第二話 入学式2
「すまんな。あんなやつで」
日和が見えなくなると、景介は少年に謝った。特に不服そうな顔はしていない少年は、柔らかい笑顔で答える。
「あ、いや、大丈夫。特にやることもなかったから......それにあの人といると楽しかったし」
「そうか。俺もよくわからないんだけど、あいつはなんか見てる人を幸せにしちゃうんだよな......ああ、そういえば、あれだけ迷惑かけてたのにまだ名前も言ってなかったな。俺は、天霧景介。よろしく」
「僕は、速水直樹。えっと、人見知りだから、廊下とかであっても声かけないかもしれないけど......よろしく」
「問題ないさ。おれだっておんなじようなもんだ」
恥ずかしげに答える直樹にそう言って、景介が右手を差しだす。これが彼なりの、初めて会った者との挨拶の仕方だった。
直樹がその右手を握ると、景介はちょっとした提案をすることにした。
「こんなところで立ち話もなんだし、時間が来るまでどっか適当なところに座っとかないか?」
このシチュエーションでは別段おかしな提案でもないわけで、直樹もすぐに頷いた。
「そうだね。でも、今日はさすがに売店も開いてないし......そういえば、向こうの方にベンチがあたけど」
「じゃあ、そこにするか」
景介は直樹の言葉に賛成しておきながら、入学式で人がいないから売店が開かないのかと、本人的にもどうでもいいようなところに思考を巡らせる。
直樹は先に歩き始めてしまったので、景介はそのあとをついて行く。
そうしながらまたさっきの続きを考える。
売店であれば、別に人がいなくとも全自動式の専用機械にでも任せておけば機能する。ある程度の簡単なメニューであれば、材料をストックし、手順を支持するだけで機械でも簡単に作らせることができるのだ。新暦の五世紀が終わろうとしている中で、今日の科学はこんなことを学校に出入りする民間企業が獲得可能なほどまでには発展しているのだ。だがそれとも、この学校にはそれを買う資金自体がないのか。いやだがここは皇立の高校だからそんなことはないか。いや...............と、そこまで考えて、景介はそう言う問題ではないか。と思い直し、一度思考を頭から切り離した。
そして、先を歩く直樹の横に行くと突拍子もなく質問を投げかけた。
「直樹は、何が好きなんだ」
「え?」
まあ、はじめての質問としては妥当なものか。と思ったが、直樹は思いのほか戸惑っていた。赤レンガの上を歩く足が止まった。
「あ、すまん。不味い質問だったか? 言いたくなければ、言わなくてもいいんだが」
「いや、いいんだ。ただ、ちょっとはずかしんだ。もしそれが、勉強に関してだというのなら、僕の好きな科目は旧史だから」
「ほう」
彼の言葉に、景介は感慨深げに合図地を打つ。
「確かに、今時旧史なんて勉強しようとは思わんだろうからなあ」
景介はそこまで言って、すこしだけ残念そうな顔をする直樹を見て満足げな笑みを浮かべる。
「だが、俺も実は旧史に結構興味があるんだ」
「えっ......」
「旧史。いわゆる、九つの大災害より以前。この時代の資料は現代ではほとんど残っていない。だがその実、それは電子的記録媒体を使っての場合に限られているんだよな。あのときに発生した電磁波で、精密機械の類いはすべで使い物にならなくなったっていうだけだから。だから、遺跡に残された数少ない痕跡や、言い伝えは今でも残ってる。運が良ければ紙媒体の資料が見つかって一気に謎が解けることだってある。それに、昔の歴史は今でも応用できることがたくさんあるからね。世界の変わり目の前に魔術が存在していたかなんて興味深い話だ......あ、すまんすまん。ちょっと喋りぎたか」
一人で呟くようにしゃべる景介の目線の先には、驚き呆れたような顔をする直樹。だが、彼はすぐに首を横に振った。
「いいや、スゴいよ。僕は、旧史について話し合える人がいなくって......みんな興味ないって言うし。だから、景介みたいに旧史を詳しく知ってる友達が欲しかったんだ!」
驚き呆れたような表情は、すぐに喜びの表情に変わる。
「まあ、俺もそんなによく知ってるってわけじゃないんだけどな」
「いや、嘘ばっかり。景介はとってもいろんなことを知ってるはずだよ」
直樹はベンチまでいくと、景介に連続して旧史についての疑問を投げかけた。
ひょんなことから始まった二人の会話は盛り上がり、結局。式の始まる前までずっとこの話題について議論を交わし続けていたのだった。
詰め込みすぎましたか......下手くそな構成で申し訳ありません。これで高校生ですからね(笑
もう少し恥ずかしくない文章にしなければなりませんね。