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13、神とか悪魔とか関係なく

 さて、熱も痛みも治ったところで、困ってしまった。朝食べる食事もないと来ている。

 ソニアは今までどうしていたのか、聞いてみたが、

「だって、わたし、物乞いだもの。お恵みがない日は、悪魔が食事をくれたわ」

 と答えた。

 とにかく、どうにかして生活費を稼ぐ方法を考えなければならない。

 ぼくが悩んでいると、再び、空中に砂でVRMMOと文字が描かれた。サブリナが召喚される。

「はい、困った時の支援NPCサブリナです。何がお困りですか?」

「それが、何かお金を稼ぐ方法はないかなあと思って」

「金銀財宝が手に入れたいわけですね。それでしたら、わかりました。然るべき手続きを行いましょう。手に入る金額にも、種類があり、極貧、貧乏、中流、上流、小金持ち、大金持ち、富豪、大富豪とございますが、どれに致しますか」

 ぼくは話の中身がいまいちよくわからなかったけど、

「大富豪がいちばんいいなあ」

 と答えてしまった。

 お金が手に入るなら、高いに越したことはないではないか。ぼくは何もまちがってはいないと思うのだが、それを選択したことを後悔することもある。

「記憶を失っているチート・ハーレムさまに申し上げますが、空中にVRMMOと書くことにより、プレイヤーは魔法を使えます。楽しい異世界生活にお役に立てば幸いです。それでは、準備はよろしいでしょうか」

 サブリナが棒を振りかざして、きらきらした星くずをまいている。魔法が始まる予兆だ。

「一緒に行くのは、ぼくとソニアの二人だ」

「かしこまりました。どうせ、サブリナも付いていくことになるのですけどね」

 いったい、どんな風にして、大富豪になるというのだろうか。

 ぼくは、好奇心をもって、成り行きを見守っていたのだけれど、サブリナが棒から星くずをまき散らしながら、その星くずの光にぼくら三人は包まれた。

「大富豪クエストへご招待でございます」

 ぱっぱぱーとラッパの音が鳴って、ぼくらはパパリの町外れの塔から別の場所へ転送された。


 たどり着いた場所は、どこか洞窟の中のようだった。

「ソニア、無事か?」

「ええ、大丈夫よ」

 ソニアの安全を確かめると、ぼくは聖剣を腰に差しながら、洞窟の中を見まわした。

「見てよ、ソニア。宝石が山のように積んである。ここは、金銀財宝の宝の山だ。本当にぼくらは一瞬で億万長者だよ。貴族よりお金持ちになれるよ」

 浮かれるぼくに、ソニアは冷静だった。

「でも、ここの霊気はとても濃いのよね。信じられないくらい強い魔力で満ちた場所よ。わたしはここにいると落ち着かないわね」

「へえ、ソニアは霊感とか感じる方なんだ」

「うん。ここの霊気は、二十個の結界で囲まれた魔法陣の中より不安定。財宝を持ち出すなら、早くした方がいいと思う」

 ソニアの真剣な表情を見て、ぼくもその意見を採用する。

「大富豪になれるだけの財宝は持っていこう。この金銀財宝すべてを持ち出せば、王国が買えるぐらいあるだろう」

「なら、できるだけ、魔力を帯びた宝石を選んで袋に入れることね」

 ぼくは魔力を帯びた宝石と帯びていない宝石の区別がつかないけど、勘で宝石を選んで大袋に詰め込む。

「いったい、誰が集めたんだろうなあ。こんな大量の金銀財宝を」

「ここ、本当にすごい。七重結界石とか本当に置いてあるのね。目眩がするわ。パパリに帰ったら、屋敷を買いましょう。それくらいの価値があるわ」

「うん、本当にぼくらは大富豪だ」

 と話しているぼくらの洞窟に黒い影がさっと迫ってくる。

「何かが、この洞窟にいる」

 ぼくはソニアに向かって叫んだ。

「わたしは魔女よ。低級な妖魔なら呪い殺してやるわ」

「ちょっと、あれは、低級妖魔ではなさそうだぞ」

「しまった。チート、わたしたち、罠にはめられたのよ」

 金銀財宝の洞窟の主が帰って来た。

 それは、黒く巨大な一頭の竜だった。


まあ、当初の予定通りなのだが、この展開を読者が期待していたのかは、一抹の疑問を残さざるを得ない。

感想とかくれると嬉しいです。

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