僕が確保しよう。代わりに――――』

「あぁ、俺のアバタークリエイトをお前にさせればいいんだろ? アバターなんてどうせ自分じゃ見れないし戦えるなら何でもいいしな」

『是非楽しみにしておいてくれ、僕だけでなくプロと討論しながら作っているアバターをね』

「流石金持ち。気合の入れ方が違うな」

『あぁ、ありがとう。と、それはいいとしてβテスト参加権を二人分確保したら連絡するよ』

「りょーかい」


 二人はただのゲーマーではない。一般人では不可能な額を頻繁に課金している。その上起きているときは基本全てオンラインゲームに費やしている廃人。更に並外れたプレイヤースキルの持ち主である。

 

 二人の内片方は今ではいろんな分野で使われ、多くのVRMMOにも使われているAIと呼ばれる人工知能の完成形を生み出した人物であり、その収入は計り知れないが、それだけで人生を何度も遊んで過ごせる程だ。


 もう一人は相方ほどお金持ちではないが、不動産管理という不労所得に加え、かつていろんなゲームの大会に出場し莫大な賞金を稼いでいる。


更に二人はVRMMOのプレイしている光景をネットに投稿し、投稿された動画を見るのに必要な会員費の収入に加え、一流企業のスポンサーまでついている。

故に金銭に困ることはなかった。


二人共現実でのことは雇った人物に任せていた。


そしてβテスト参加権の確保の話から数時間後、確保完了の連絡が届いた。


『参加権の確保できたよ。このマスカレード・オンラインのAIは僕が生み出したAIの構築育成理論を使ってプログラムしたものらしくてね。名前を出したらすぐに許可を出してくれたよ、勿論二人分』

「おつかれ。まぁ向こうも大歓迎だろうな。今や多くの人が知っている人物が遊んでいるVRMMOと宣伝もできる上に、知らないだろうけど、プレイヤーの中で一番課金するだろうし」

『僕が一番なら君は二番目に課金するだろうね』

「まぁ、二番目だとしても半分はお前が原因だけどな。」

『それはさておき、ついに君のアバターが完成したんだ。今からデータを送るからそのアバターで仮想シティのいつもの場所に来て欲しい』

「あぁ、受け取ったデータでアバター作成したらすぐいく」






 マスカレード・オンラインの正式サービスから一年が経ったある日。二人のゲーマーは多くのプレイヤーと戦っていた。

 そこは闘争世界と呼ばれるフィールドであり、わかりやすく言うならばPVP専用フィールド。

 闘争世界ではギルドメンバーだけが味方であり、他のプレイヤーは全員敵となる。そして倒したプレイヤーのレベルに合ったポイントにランキングポイントが加算され、それが自身の討伐ポイントとなる。そして死亡するとランキングの順位によって変わってくるがある程度ポイントが減少する。

 このランキングは個人ランキングとギルドメンバー全員のポイントを合算させて競うギルドランキングの二つが存在する。


「今日こそ勝たせてもらうぜ? 一位と二位」

「お前たち二人を倒すためだけに上位ギルド全てが手を組み、今この場には三百人集まった」


 あの二人のゲーマーが個人ランキングの一位と二位である。更に言うならばギルドランキングの一位も二人のギルドである。

「ゲイズさん、どんなに強いと言ったって、ヒーラーとタンカーのペアなら俺達のギルドだけでもいけるんじゃ……。噂なんて所詮たった二人に負けたのが嫌で言い訳で話していたのが広まっただけでしょう?」


「馬鹿野郎、あいつらはヒーラーとタンカーであってそうじゃねぇ。下手なアタッカーよりも攻撃力あるから油断は絶対するな。それだけじゃねぇ、二つ名を思い出してみろ、あれは飾りじゃねえよ」

「『不死』のファナテナに『アイギス』のアルトラ……」


 『不死』の二つ名はそのまま、この闘争世界のフィールドでは一度も死んでいないことから由来しており、『アイギス』は神話に登場するアイギスからとられている。

 

「覚悟は――――」


 二人のゲーマー、ファナテナとアルトラを逃がさないよう囲み、何かを言おうとしていたプレイヤーは最後までいうことが出来なかった。


「話長すぎ。長話はあたしらに勝ってからにしな」


 ブロンドヘアーをハーフアップポニーにした幼い少女が黒い刀身の剣を振り抜いており、その一撃で何かを言おうとしていたプレイヤーのHPは全損し、光の粒となってそのアバターが霧散していく。

 ここ闘争世界で死亡した場合このフィールド限定のデスペナルティがつき、戻ってこれたとしても満足に戦うことすら出来ないだろう。


「ひ、卑怯だぞッ!!」

「卑怯? それなら二人に対して三百人っても卑怯じゃないのか? まぁここは闘争世界だ、卑怯なんてものはない。勝利こそ全てだ」

「そういうことだね」


 一瞬で倒されたプレイヤーの近くに居た他のプレイヤーが騒ぎ立てるが、ファナテナとアルトラの二人には関係ない。それどころかアルトラはファナテナの言葉に同意を示すと同時に他のプレイヤーに斬りかかっていた。


 


 数十分経った頃、その場には二十人程しか残っていなかった。

 ファナテナとアルトラはお互い離れすぎず、いつでもカバーできる距離を保っており、相方と相性の悪い敵は自身が惹きつけ、不利な状態に持って行かせなかった。

ヒーラーは魔法耐性が高いが、物理耐性は全クラスの中でワースト三に入るほど低い。故に幾ら装備で能力の底上げをしていても、上位ギルドに在籍する物理特化プレイヤーの攻撃を喰らえば大ダメージは避けられない。故に物理特化プレイヤーは物理耐性が高いタンカーのアルトラが対応し、魔法特化のプレイヤーはヒーラーのファナテナが対応する。中には魔法剣士という物理と魔法を両立させているプレイヤーもいるが、その場合は狙われたほうが対応する。


ファナテナに物理特化プレイヤーが近づけば、アルトラが鎖で拘束し、自身のもとに引き寄せるチェーンバインドの魔法を使い、アルトラに向けて魔法を放てばファナテナが魔法のみを防ぐ防御魔法を使い防ぐ。

そうしてなるべく相性の悪い相手から攻撃を食らわないようにし、どうしてもよけきれない場合は耐性があり、軽減できる攻撃を喰らうようにする。


「あ、有り得ねぇ……。三百、三百人も居たんだぞ。なのに片方すら倒せないなんてあり――――」

 このプレイヤーもファナテナの一撃で残った僅かなHPを削りきられ消えていく。

 残ったプレイヤーの半分は既に戦意喪失していた。

 それも仕方がないだろう。何せ二人の防御をすり抜け攻撃が当たり、HPを削ったかと思えば次の瞬間にはHPが全回復しているのだから。


 これはヒーラーならばレベルを上げれば誰でも使える魔法の一つであり、効果は一分間毎秒回復していくという持続回復魔法である。回復量はジョブレベルや魔法レベル、装備の能力で上げることができ、一時的ならば貴重なアイテムで上げることもできる。

普通のプレイヤーが使っても回復量は毎秒最大HPの数%であり強敵との戦いでは喰らうダメージ量に負けてしまうため、使える魔法ではあるが、それよりも通常の回復魔法のほうが発動すれば一瞬で回復できるため優先度は高い。


魔法レベルは魔法ポイントを消費して上げることが可能で、レベル上昇時や高難易度クエストの報酬等でポイントが貰え、ポイントで上げることができる上限はレベル100。そこからは装備の能力等で上限を超えて上げることができる。



 しかし、ファナテナの持続回復魔法は文字通り桁が違った。ジョブレベルはアルトラと主にプレイヤートップであり、魔法レベルはポイントで上限のレベル100まで上げており、更に装備の能力で脅威の200超えとなっており、その回復量は毎秒最大HPの50%である。


 魔法レベル100以降はレベル一つ分効果上昇量が大きく、一般プレイヤーではレベル100から105。上位ギルドのトッププレイヤーでもレベル120から130である。

 装備に魔法レベル+1がついているだけでもそこそこの値段で売れ、魔法レベル+2や3は数日狩り続けて漸くその能力が付いた装備が拾える程度のものであり、中々の値段で売れる。魔法レベル+4が付いた装備をドロップしたり、生産時に付いていたりすることはかなり珍しく、それだけでちょっとした一財産となる。魔法レベル+5となるととても珍しく、それ一つを売るだけで、トッププレイヤー並の装備を一式買えるほどの値がつく。稀にイベント時に期間限定で課金ガチャの当たりとして魔法レベル+5出てくる時もあるが、そレが当たる確率は0.1%恐ろしく低い。

 課金ガチャ一回が五百円であり、ただの課金兵では諦めるレベルだが、ファナテナとアルトラは違った。


 装備箇所の数だけでなく、装備箇所の数の二倍以上集め、能力付与システムで一つの装備に魔法レベル+5を二つは付けていた。


 これにはさすがのファナテナも途中でお金が底をつきかけたが、途中からアルトラがファナテナの分まで課金ガチャを回して集めた。


 それだけでも恐ろしい装備なのだが、これで終わりではない。それに加えて他の能力も装備に付与させている。


 魔法レベル+の能力は覚えているすべての魔法に補正がかかる。つまり、回復魔法だけでなく、攻撃魔法にも補正がかかるということ。これが二人がヒーラーやタンカーでありながら、純粋なアタッカーよりもアタッカーと呼ばれる理由である。



「つ、強すぎる…‥。こんなの勝てるわけがねぇ……」

「魔法の構築速度、同時展開数どれも人間やめてやがる……」


 マスカレード・オンラインには対象の掛かっている魔法を打ち消す魔法が存在しており、先ほどの戦闘時にも上位ギルド側のウィザードは二人に向かって打ち消し魔法を掛け、持続回復魔法に能力上昇系の補助魔法の打ち消しを行っていたが、打ち消されて数秒後には既に全てかけ直されているといった状態だった。

 持続魔法に各能力上昇魔法を二人分、これを数秒でかけ直すだけでもすごいものだが、ファナテナはこれを戦いながらやってのけていた。つまり、攻撃魔法や、防御魔法を使いながら剣を振るって敵プレイヤーを倒していると同時にかけ直しを行っていたということ。

 

「さて、僕達はこの後ボス狩りに行く予定なので、そろそろ終わりとしましょうか」


 

 そして、三百人全て倒し終えた瞬間、二人の視界は暗くなっていった。


『死なずに一万キルおめでとうございます。報酬として――――』


 アナウンスの声は二人の耳に届かなかった。


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