4、二階級特進でA級冒険者だあ
それからも貧しい旅はつづいた。
あまり美しくないジュディという娘と知り合ったけど、ジュディは町で花売りをしているらしい。
ぼくが黙っていると、ジュディもずっと黙っているので、何か話しかけなくてはならない。ぼくらは、お互いの身の上をあまり話したがらない。お互い、惨めな貧乏人なのだ。
「ジュディ、花は売れるかい?」
ぼくが訪ねると、ジュディはことばに詰まっているようだった。ジュディの様子がおかしい。何か、聞いてはいけないことを聞いてしまったかのようだ。
「あのね、チート、花を売っているというより、お客さんはわたしの裸を見たがるの。それで、花を買ってくれたお客さんに内緒で裸を見せるのが、わたしの本当の商売なの」
ぼくは茫然とした。
「いやらしいと思わない? 背徳的よ。きっとわたしは地獄に落ちるんだわ」
「そんなことないよ。神さまは許してくれるよ。でも、もう、裸を見せるのはやめるんだよ、ジュディ」
「あなたなんて、本当につらいことは何も知らないくせに」
ぼくは困ってしまった。ジュディは、体を売っているのだろうか。それは、法律違反だし、背徳的だ。
何より、問題なのは、なぜ、金持ちだけがジュディの裸を見れるんだ。ぼくには花を買うお金がない。
「ジュディ、ぼくにも裸を見せてよ」
思い切っていってみた。そしたら、頬を平手で引っ叩かれた。
「行商人の貧乏人が調子にのるんじゃないわよ」
人生とはこんなものだろうか。社会とはこんなものだろうか。
ぼくは、次の日、新しい街へ旅立ってしまったので、ジュディのその後はわからない。
この路線で、どこまで引っ張ろうか悩んだけど、お気に入りが減るようなので、そのうち、ちゃんと魔物と戦います。