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科学的な幻使い  作者: 雪 渓
序章
9/21

第八話 入学式8

ひさしぶりの投稿です





 突如開かれた教室のドアから入ってきたのは、一組の男女。

 と言っても年は随分と離れているようだ。一人はシワひとつない黒のスーツに、ハリのあるなめらかな肌。凛々しい姿をした若い女性であり、もう一人は白髪の混じった髪とこれまた白いものが混じった無精髭。武骨そうな体を紺色の背広で包んだ壮年の男性だった。


 二人は生徒の前に立つと当然のごとく話し出した。無論、はじめの話題は自己紹介から。


「E組を担当する露草くさろゆいです。教科は魔法論理学。よろしく」

「同じく、おまえらの担当になってる菊池きくちはじめだ。俺は主に武装型PAE(魔法発動補助機)の取り扱いについてを担当している。一年間よろしくな」


女性の方は凛としていて美しさも兼ね備えているが、感情を表に出さないタイプらしく表情は読み取れない。一方男性の方は彼女とは対照的にフレンドリーな装いで「親父オヤジ」のような印象を受ける。


「まあ、担当っていってもこの学校にホームルームなんてねえんだけどな。まあ、緊急時の対応やなんだかんだの連絡事項の情報配布とかを俺たちが面倒見ることになってるから担当なんだろう」


 菊池の言うように、この学校にHRという時間はない。この学校に限らずとも、他の魔法科高校でも教員を直接授業に参加させるところはない。

 座学のほとんどは教室まで教師を招くことなく、授業はそれぞれの机に設置されている情報端末を使っての学習になっている。不明な点があればそれをわかりやすく紹介した動画を見ることができるし、オンラインで教師に質問をしたりすることもできる。

 そもそも、この学校に入学した時点で国内的に見ても超優秀な学力を保持しているわけであるので、基本的に(少なくとも1、2年のうちは)まともに授業に出席しさえすれば全国平均と比べても好成績でいられるようにプログラムが組まれている。

 こういった方法が取られ始めたのは最近(といっても二十年以上が過ぎているが)のことではあるが、それなりの成果を収めているとこもあり、特に反論をする集団も出てきていない。


「で、何か質問がある奴はいるか~?」


 菊池がそう言う生徒たちの中に反応するものはいない......かと思われたが、一番後ろの席の眉目秀麗な少年はその手を上げていた。


「お前は......八代やしろ創夜そうやだな。なんだ、言ってみろ」

「俺たち適当に席に座ってしまったんですけど、これはこれで運命だと思うんですよ。今から席替を変えるのも時間かかりますし、しばらくこのままにしてはどうでしょうか」


 席を立って話し出す創夜の内容に、周囲の者はあっけにとられるばかりであった(ちなみに露草はその無表情な目を創夜に向け、菊池はなにか考えるような顔をしている)。創夜の隣にいる景介けいすけだけは不機嫌そうに立ったままの創夜を睨んでいた。


(このバカが。初日から目立ってどうするんだよ)


 創夜が景介の視線に気づき席に座ると、菊池は話し出した。


「と、言ってるクラスメイトがいるが、みんなどう思う? 俺たちとしては、初めは指定の席にいてほしいんだけどなぁ。ただ、お前らがそうしたいと言うならば考えてやらんでもないが......ん?今度はだれが? さかきだな? 」


 長い手を挙げたエストを見て、菊池は意見を促す。


「俺は、どっちかといえばこのままがいいですね。どちらにしろこの教室には初対面の人間が多いsですし、授業や提出物も端末を経由することが多いですから」


 そう言うと、今度は別の場所で手が挙がる。


水城みずきサクラ。述べよ」


 名を読んだのは露草。景介たちとは反対側の、廊下側前方に座っていた少女が立ち上がる。


「あたしも創夜くんの言葉に賛成するわ。ただ、どうせ『運命』なんて言葉を使うんだったら、くじでも引いちゃえばいいのにって思うんだけど......」


 この意見をきっかけに、教室ではミニ討論会が行われることになってしまった。

「面倒だからこのままがいい」「くじを引くのも面白そうだな」「それなら正式な順番でもいいんじゃないか?」と言うような意見が教室を埋め尽くしてから約10分後。第一学年最初の「席割り」の方法が決定した。


「それじゃあ、端っこの人からくじを引いていってね」


 他のクラスでは見られなかった論争を制した(?)のは、水城サクラの意見であった。最終的な採用理由はただ単に「面白そうだったから」

 しかも恐ろしいことに創夜やエストだけではなく景介(彼は目立つのは嫌だったが移動するのは面倒だった)までもが賛成して、満場一致で決定していた。これだけでも、クラスの雰囲気がなんとなくわかってしまうような出来事である。


 全員がくじを引き終わると、サクラは簡易的なくじ引きアプリの結果を前のスクリーンに映し出した。クラス全体の席とその隣に名簿が映し出され、それぞれの席と名簿のとなりには番号が打たれている。名簿と同じ番号の席に座れということだ。


「それじゃ、動くかな」

「そうだね」


 動くといっても、たいした荷物があるわけではない。

 景介たちはそれぞれに指定の席に移動した。






 が、


「なぜこうなる?」

「知らないよ」

「こういうのが『運命』なのかな?」

「景介たちと近くでよかったよ」


 景介の場所は廊下側から二番目で後ろから二番目。その後ろには創夜で蒼夜の右隣がエスト。景介の右隣が直樹だった。

 そしてついでに......


「景介くん。よろしくね」


 景介の前の席にはにはサクラがいた。先ほどの進言によって、活発なことは確定。景介はあまり興味がないので今まで気に止めなかったが、改めて見ると容姿も悪くない。いや、かなりいい方に入っているだろう。


「こちらこそ、よろしく」


 景介はめんどくさそうな声で答え、彼女やほかの面子に悟られないように、心の中で深い溜息を吐いた。






お話が進みません。ごめんなさい......

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