18、至高神より偉大な存在となり
お金持ちになったぼくには、絶対にしなければならないことがあった。
それは、魂の救済者マリアさんに、お返しをすることだ。
例の酒場に行き、ぼくはマリアさんを探した。
マリアさんは酒場にいなかったけど、マリアさんの居場所を知っている人が見つかり、ぼくは酒場を後にした。かつて、強盗を働こうとした酒場を。
町を迷い、探しまわった。いわれた通りの家が見つかるのに、三日もかかってしまった。ぼくは、マリアさんがいるという家を見つけ出し、ドアを叩いた。
「すいません、チートといいます。マリアさんはいませんか」
すると、家の中から、あの懐かしい声が聞こえてきた。
ぼくの魂の救済者の声。
「まあ、チートって、あの時のお兄さん?」
マリアさんがドアを開けて顔を出した。
相変わらず、きれいだ。
「お姉さんにお礼をするために立ち寄りました。迷惑でなければ、少しお話したいのですが」
マリアさんの顔は満面の笑顔だった。
「まあ、あのお兄さんは、必ず、もう一度、会いに来てくれる気がしていたのよ」
マリアさんはそういった。運命や、予言を信じているのだろうか。
ぼくを信じて、待っていてくれたのだろうか。
「マリアさん、ぼくは悪いことはしないで、大金持ちになりました。どうか、ぼくの贈り物を受けとってください」
そして、ぼくは大袋の中から、魔力の高そうな宝石をとりだし、お姉さんに差し出した。
「ぼくからの感謝のつもりです」
「ありがとう」
マリアさんはちょっと顔を赤くした。
「それでは、これで失礼します。ぼくなんて、つまらない男ですから」
「あっ」
まだ話しかけようとしたマリアさんの声をふさぐように、ドアを閉めて、ぼくは町へ駆けだした。