表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

2、ギルドに登録しよう

やっぱり、王道を書いていこうと思うんです。

 ぼくは行商人の手伝いをしてひらすら働いた。学校というものに通っていないため、知識は父と母が教えてくれるいかがわしいものばかりだ。

 仕事柄、算数と読み書きはできるが、それ以外はさっぱりである。

 我が家の大切な財産である一頭のロバに積荷を背負わせ、オーストリリアからフラランスに向けてひたすら歩く。積荷である時計や靴が荷崩れする時は、家族で総がかりで荷の整理をする。

 運が悪ければ、全部の荷をバラして、一から積みなおさなければならない。

「我が家の蓄財は、残りわずかしかない。これで、荷が売れなければ、一家のたれ死にもありえる」

 と、父はいう。

 ぼくらは、長い道のりをひたすら歩いた。歩いて歩いて、歩き倒した。父の足が、歳をとっているため、脱臼している。脱臼したままの父を連れて、ぼくらは長く険しい道を歩きつづけた。道は整備されておらず、ところどころ、ロバが通れないため、長い迂回をしなければならないこともあった。

 旅先で日が暮れれば、松明を灯し、毎日、行商に励む。遊んでいる時間はいっさいない。

「本場、皇帝の城下町の職人の品だよ。今なら、三割引き。買うなら今のうち。さあ、時計と靴の大売り出しだよ。いらっしゃい。いらっしゃい。本場、宮廷職人の作った時計と靴だよ。買うなら早いもの勝ち。今なら三割引き」

 腹から声を出して、ぼくは呼び込みをする。

 通りすがる人々は、時計や靴を珍しそうに手にとってみるけど、買ってくれることはめったにない。

 本当は三割引きなんてしてないし、今日限りの大安売りというわけでもない。


「今日は、靴が一個売れただけだな」

 父がいう。

「このままでは、一家はのたれ死ぬかもしれないね。チート、もしかしたら、おまえを丁稚に出すかもしれない」

 丁稚になったら、師匠や兄弟子の命令を絶対に聞かなければならず、今より苦しくつらい毎日をすごすことになるだろう。ご飯だって、満足にもらえるかわからない。すべては師匠の命令通りに暮らすことになる。

 ぼくは十四歳になるけれど、見かけるのは疲れた労働者ばかり。

「父さん、ぼくは、丁稚には行かないよ。猟師になろうと思うんだ」

「猟に使う銃や猟犬はどうやって買うつもりだ。くだらない夢を見ているんじゃない」

 父さんは厳しくぼくを叱った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ