12、神々の軍を一人敵にまわし
この章は、読者の趣味嗜好によっては、ドンざめかもしれません。
作者、VRMMOの雰囲気がわかってませんので。
全身の骨にひびが入っている感じだった。
しばらくすると高熱も出てきた。
塔の一階の礼拝堂で、ソニアが痛みにうめいているおれを白々しく見ている。
「近づくなよ。きみは聖剣を盗むかもしれないからな」
「まあ、心配性なご主人さまね」
ぼくとソニアはそんな微妙な距離感をもった関係だったのだが、そこに新たな介入者が登場した。
彼女は、空中から突然、現れた。
<VRMMO>の文字を砂が空中に描いた。
勝利は中心記憶回路を覚えている。
その文字が何を意味するのかはわからない。
空中に現れた少女は、白と青の色の対比の激しい派手な衣装を身に着けていた。
「おはようございます。チート・ハーレムさま。わたし、メンテナンスNPCのサブリナと申します。異世界での生活はいかがでしょうか」
ぼくとソニアは戸惑った。
彼女が何をいっているのかわからない。
すごくかわいい女の子なのだが、いってることがまったく理解できない。
「サブリナ、きみはいったい何をいってるんだ?」
「わたしは、チート・ハーレムさまがVRMMOの世界に入ったまま、記憶喪失になった可能性を考慮して、派遣されてきたのであります。チート・ハーレムさまは、異世界で、裕福な家庭をもつ男子中学生でございます」
ぼくはソニアに対して首を振った。
まったくいっている意味がわからない。
「サブリナ、きみはどこかおかしいんだよ。正気が戻るまで、きみもぼくが面倒を見るから、ぼくの召使になるといい」
サブリナは、大袈裟な泣き顔をした。巨大な涙がこぼれ出ている。
「えええ、ぐすん。チート・ハーレムさまを正気に戻すのがわたしの役目なのです。チート・ハーレムさまが正気に戻るまで、影ながらお供させていただきます」
そして、サブリナは空中で消えた。
「サブリナは、いつでも、待機していますからお気にせずに。プレイヤーの邪魔はしないプログラムが組まれていますので」
「サブリナ、きみが何をいっているのか、まったくわからないよ。サブリナは、疲れているんだ。ぐっすり休んだ方がいい」
サブリナがまた姿を現していった。
「そういえば、お仕事を忘れていました。イベントをクリアしたチート・ハーレムさまに報酬として、戦いの怪我を治させてもらいます。それでは、ごゆっくりお楽しみください」
サブリナはそういって姿を消した。
ぼくの体の痛みは、一日も寝込んでいると治った。